建設物価調査会

前月号の主要資材動向(東京)

2024年9月10日現在 東京

主要資材価格動向

主要資材動向

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品名品名規格単位価格前月比気配掲載ページ
異形棒鋼異形棒鋼SD295 D16t113,000
下落
弱含み
16
H形鋼H形鋼SS400 200×100×5.5×8mmt120,000
下落
弱含み
26
中厚板中厚板無規格品 16~25×1,524×3,048mmt142,000
変わらず
弱含み
40
カラー亜鉛鉄板カラー亜鉛鉄板0.35×914×1,829mm1,548
変わらず
弱含み
54
セメントセメント普通ポルトランド バラt16,000
変わらず
横ばい
79
レディーミクストコンクリートレディーミクストコンクリート18-18-25(20) 普通ポルトランド(17区)m320,800
変わらず
横ばい
92
再生砕石再生砕石再生クラッシャラン 40~0mm(17区)m31,200
変わらず
横ばい
129
管柱 杉(KD)管柱 杉(KD)3.0m×10.5×10.5cmm377,000
変わらず
横ばい
160
コンクリート型枠用合板コンクリート型枠用合板12×900×1,800mm 輸入品1,770
変わらず
横ばい
175
再生アスファルト混合物再生アスファルト混合物密粒度13(14区)t10,000
変わらず
横ばい
211
ストレートアスファルトストレートアスファルト針入度60~80 ローリーt110,000
下落
弱含み
219
ダクタイル鋳鉄管ダクタイル鋳鉄管内面エポキシ粉体塗装 水道用 GX形1種 75mm×4m28,400
変わらず
横ばい
285
フロート板ガラスフロート板ガラスFL5 2.18m2以下(特寸)m22,260
変わらず
横ばい
496
600V ビニル 絶縁電線600V ビニル 絶縁電線Ⅳ 1.6mm 単線m37.9
変わらず
横ばい
539
配管用炭素鋼鋼管(ガス管)配管用炭素鋼鋼管(ガス管)白ねじ付き管 50A 4m7,340
変わらず
横ばい
654
硬質ポリ塩化ビニル管硬質ポリ塩化ビニル管VP100mm 4m4,190
変わらず
横ばい
688
軽油軽油ローリー115.0
変わらず
横ばい
788
鉄スクラップ鉄スクラップヘビーH2t36,500
下落
弱含み
794
矢印説明

<市況総括>

 国内の建設工事の統計資料をみると、2024年8月の公共工事請負額は全国で前年同月比3.9%減(建設業保証会社)、2024年7月の新設住宅着工戸数は、貸家が増加したが、持家、分譲住宅が減少したため、全体で前年同月比0.2%減少、民間非居住建築物着工床面積では事務所、店舗は増加したが、工場、倉庫が減少したため10.3%減(国土交通省)となっている。一方、主要資材の需要動向は、小形棒鋼が7月の国内出荷量で前年同月比1.1%減、H形鋼が4.3%減(日本鉄鋼連盟)、生コンが8月の東京17区出荷量で8.4%減(東京地区生コンクリート協同組合)、アスファルト混合物が7月の東京地区出荷量で7.1%増(日本アスファルト合材協会)となっている。

 東京地区の主要10資材の価格動向は、異形棒鋼、H形鋼の2資材が下落、セメント、生コン、再生砕石、コンクリート型枠用合板、再生アスファルト混合物、600Vビニル絶縁電線、配管用炭素鋼鋼管(ガス管)、軽油の8資材が横ばい、上伸した資材はなかった。

 【異形棒鋼】 メーカー各社は適正利益確保のため現行価格維持の姿勢を強めているが、数量確保を優先する流通業者間の販売競争が広がり、下落局面となった。需要家は当用買いに徹しながら値下げ要求を強めており、目先も弱基調の見通し。

 【H形鋼】 仕入れ価格の高止まりや自社コスト増加分の価格転嫁が進まない中で、流通各社は現行価格を維持したい意向にあるが、目先の売り上げ確保を優先した販売競争により、小幅ながら下落した。目先も弱基調の見通し。

 【セメント】 横ばい。セメントメーカー各社は、輸送コストや設備投資費などの上昇を理由に、2025年4月から2,000円以上の値上げを表明。メーカーは早期浸透を目指し、需要家との交渉を秋口から本格的に展開する構え。先行きも横ばいの見通し。

 【生コン】 横ばい。骨材の値上げや輸送コストの増加が止まらず、工場の採算が圧迫される懸念が強まっている。2025年4月からはセメント値上げも見込まれ、協組は状況を見極めながら、次年度の販売価格を10月に公表するとしている。先行きも横ばいの見通し。

 【再生砕石】 横ばい。メーカー各社は、輸送コスト増加分を製品価格に転嫁したい意向にあるが、需要家は採算確保を重視し値上げの受け入れには慎重な姿勢を崩していない。先行きも横ばいの見通し。

