建設物価調査会

前月号の主要資材動向(東京)

2023年08月10日現在 東京

主要資材価格動向

主要資材動向

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品名品名規格単位価格前月比気配掲載ページ
異形棒鋼異形棒鋼SD295 D16t115,000
下落
弱含み
16
H形鋼H形鋼SS400 200×100×5.5×8mmt122,000
下落
弱含み
26
中厚板中厚板無規格品 16~25×1,524×3,048mmt143,000
変わらず
弱含み
40
カラー亜鉛鉄板カラー亜鉛鉄板0.35×914×1,829mm1,548
変わらず
弱含み
54
セメントセメント普通ボルトランド バラt16,000
変わらず
横ばい
79
レディーミクストコンクリートレディーミクストコンクリート18-18-25(20) 普通ボルトランド(17区)m319,800
上伸
横ばい
92
再生砕石再生砕石再生クラッシャラン 40~0mm(17区)m31,200
変わらず
横ばい
129
管柱 杉(KD)管柱 杉(KD)3.0m×10.5×10.5cmm380,000
下落
横ばい
160
コンクリート型枠用合板コンクリート型枠用合板12×900×1,800mm 輸入品1,800
変わらず
強含み
175
再生アスファルト混合物再生アスファルト混合物密粒度13(14区)t9,900
変わらず
横ばい
211
ストレートアスファルトストレートアスファルト針入度60~80 ローリーt106,000
上伸
強含み
219
600V ビニル 絶縁電線600V ビニル 絶縁電線Ⅳ 1.6mm 単線m33.3
上伸
横ばい
539
配管用炭素鋼鋼管(ガス管)配管用炭素鋼鋼管(ガス管)白ねじ付き管 50A 4m6,670
変わらず
横ばい
654
硬質ポリ塩化ビニル管硬質ポリ塩化ビニル管VP100mm 4m4,190
変わらず
横ばい
688
軽油軽油ローリー124.0
上伸
強含み
788
鉄スクラップ鉄スクラップヘビーH2t42,000
上伸
横ばい
794
矢印説明

<市況総括>

 国内の建設工事の統計資料をみると、2023年7月の公共工事請負額は全国で前年同月比6.8%増(建設業保証会社)、2023年6月の新設住宅着工戸数は、持家、賃家及び分譲住宅が減少したため、全体で前年同月比4.8%減少、民間非居住建築物着工床面積では事務所、店舗、工場及び倉庫が減少したため35.1%減(国土交通省)となっている。一方、主要資材の需要動向は、小形棒鋼が6月の国内出荷量で前年同月比6.4%減、H形鋼が3.2%減(日本鉄鋼連盟)、生コンが7月の東京17区出荷量で3.4%減(東京地区生コンクリート協同組合)、アスファルト混合物が6月の東京地区出荷量で8.3%減(日本アスファルト合材協会)となっている。

 東京地区の主要10資材の価格動向は生コン、600Vビニル絶縁電線、軽油の3資材が上伸、異形棒鋼、H形鋼、の2資材が下落、セメント、再生砕石、コンクリート型枠用合板、再生アスファルト混合物、配管用炭素鋼鋼管(ガス管)の5資材が横ばいとなった。

 【生コン】 協組は4月に打ち出した2,000円値上げの早期浸透に向けて、売り腰を強め交渉。ここにきて引き合いが増加し、需要家と販売店との間で新規契約が進んだことで打ち出し額が浸透した。目先、横ばいの見通し。【電線】 銅の価格上昇を受けメーカー各社は、仕切価格を引き上げ、流通各社も採算確保に向けて売り腰を強めたことから、値上げ額の一部が浸透した。目先、横ばいの見通し。【軽油】 ローリー渡しでリットル当たり124円と前月比5円上伸。原油相場の上昇、激変緩和補助の段階的縮減が続くなか、流通筋は採算重視の姿勢で価格転嫁を進め、全油種で値上げ額の一部が浸透した。需給ひっ迫の見方が強まっており、目先も強基調の見通し。

 【異形棒鋼】 需要が低迷するなか、メーカー各社は現行価格維持の姿勢を示しているものの、先安観の払拭には至らず続落。流通筋の価格競争は激しさを増すものとみられ、目先も弱基調の公算が大きい。【H形鋼】 メーカー各社は販売価格を据え置いたが、荷動き低迷で流通各社の売り腰は弱く、小幅下落。需要の中心である中小物件に回復の兆しは見られないため、買い手優位の状況が続くとの見方が多く、目先も弱基調の公算が大きい。

