建設物価調査会

令和6(2024)年度建設機械等損料の改定について

令和6(2024)年度建設機械等損料の改定について

国土交通省 大臣官房参事官(イノベーション)グループ 施工企画室 業務係


  1. 建設機械等損料の概要
  2. 建設機械等損料の構成
  3. 令和6年度 建設機械等損料改定の概要


.建設機械等損料の概要

 建設機械等損料(以下、「機械損料」といいます。)とは、土木請負工事費の積算に用いる機械経費の一部であり、建設業者が自ら保有する建設機械等の償却費・維持修理費・管理費等のライフサイクルコストを1時間当たりまたは1日当たりの金額で示したものです。(図表1)

図表1 機械損料の概要

 昭和30年代の社会資本整備に伴う工事量の急激な増大と同時に進行した機械化施工の普及に伴って、公共工事の執行体制が公的機関の直営から民間への請負方式へ移行が進みました。また、昭和35年には「中央建設業審議会(中建審)」勧告を受けて、積算の適正化を図るための統一的な積算基準類(土木請負工事工事費積算要領、土木請負工事工事費積算基準)を昭和42年に制定し、昭和58年までには土木工事標準歩掛をはじめとする積算基準類を公表しました。

 機械損料についても、昭和49年に建設機械の購入価格と維持修理費との関係により経済的使用時間を設定する、「アッカーマン方式」の算定式を用いた機械損料の考え方を示した「請負工事機械経費積算要領」を制定し、他の基準類と同様、昭和58年に公表しました。

 その後、変化する社会情勢等の実態を踏まえ、建設機械の拘束時間(管理費)の概念を取り入れたり、建設機械の使用年数を法定耐用年数から実稼働に即した標準使用年数に見直したりする等、様々な改正を経て、現在に至っています。

2.建設機械等損料の構成

 個別機械の機械損料は、「請負工事機械経費積算要領」の別表である「建設機械等損料算定表」に一覧表の形式で掲載されています。(図表2)

図表2 建設機械等損料算定表(抜粋)

 その構成は以下の通りです。

 なお、「請負工事機械経費積算要領」の別表である「建設機械等損料算定表」の諸数値については、継続した実態調査の結果をもと定期的に見直しを行っています。

① 基礎価格

 建設機械の販売・取得価格をもとに設定している損料算定のための価格で、標準付属品を装備した国内における機械の実勢取引価格(消費税は含まない)です。

② 標準使用年数

 一般的な維持管理のもと、建設機械本来の用途・用法により、通常予定される機械の効率が十分発揮できる使用年数をいいます。

③ 運転時間(年間標準)

 建設機械が目的の作業を行う時間、作業のための自走による移動時間、作業待ち等によるエンジンの空転時間、その他作業に関連する1年間の標準的な時間をいいます。

④ 運転日数(年間標準)

 運転時間の多少にかかわらず、建設機械が1年間に運転される標準的な日数をいいます。

⑤ 供用日数(年間標準)

 建設機械が工事現場に供用される1年間の標準的な日数をいいます。(建設機械を工事現場に搬入し、または工事現場から搬出するために必要な日数を含みます。)

⑥ 維持修理費

 建設機械の効用を持続するために必要な整備および修理の費用で、運転経費に含まれている消耗部品費以外のものをいいます。

⑦ 年間管理費

 建設機械の保有に伴い必要となる租税公課、保険料、格納保管(これに要する要因を含む)等の経費であり、年間に必要な管理費をいいます。

⑧ 償却費及び償却費率

 償却費は、建設機械の使用または経年による価値の減価額であり、償却費率は、使用期間中の償却費総額の基礎価格に対する割合をいいます。
 償却費率は「償却費率=1-残存率/100」という式で求めます。
 残存率は建設機械毎の処分や下取り状況の調査のもとに、実態に応じた値を設定しています。

3.令和6年度 建設機械等損料改定の概要

 建設機械等損料の実態調査は、全国の建設業に携わる工事業者等を対象に約5,000の建設機械について行っています。

 建設機械分類毎の平均変動率(改定前(令和4年度版損料)との比較)は、図表3のとおりです。

図表3 機械分類別平均変動率

 そのほか、建設機械の保有状況を踏まえて、掲載機種の追加、削除、名称変更等を行っています。

 今回改定対象とした建設機械の詳細については、下記の国土交通省ホームページに一覧表資料を掲載していますのでご参照ください。

○ 国土交通省ホーム>政策・仕事>技術調査>建設施工・建設機械>建設機械等損料
 URL: https://www.mlit.go.jp/tec/constplan/sosei_constplan_tk_000025.html





建設物価2024年5月号

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