 【コンクリート型枠用合板】 横ばい。需要は盛り上がりに欠けるものの、流通筋は仕入れコスト高の製品を抱えているため、現行価格の維持に努める構え。需要家は足元の為替変動を理由に様子見姿勢を強めており、目先も横ばいの見通し。

 【再生アスファルト混合物】 横ばい。メーカー各社は、製造・輸送コストの高止まり分を販売価格に転嫁するため、値上げ交渉を継続。一方、需要家は足元のストアス価格が下落に転じたことで値下げ要求を強めている。交渉はこう着状態が続くとの見方が強く、目先も横ばいの見通し。

 【電線】 横ばい。流通各社は高値在庫を抱えていることや、メーカーの価格改定分の転嫁が不十分なため、強気な販売姿勢を続けているが、需要家は当用買いに徹し、買い急ぐ動きは見られない。目先も横ばいの見通し。

 【配管用炭素鋼鋼管(ガス管)】 横ばい。採算悪化を懸念する需要家の購入姿勢が厳しい状況下、流通筋は輸送コスト増加を背景に値上げ交渉を進めるべく、現状価格の維持に注力する構え。先行きも横ばいの見通し。

 【軽油】 横ばい。原油調達コストは低下したが、激変緩和補助金は減額となり、元売り各社の実質仕切価格は小幅な値動きに留まった。今後も補助金により国内市況は安定するとみられ、目先も横ばいの見通し。

<市況(現況と見通し)>

  • 異形棒鋼

    圖師
    先行き気配

    限られた数量を巡り、12ヵ月ぶりの下落

     SD295・D16でトン当たり113,000円と前月比1,000円の下落。新規需要が低迷しており、盆明け以降も市中は盛り上がりを欠く商状が続いている。メーカー各社は適正利益確保のため現行価格維持の姿勢を強めているが、数量確保を優先する流通業者間の販売競争が広がり、下落局面となった。海外相場の影響から原料の鉄スクラップ価格は弱基調で推移しており、需要家は原料価格に対し製品価格が割高として、当用買いに徹しながら値下げ要求を強めている。目先、弱基調の公算が大きい。

  • H形鋼

    名嘉
    先行き気配

    荷動き鈍く、2,000円下落

     200×100でトン当たり120,000円と前月比2,000円の下落。市中の荷動きへの影響が大きい中小建築向けの需要が依然として精彩を欠いており、需給にタイト感は出ていない。仕入れ価格の高止まりや自社コスト増加分の価格転嫁が進まない中で、流通各社は現行価格を維持したい意向にあるが、目先の売り上げ確保を優先した販売競争により、小幅ながら下落した。中小物件に回復の兆しはなく、買い手優位の状況が続くとの見方が大勢を占めている。目先、弱基調の公算が大きい。

  • セメント

    佐藤
    先行き気配

    需給引き締まらず、横ばい

     普通ポルトランド(バラ)でトン当たり16,000円と前月比変わらず。7月の国内販売量は、300万8千トン(協会調べ)で前年同月比1.6%の減少。都心部の再開発物件向けの需要は堅調であるが、全国で見ると荷動きが鈍く、前年同月を下回る状況が続いている。セメントメーカー各社は、輸送コストや設備投資費などの上昇を理由に、2025年4月から2,000円以上の値上げを表明。メーカーは早期浸透を目指し、需要家との交渉を秋口から本格的に展開する構え。先行き、横ばいの公算大。

  • レディーミクストコンクリート

    佐藤
    先行き気配

    販売店は現行価格を維持、横ばい

     18-18-20でm3当たり20,800円と前月比変わらず。8月の東京17区出荷量は、18万7千m3(協組調べ)で前年同月比8.4%の減少。協組が4月に打ち出した値上げは早期に浸透したが、骨材の値上げや輸送コストの増加が止まらず、工場の採算が圧迫される懸念が強まっている。2025年4月からはセメント値上げも見込まれ、協組は状況を見極めながら、次年度の販売価格を10月に公表するとしている。販売店は協組の動向に注視しつつ、現行価格を維持する構え。先行き、横ばいの公算が大きい。

  • 再生砕石

    藤巻
    先行き気配

    需要の低迷続くも、横ばい

     再生クラッシャラン40~0mmでm3当たり1,200円と前月比変わらず。主な用途である路盤工事向けの需要は、新設工事案件に乏しく盛り上がりを欠いた状態が続いている。一方、廃材の在庫量は、堅調な解体工事からの発生により高水準で推移している。メーカー各社は、輸送コスト増加分を製品価格に転嫁したい意向にあるが、需要家は採算確保を重視し値上げの受け入れには慎重な姿勢を崩していない。需給双方の主張は平行線をたどっており、先行き、横ばいの公算が大きい。

