農林水産省が行う土地改良事業等で実施する工事を一般に土地改良工事等と称しており、その工種は、ダム、頭首工、用排水機場、開水路、管水路、畑地かんがい施設、ほ場整備工など多岐にわたっています。これらの工事の施工形態は、各工種とも、近年の社会環境の変化、土木技術の進展、建設機械の発展・普及などさまざまな要因により変化してきています。
農林水産省は、これらの要因の変化の的確な把握に努め、常に適正な標準歩掛及び諸経費となるよう、毎年、各種要因を考慮して実態調査等を行っています。この実態調査結果に基づき、土地改良事業等請負工事の標準歩掛、諸経費(現場管理費)及び諸経費(共通仮設費、現場管理費)に係る中山間地域補正値の改正を行い、令和6年度から適用することとしましたので、ここに紹介します。
(1) 土地改良事業等請負工事標準歩掛は、農林水産省及び国土交通省の二省で共通する歩掛については二省共同調査歩掛として、また、農林水産省の特有な歩掛については、単独調査歩掛として施工実態調査を行っているところです。
これらの調査により、令和6年度土地改良事業等請負工事標準歩掛として114工種を定めており、農林水産省単独歩掛としては、ほ場整備工において「ほ場整備整地工(標準区画0.3ha 未満バックホウによる施工)」、管水路工において「硬質ポリ塩化ビニル管人力・機械布設の継手接合」の歩掛を新規制定したほか、「暗渠排水工」で施工歩掛をサイクルタイム化するなど、15工種の歩掛を見直しました。また、国土交通省との二省共同歩掛としては、河川・水路工において「排水材設置工」、道路工において「舗装版削孔工(アスファルト舗装版)」の歩掛を新規制定したほか、「かごマット工(多段積型)」等27工種の歩掛を見直すとともに、「場所打杭工(リバースサーキュレーション工)」の歩掛については廃止しました。
(2) 土地改良工事積算基準の諸経費についても、農林水産省及び国土交通省の二省で共通する工種については、二省共同調査として、また、農林水産省の特有な工種については、単独調査として諸経費動向調査を行っているところです。
これらの調査により、令和6年度土地改良工事積算基準の諸経費として、現場管理費については全工種で諸経費率を改正しています。このほか、共通仮設費・現場管理費に係る中山間地域補正値を改正しています。
◆中山間地域補正値
共通仮設費:改正前1.1 → 改正後1.2
現場管理費:改正前1.0 → 改正後1.1
土地改良事業等請負工事の積算基準は、土地改良事業等の請負工事費を算定する上で重要な資料の一つであり、発注者をはじめとし、民間においても請負工事費の積算における標準的な指標として広く活用されています。
また、施工パッケージ型積算方式についても、積算作業の省力化、設計価格の透明性向上に効果が期待されていることから、今後一層の拡充を図っていく予定です。
農林水産省では、今後も引き続き施工機械の動向、新技術・新工法等の施工形態の変化等、現場実態を適正に反映した積算基準の改正に取り組んでいきたいと考えています。