はじめに
我が国の建設投資は、社会経済活動・市場動向等に与える影響が極めて大きい。
このため、国土交通省では、国内建設市場の規模とその構造を明らかにすることを目的とし、1960年度から毎年度、建設投資推計及び建設投資見通しを作成し、「建設投資見通し」として公表している。
■作成の方法
・「 建設投資推計」とは、我が国の全建設活動の実績を出来高ベースで把握したものであり、建築着工統計調査、建設工事施工統計調査、建設総合統計や建設事業費の実績値等を基に作成している。今回は、2020年度分までを確定値とし、2021年度及び2022年度分については見込み額として公表している。
・「 建設投資見通し」とは、我が国の全建設活動について出来高ベースの投資額を推計したものである。政府投資、民間住宅投資については、政府経済見通し、内閣府年央試算により推計している。それ以外の投資については、建築着工統計調査、建設総合統計等により推計している。
(留意点)
・ 建築補修(改装・改修)は、2019年度から平成27年(2015年)産業連関表に準じ、2015年度分以降を建設投資額として新たに計上している。
・ 建設工事施工統計調査は、2020年度分から新たな推計方法を用いている。
1.建設投資見通しの概要
2023年度の建設投資は、前年度比2.2%増の70兆3,200億円となる見通しである。
2023年度の建設投資は、前年度比2.2%増の70兆3,200億円となる見通しである。このうち、政府投資が25兆3,400億円(前年度比4.5%増)、民間投資が44兆9,800億円(前年度比1.0%増)となる見通しである。これを建築・土木別に見ると、建築投資が43兆4,300億円(前年度比0.6%増)、土木投資が26兆8,900億円(前年度比4.9%増)となる見通しである。
2022年度の建設投資は、前年度比1.5%増の68兆7,900億円となる見込みである。このうち、政府投資が24兆2,500億円(前年度比0.9%増)、民間投資が44兆5,400億円(前年度比1.8%増)と見込まれる。これを建築・土木別に見ると、建築投資が43兆1,600億円(前年度比0.6%増)、土木投資が25兆6,300億円(前年度比3.0%増)となる見込みである。
建設投資は、1992年度の84兆円をピークに減少基調となり、2010年度には1992年度の半分程度にまで減少した。その後、東日本大震災からの復興等により回復傾向となっている。2023年度の建設投資については、2022年度の補正予算等に係る政府建設投資が見込まれること等から、総額として70兆3,200億円となる見通しである。
2.国内総生産と建設投資の関係
2023年度の建設投資が国内総生産に占める比率は、12.3%となる見通しである。
国内総生産に占める建設投資の比率は、1975年頃は20%以上あったが、その後、減少傾向となった。1986年度から1990年度にかけて一時増加したものの、その後再び減少基調となった。近年では、約10%程度で推移しており、実績額で比較可能な2020年度では12.4%となっている。
3.建設投資の構成と推移
(1)建設投資の構成と推移
2023年度建設投資見通しにおける建設投資の構成を見ると、政府土木投資と民間建築投資の合計が全体の80%を占めている。
2023年度の建設投資の構成を見ると、民間投資が64%、政府投資が36%である。
民間投資のうち住宅、非住宅及び建築補修(改装・改修)投資を合わせた建築投資が全体の53%を占めている。政府投資は土木投資が全体の27%を占めており、この両者で建設投資全体の80%を占めている。
(2)建築・土木別構成比の推移
2023年度の建設投資は、建築投資が62%で、土木投資が38%となる見通しである。
建築と土木との構成比については、1998年度以降、建築投資が増加する一方で政府土木投資が減少し、建築投資の占める比率が2006年度には60%となった。
その後、一時的に土木投資が増加したが、2015年度以降、建築投資が60%台、土木投資が30%台で推移している。
(3)政府建設投資の動向
2023年度の政府建設投資は、前年度比4.5%増の25兆3,400億円となる見通しである。
2023年度は、前年度比4.5%増加し、25兆3,400億円となる見通しである。
2022年度は、前年度比0.9%増加し、24兆2,500億円となる見込みである。
(4)住宅投資の動向
2023年度の住宅投資は、前年度比2.9%増の17兆8,300億円となる見通しである。
2023年度の民間住宅投資は、前年度比2.9%増の17兆4,100億円となる見通しである。また、政府住宅投資を合わせた2023年度の住宅投資全体では、前年度比2.9%増の17兆8,300億円となる見通しである。
(参考)
2022年度の新設住宅着工戸数は、前年度比0.6%減の86.1万戸であった。利用関係別に見ると、持家は24.8万戸(前年度比11.8%減)、貸家は34.7万戸(前年度比5.0%増)、給与住宅は0.6万戸(前年度比4.1%増)、分譲住宅は26.0万戸(前年度比4.5%増)となっている。
(5)建築補修(改装・改修)投資の動向
2023年度の建築補修(改装・改修)投資は、前年度比4.6%増の11兆3,400億円となる見通しである。
2023年度の民間建築補修(改装・改修)投資は、前年度比4.7%増の9兆3,600億円となる見通しである。また、政府建築補修(改装・改修)投資を合わせた2023年度の建築補修(改装・改修)投資全体では、前年度比4.6%増の11兆3,400億円となる見通しである。
建築補修(改装・改修)投資は、建築投資全体に対し約30%を占めている。
(6)民間非住宅建設(非住宅建築及び土木)投資の動向
2023年度の民間非住宅建設(非住宅建築及び土木)投資は、前年度比2.5%減の18兆2,100億円となる見通しである。
2023年度の民間非住宅建築投資は、前年度比8.1%減の10兆2,800億円となる見通しである。また、民間土木投資は、前年度比5.9%増の7兆9,300億円となる見通しである。
これにより、2023年度の民間非住宅建設(非住宅建築及び土木)投資は、前年度比2.5%減の18兆2,100億円となる見通しである。
2022年度の民間非住宅建設(非住宅建築及び土木)投資は、前年度比2.9%増の18兆6,800億円となる見込みである。
このうち、民間非住宅建築投資は11兆1,900億円(前年度比1.5%増)、民間土木投資は7兆4,900億円(前年度比4.9%増)となる見込みである。
建設投資見通しは、国土交通省のホームページで公表しているので参照されたい。(https://www.mlit.go.jp/report/press/joho04_hh_001175.html)