  • コンクリート型枠用合板

    飯島
    先行き気配

    取引は当用買い中心、横ばい

     12×900×1,800㎜輸入品で枚当たり1,770円と前月比変わらず。7月の輸入合板入荷量は、18万2千m3(財務省調べ)で前年同月比21.1%の増加。入荷量は増加に転じたが、在庫過剰感はなく、需給は低水準で均衡している。需要は盛り上がりに欠けるものの、流通筋は仕入れコスト高の製品を抱えているため、現行価格の維持に努める構え。一方、需要家は足元の為替変動を理由に様子見姿勢を強めている。需要家の当用買い中心の取引は続くとみられ、目先、横ばいの公算が大きい。

  • 再生アスファルト混合物

    筒井
    先行き気配

    価格交渉こう着、横ばい

     密粒度13でトン当たり10,000円と前月比変わらず。4~7月の都内出荷量は、54万7千トン(協会調べ)で前年同期比4.9%の増加。需要は水道やガス工事、維持修繕工事向けが中心であり、新設大型工事に乏しく、商状は盛り上がりを欠いている。メーカー各社は、製造・輸送コストの高止まり分を販売価格に転嫁するため、値上げ交渉を継続。しかし、足元のストアス価格が下落に転じたことで需要家は値下げ要求を強めている。交渉はこう着状態が続くとの見方が強く、目先、横ばいの公算大。

  • 板ガラス

    飯島
    先行き気配

    価格交渉はこう着、横ばい

     フロート板ガラスFL5 2.18m2以下(特寸)でm2当たり2,260円と前月比変わらず。7月の板ガラス出荷量は、1,338千換算箱(経産省調べ)で前年同月比1.4%の減少。需要は新設住宅着工戸数の低迷に伴い、盛り上がりを欠く。メーカーは輸送コスト増やこれまでの値上げ未転嫁分を含めた価格浸透を進め、売り腰を強めたい意向。流通筋も需要家に対し、運搬条件の改定交渉を進める構えだが、需要回復は期待薄との見方が強く、交渉本格化には時間を要する見込み。先行き、横ばいの公算大。(換算箱:1換算箱は、厚さ2mm、面積9.29㎡の板ガラスの数量をあらわす単位)

  • 電線

    木村
    先行き気配

    銅価格下落傾向も、横ばい

     IV1.6mm単線でm当たり37.9円と前月比変わらず。主原料である銅の建値は9月上旬で134万円と前月上旬と同水準で推移したが、5月に急騰後は反落し下落傾向にある。流通各社は高値在庫を抱えていることや、メーカーの価格改定分の転嫁が不十分なため、強気な販売姿勢を続けているが、需要家は当用買いに徹し、買い急ぐ動きは見られない。需要は都心部の再開発事業を中心に一定量あるが、中小物件向けの荷動きは鈍く盛り上がりに欠け、両者模様眺めの様相。目先、横ばいの公算大。

  • 配管用炭素鋼鋼管(ガス管)

    徳永
    先行き気配

    需要不振続くも、横ばい

     白ねじ付き管50A4mで本当たり7,340円と前月比変わらず。大型再開発物件が堅調に推移する一方、需要の中心となる中小物件の不振や樹脂管等代替品の採用、労働者不足や工事費高騰による建設計画見直しの影響を受け、荷動きの低迷が続いている。採算悪化を懸念する需要家の購入姿勢が厳しい状況下、流通筋は輸送コスト増加を背景に値上げ交渉を進めるべく、現状価格の維持に注力する構え。交渉は難航しており、しばらくこう着状態が続く見込み。先行き、横ばいの公算が大きい。

  • 燃料油

    村平
    先行き気配

    原油相場は不安定も、激変緩和対策により横ばい

     軽油はローリー渡しでリットル当たり115円、レギュラーガソリンはスタンド渡しで156円とともに前月比変わらず。原油相場は、中東の地政学リスクの高まりから供給不安が拡大し8月上旬に一時上昇。中旬以降は、米・中経済に対する減速懸念から需給緩和の見方が強まり、大幅下落した。原油調達コストは低下したが、激変緩和補助金は減額となり、元売り各社の実質仕切価格は小幅な値動きに留まった。今後も補助金により国内市況は安定するとみられ、目先、横ばいの見込み。

  • 鉄スクラップ

    石井
    先行き気配

    円高為替相場の影響大きく、5,500円の下落

     ヘビーH2でトン当たり36,500円と前月比5,500円の下落。日銀の追加利上げやアメリカの景気後退懸念から、対ドルの為替相場は急激に円安是正が進み、関東輸出取引も値を下げた。夏季減産による需要減少下、発生も少なく需給に大きな変動はないが、8月下旬の関東大手電炉メーカー炉休の影響で一段安となり周辺メーカーにも浸透した。中国の過剰生産によるビレット価格の下落もあり、海外相場に底打ち感は見られない。為替の動向が最大のポイントとなるが、目先、弱基調の公算が大きい。

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