建設物価調査会

北海道発!建設の知識を競う、高校生クイズ大会 コンストラクション甲子園

北海道発!建設の知識を競う、高校生クイズ大会 コンストラクション甲子園

北海道の高校生が参加する建設に関わるクイズ大会、その名もコンストラクション甲子園
その仕掛人である北海道建設業信用保証株式会社 帯広支店長 西科 訓 氏と 帯広二建会代表幹事 萩原 一宏 氏に、本イベントの狙いと今後の展望についてお伺いしました。

北海道建設業信用保証株式会社
帯広支店長
西科 訓 氏

帯広二建会 代表幹事
萩原 一宏 氏


クイズ大会形式のイベントを思いついたきっかけ

西科 訓 氏(以下、西科)

銀行等が主催されているエコノミクス甲子園という金融に関わる高校生のクイズ大会を見学したのがきっかけでした。地区大会を勝ち進んだ高校生が東京に集結し、熱気あふれる会場で決勝大会に挑む姿を目の当たりにして、圧倒されました。全国から集まった高校生達が心の底から楽しんでいる姿が印象的で、観客の私も胸が熱くなりました。

北海道に戻ってからも、その熱は冷めることなく、高校生たちの笑顔が脳裏に焼き付いて離れませんでした。まさにそのとき、建設を対象にしたクイズ大会をやれば、盛り上がるではないかと思いつき、すぐに帯広二建会の萩原代表幹事に相談の電話をしました。

第2回大会ポスター
(クリックで拡大)

コンストラクション甲子園ホームページ

コンストラクション甲子園Instagram



萩原 一宏 氏(以下、萩原)

西科支店長から電話をいただいたときのことを今でも覚えています。ちょうど全国会議の幹事を無事務め上げることができて、ほっとしていたタイミングでした。西科支店長は、興奮気味にエコノミクス甲子園のことを話されたあと、コンストラクション甲子園を帯広でやろうと仰いました。全国会議が終わった後なので、正直、少しゆっくりしたいなという気持ちもありましたが、これは面白そうなイベントだという直感に近い思いが上回り、二つ返事でやりましょうと答えたのを覚えています。

普段から抱いていた問題意識から開催を決意

萩原

これまでに同様のイベントを開催した経験がないにも関わらず、なぜこのイベントをやりましょうと言ったのかを考えると、建設業に携わってから「このままでは建設業はダメになる」という問題意識を普段から抱いていたからだと思います。それは、建設業に入ってくる若い人が非常に少なく、担い手不足の問題が顕在化している現状の危機感から来るものが大きいと思います。

「なぜ若い人は建設業を嫌うのか」を考えた時がありました。嫌っているのではなく、そもそも建設業に関心がないということに気がついた。無関心であるということは最も深刻な状態であると思ったのと同時に、発想を変えてみれば、「建設業に対してニュートラルな状態であるとも言えるのではないか」「建設業の良いイメージを発信していけば建設業への入職者も増えるのではないか」とポジティブに考えることもできました。建設を良くしたいと思う根底に、「建設業をもっと楽しいものにしたい」という思いを常に持っていたこともあり、今回のコンストラクション甲子園は、私がやりたいことにピッタリの企画だと直感的に感じたのだと思います。

西科

「楽しい」ということは、シンプルですが本当に重要なことなんですよね。エコノミクス甲子園で見た笑顔をコンストラクション甲子園でも見たいという思いが私の原動力になっていると実感しています。前例がないので大変であることは容易に想像できましたが、やってみたいという思いが勝ったという感じです。まずは無理をせず、開催する地区を道東3地区(十勝、釧路根室、オホーツク)に絞って開催することにしました。道東3地区の二世会メンバーも快く引き受けていただけて心から嬉しかったです。

第1回大会の様子



参加者の対象をどうするか、一から創りあげたコンセプト

萩原

当初は、高校生を対象としたクイズ大会ではなく、中学生を対象にしようと考えていました。高校生だと既に進路を決めているケースが多いのではないかと思ったのが理由です。しかし、中学生を対象にと、いざ動いてみたら難しいことが分かりました。それは、中学生までは義務教育課程であるため、市町村の教育委員会の理解を得る必要があることが分かったからです。道東3地区とはいえ、全ての市町村へ訪問し理解を得るのは現実的ではないと判断しました。

高校生であれば、北海道の教育庁の理解が得られれば進められるので、中学生ではなく高校生に対象を変更しました。とはいえ、本当に理解を得られるのか、不安を抱えながら北海道の教育庁へ説明に伺ったところ、とても好意的に受けとっていただき、道東3地区の全ての高校に対して積極的にアナウンスしていただけました。その後、全ての高校に訪問し、コンストラクション甲子園へのご理解をいただくための、宣伝活動も行いました。後に分かったことですが、参加した高校生が応募するきっかけとなったのは、先生方から薦められたというのが最も多かったです。インスタグラムや新聞広告、ポスター等でも告知を行ったのですがなかなか集まらなかったですし、我々が学校に訪問しただけでは先生方の協力は得られなかったと思いますので、北海道の教育庁の御協力にも大変感謝しています。

