公共建築工事における労務費等の内訳把~単位施工単価等について~
令和6年6月に第三次・担い手3法(公共工事の品質確保の促進に関する法律建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律)が改定され建設業法において,中央建設業審議会が労務費に関する基準を作成し.勧告できることが規定され,令和7年12月に労務費に関する基準が勧告された(建設業法第況条第2項関連)。
労務費に関する基準については.労務単価(円/人日(8時間)) X歩掛(人日/単位施工量)の計算式によって単位施工量当たりの労務費として示すことが基本とされている。その際労務単価については.公共工事設計労務単価を適用し.歩掛については,国土交通省直轄工事で用いられている歩掛を活用することを原則とされている。
また建設業者は.建設工事の請負契約を締結するに際して,材料費労務費等を記載した「材料費等記載見禎掛」の作成が努力義務化され(建設業法第20条).中小の建設業者や一人親方も含め.労務費等を内訳明示した適正な見禎街を作成する商慣行が形成されるよう.取組を進めることとなっている。特に建築工事においては,改正法施行時点において,材料費,労務費,機械損料経費等が内訳明示されていない総価ー式での取引が一般的となっている職種・エ種が多いことに留意し,実効性確保策を講じることとされている。
さらに公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律第12条にて, 「建設業者は,公共工事の入札に係る申込みの際に,入札金額の内訳(材料費労務費及び当該公共工事に従事する労働者による適正な施工を確保するために不可欠な経費として国土交通省令で定めるものその他当該公共工事の施工のために必要な経費)を記載した筍類を提出しなければならない。」とされている。
前述した状況から.公共建築工事においても労務費等の内訳把握の取組が期待される。
一方,公共建築工事で使用している単価である市場単価は,歩掛りを用いず.元請業者と下請の専門工事業者間の取引についての調査結果に基づ<材エー式単価のため.労務費の把握ができない課題がある。
そこで.国土交通省大臣官房官庁営繕部では.市場単価の労務費や材料費等の内訳把握に向けて.各エ種の代表的な規格・仕様の歩掛り調査を順次実施し,複合単価の算定方法と元請業者と下請の専門工事業者間の取引についての調査結果を組み合わせることにより求められる価格(単位施工単価)の仕組みを構築し,公共建築工事標準単価租算基準等の改定を行った。
公共建築工事標準単価租算基準に新たにれた単位施工単価は.複合単価の算定方法と元請業者と下請の専門工事業者間の取引についての調査結果を組み合わせることにより求められる価格であり市場における取引実態を反映しつつも単位施工当たりに必要とされる標準的な材料費労務費等の内訳を把握できるようにした単価である。(資料参照)
(1) 単位施工単価( ベース単価) について
細目エ種を代表する規格・仕様の単位施工単価(以下,「ベース単価」という) は複合単価の算定方法により算定する。工事場所の材料単価, 労務単価を用いて算定することを基本とする。
なお鉄筋ガス圧接, 型枠については. 労務費に関する基準の算定用歩掛りにベース単価の労務歩掛りが採用されている。
(2) 単位施工単価( シフト単価) について
ベース単価以外の規格・仕様の単位施工単価( 以下. 「シフト単価」という) はベース単価との乖離を元請業者と下請の専門工事業者間の取引の調査結果に基づき以下の調整式により算定する。
ベース単価以外の規格・仕様の単位施工単価( 以下. 「シフト単価」という) はベース単価との乖離を元請業者と下請の専門工事業者間の取引の調査結果に基づき以下の調整式により算定する。

シフト単価は物価資料の掲載価格等によることを基本とする。
(3) 適用エ種
鉄筋, ガス圧接及び型枠について, 単位施工単価を導入している。
各エ種における単位施工単価の細目エ種は表1~3の通りであり市場単価で用いていた細目エ種と同じ細目及び摘要である。
各エ種におけるベース単価の歩掛りを表4~6に示す。






その他の市場単価のエ種については.順次歩掛り調査を実施しており,単位施工単価への移行を検討する予定である。
労務費等の内訳把握に資するため.公共建築工事内訳書標準魯式について,労務費などの内訳が記載可能な書式への改定を行った。

労務費等の内訳把握に資するため,公共建築工事見租標準困式について,労務費などの内訳が記載可能な書式への改定を行った。

上記基準類の改定に伴い,鉄筋ガス圧接及び型枠について,補正単位施工単価の算定方法を追加(改定前は補正市場単価の算定方法を明示)。
令和8年1月1日以降に入札公告等を行う工事に適用する。
基準類の改定内容の詳細については国土交通省大臣官房官庁営繕部HPよりご確認いただきたい。
https:/ /www.mlit.go.jp/g ob uild/g obuild_tk2_000017.html



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