国内の建設工事の統計資料をみると、2024年8月の公共工事請負額は全国で前年同月比3.9%減(建設業保証会社)、2024年7月の新設住宅着工戸数は、貸家が増加したが、持家、分譲住宅が減少したため、全体で前年同月比0.2%減少、民間非居住建築物着工床面積では事務所、店舗は増加したが、工場、倉庫が減少したため10.3%減(国土交通省)となっている。一方、主要資材の需要動向は、小形棒鋼が7月の国内出荷量で前年同月比1.1%減、H形鋼が4.3%減(日本鉄鋼連盟)、生コンが8月の東京17区出荷量で8.4%減(東京地区生コンクリート協同組合)、アスファルト混合物が7月の東京地区出荷量で7.1%増(日本アスファルト合材協会)となっている。
東京地区の主要10資材の価格動向は、異形棒鋼、H形鋼の2資材が下落、セメント、生コン、再生砕石、コンクリート型枠用合板、再生アスファルト混合物、600Vビニル絶縁電線、配管用炭素鋼鋼管(ガス管)、軽油の8資材が横ばい、上伸した資材はなかった。
【異形棒鋼】 メーカー各社は適正利益確保のため現行価格維持の姿勢を強めているが、数量確保を優先する流通業者間の販売競争が広がり、下落局面となった。需要家は当用買いに徹しながら値下げ要求を強めており、目先も弱基調の見通し。
【H形鋼】 仕入れ価格の高止まりや自社コスト増加分の価格転嫁が進まない中で、流通各社は現行価格を維持したい意向にあるが、目先の売り上げ確保を優先した販売競争により、小幅ながら下落した。目先も弱基調の見通し。
【セメント】 横ばい。セメントメーカー各社は、輸送コストや設備投資費などの上昇を理由に、2025年4月から2,000円以上の値上げを表明。メーカーは早期浸透を目指し、需要家との交渉を秋口から本格的に展開する構え。先行きも横ばいの見通し。
【生コン】 横ばい。骨材の値上げや輸送コストの増加が止まらず、工場の採算が圧迫される懸念が強まっている。2025年4月からはセメント値上げも見込まれ、協組は状況を見極めながら、次年度の販売価格を10月に公表するとしている。先行きも横ばいの見通し。
【再生砕石】 横ばい。メーカー各社は、輸送コスト増加分を製品価格に転嫁したい意向にあるが、需要家は採算確保を重視し値上げの受け入れには慎重な姿勢を崩していない。先行きも横ばいの見通し。
【コンクリート型枠用合板】 横ばい。需要は盛り上がりに欠けるものの、流通筋は仕入れコスト高の製品を抱えているため、現行価格の維持に努める構え。需要家は足元の為替変動を理由に様子見姿勢を強めており、目先も横ばいの見通し。
【再生アスファルト混合物】 横ばい。メーカー各社は、製造・輸送コストの高止まり分を販売価格に転嫁するため、値上げ交渉を継続。一方、需要家は足元のストアス価格が下落に転じたことで値下げ要求を強めている。交渉はこう着状態が続くとの見方が強く、目先も横ばいの見通し。
【電線】 横ばい。流通各社は高値在庫を抱えていることや、メーカーの価格改定分の転嫁が不十分なため、強気な販売姿勢を続けているが、需要家は当用買いに徹し、買い急ぐ動きは見られない。目先も横ばいの見通し。
【配管用炭素鋼鋼管(ガス管)】 横ばい。採算悪化を懸念する需要家の購入姿勢が厳しい状況下、流通筋は輸送コスト増加を背景に値上げ交渉を進めるべく、現状価格の維持に注力する構え。先行きも横ばいの見通し。
【軽油】 横ばい。原油調達コストは低下したが、激変緩和補助金は減額となり、元売り各社の実質仕切価格は小幅な値動きに留まった。今後も補助金により国内市況は安定するとみられ、目先も横ばいの見通し。