クイズ問題は楽しみながら製作、監修には北海道大学が協力

西科

クイズ大会に欠かせない問題の製作は、私が言い出したということもあり、当社で担当することにしました。公表されている資料を元に製作するという方針を決め、国土交通白書や環境白書などから、建設業に限定せず出題することにしました。問題案を当社の若手社員に任せてみたら、みんな楽しそうに問題を作ってくれて、早い段階からこれはやって良かったなと思いました。でき上がった問題案に不備が無いかどうか不安がありましたので、北海道大学工学部教授の高野先生に監修を依頼しました。快く引き受けてくださり、不安は解消できました。高野先生からはクイズ問題の提案を頂くなどのご支援もいただき、大変感謝しています。

決勝での問題は、2択(〇×)を5問、4択を5問、近似値パネル(筆記)を5問、アタック25ならぬアタック16、そして最後に実技2問という構成としました。実技は、「マシュマロチャレンジ」という構造物の頂上にマシュマロを乗せてその高さを競う競技と、「パスタブリッジ」という折れやすいパスタ(乾麺)で作った橋の強度を競う競技にしました。

賞品も準備しようと思い、何が良いかなと考える時間も楽しかったです。最終的には、現在再建中の首里城を見学するという案に決定しました。北海道と沖縄というのはインパクトがあって良いのではないかと盛り上がりました。


マシュマロチャレンジ測定の様子
(第1回大会)
パスタブリッジ作成の様子
(第1回大会)


アタック16解答の様子
(第1回大会)



20校から総勢98名が参加、決勝は帯広会場

萩原

予選大会は、帯広会場(とかちプラザ)14チーム28名、釧路会場(釧路プリンスホテル)15チーム30名、オホーツク会場(ホテル黒部)20チーム40名で開催しました。決勝大会は、各会場の優勝と準優勝チームを帯広に招待し開催しました。予選と決勝ともに3時間かけて知識を競い合いました。予選大会から予想した以上の数の方にご来場いただいたため想像を超えて盛り上がり、大変嬉しかったですが、こんなに人が集まるものかとイベントの大成功に正直驚きました。

3地区での予選でしたが、問題が他の地区に漏れないように同時刻にスタートするという運営の徹底が、功を奏した要因の一つではないかと分析しています。また、予想を上回る多くの方々にご来場いただき、立ち見で応援・観戦されてる方もいらっしゃるほどでした。参加者の近くに、十分な数の応援席を用意できなかったことが心残りとなりました。これらの経験を活かし、今年度開催予定の第2回では、より円滑な運営ができると思っています。

第1回決勝大会の集合写真



第1回決勝大会の様子


目標は全国大会!毎年恒例の注目イベントにしたい

西科

第1回は、初めての開催ということもあり道東3地区(十勝、釧路根室、オホーツク)に絞って開催しましたが、第2回は8地区(十勝、釧路根室、オホーツク、石狩、渡島檜山、上川と留萌の共催、空知)と大幅に拡大した規模での開催を決定しました。各地区の二世会の協力も得られ、着々とエリアを広げることができています。最終目標は全国大会まで拡大することですが、まずは北海道での開催実績を重ね、その成功体験を他都府県へ伝えられるように準備をしていきます。最初の開催者としての自覚と誇りを持ち、しっかりサポートできる体制を整える気持ちを持って、北海道一丸となって進んでいきたいという思いでいます。

全国の高校生が一所懸命に建設について学び、クイズ大会を心の底から楽しんでいる姿を見ることができるよう、我々も頑張っていきたいと思っています。業界問わず全国の多くの皆さんに応援していただきたいですし、どんな形でも構いませんので一緒に参加していただけたら嬉しいなと思っております。

萩原

第1回開催後に、参加した高校生にアンケートを取りました。教材の学びやすさ、問題の難易度、進路、建設業界への就職を希望するか(進学する生徒向け)、事前学習用に用意したwebサイトについて、希望賞品、その他意見の8項目。アンケート結果は次回の大会に活かすと共に、建設業界へのイメージアップに繋がっているか、大会開催の目的である担い手不足の解消に寄与できているかも検証していきたいと考えています。

冒頭でお話しした「建設業界をもっと楽しいものにしたい」という目標に少しでも近づくことができるよう頑張っていきたいと思います。そのためにも、コンストラクション甲子園をきっかけにして、建設業界を盛り上げる仲間をもっと増やしていくことができたら大成功ですね。

特集記事(2023年8月掲載)


北海道建設業信用保証株式会社 帯広支店長 西科 訓 氏  
帯広二建会 代表幹事 萩原 一宏 氏