 【セメント】 横ばい。メーカーは、昨年からの値上げ目標額が浸透した現行価格を維持し、悪化した採算の改善に取り組む構え。先行きも横ばいの見通し。【再生砕石】 横ばい。工事の利益確保を優先する需要家の厳しい要求は依然として続くも、メーカーはコスト高を販売価格に転嫁すべく交渉を継続。需給双方の主張は平行線を辿っており、先行きも横ばいの見通し。【コンクリート型枠用合板】 横ばい。需給の引き締まりを背景として、流通筋は値下げによる売り上げ確保の方針から採算重視の姿勢に切り替えた。今後、需給はひっ迫感を増すとの見方が強く、先行き、強含みの見通し。【再生アスファルト混合物】 横ばい。メーカー各社は、値上げ未達分の浸透を目指して交渉を継続しているが、需要家は工事量減少による採算悪化を回避すべく値下げ要求を続けており、交渉は平行線を辿っている。しばらくはこう着状態が続くと予想され、先行きも横ばいの見通し。【配管用炭素鋼鋼管(ガス管)】 横ばい。需要家の購入姿勢が厳しさを増す一方、流通筋はメーカー値上げ未転嫁分を販売価格へ転嫁すべく交渉を続け、需要不振に伴う安値販売を避けている。先行きも横ばいの見通し。

<市況(現況と見通し)>

  • 異形棒鋼

    圖師
    先行き気配

    需要低迷により、1,000円続落

     SD295・D16でトン当たり115,000円と前月比1,000円の下落。新規需要の減少や作業員不足による工事の遅れから荷動きは鈍く、市中は盛り上がりに欠く状況が続いている。メーカー各社は現行価格維持の姿勢を示しているものの、先安観の払拭には至らず安値取引が増加した。需給が引き締まるにはまだ時間を要するとの見方が大勢を占め、需要家は値下げ要求を強めながら当用買いに徹している。流通筋の価格競争は激しさを増すものとみられ、目先、弱基調の公算が大きい。

  • H形鋼

    名嘉
    先行き気配

    荷動き鈍く、小幅下落

     200×100でトン当たり122,000円と前月比1,000円の下落。メーカー各社は販売価格を据え置いたが、荷動き低迷で流通各社の売り腰は弱く、小幅下落となった。需要家は発注を手控え当用買いの姿勢を強めている。流通は販売量が落ち込んでいるため、在庫調整に取り組んでいるが、目先の売り上げ確保を優先した安値も散見される。需要の中心である中小物件に回復の兆しは見られないため、買い手優位の状況が続くとの見方が多い。目先、弱基調の公算が大きい。

  • 中厚板

    岩崎
    先行き気配

    需給環境厳しく、弱含み推移

     16~25×1,524×3,048mmでトン当たり143,000円と前月比変わらず。造船・建設機械向け需要は堅調に推移している一方で、市中荷動きに直結する中小建築向けは盛り上がりを欠いており、小口当用買いが中心である。流通各社は採算確保の姿勢を崩していないが、一部メーカーの販価引き下げもあり、現行価格の維持が精いっぱいの状況。先安観を一掃する材料が乏しく、需要家の購入姿勢は厳しさを増すことが予想される。目先、弱含みで推移する公算が大きい。

  • セメント

    佐藤
    先行き気配

    需要低迷、横ばい推移

     普通ポルトランド(バラ)でトン当たり16,000円と前月比変わらず。6月の国内販売量は、304万4千トン(協会調べ)で前年同月比8.7%の減少。生コン向けの出荷が低調なため、10カ月連続で前年実績を下回っており、国内需要の低迷が続いている。メーカーは、昨年からの値上げ目標額が浸透した現行価格を維持し、悪化した採算の改善に取り組む構え。また、セメント業界全体で脱炭素化を見据えた設備投資等を推し進めている。先行き、横ばいの公算が大きい。

  • レディーミクストコンクリート

    佐藤
    先行き気配

    値上げ交渉が進展し、2,000円の上伸

     18-18-20でm3当たり19,800円と前月比2,000円の上伸。7月の東京17区出荷量は、22万9千m3(協組調べ)で前年同月比3.4%の減少。協組は4月に打ち出した2,000円値上げの早期浸透に向けて、売り腰を強め交渉。ここにきて引き合いが増加し、需要家と販売店との間で新規契約が進んだことで打ち出し額が浸透した。また、協組は、製造コストの変動を速やかに転嫁するため期間契約方式を導入。次年度の販売価格を10月に公表する予定で、動向に注目が集まっている。目先、横ばいの公算大。

  • 再生砕石

    岡本
    先行き気配

    需要の低迷続くも、横ばい

     再生クラッシャラン40~0mmでm3当たり1,200円と前月比変わらず。夏場入り後も、引き合いは乏しく、商状は盛り上がりを欠いている。メーカー各社は、電力料金の上昇や輸送コストの増加分を早期に販売価格に転嫁したい意向にあるが、需要家の購入姿勢は厳しく、安値販売も散見される。工事の利益確保を優先する需要家の厳しい要求は依然として続くも、メーカーはコスト高を販売価格に転嫁すべく交渉を継続している。需給双方の主張は平行線を辿っており、先行き、横ばいの公算が大きい。

  • コンクリート型枠用合板

    飯島
    先行き気配

    底値感台頭し、先行き強含み

     12×900×1,800㎜輸入品で枚当たり1,800円と前月比変わらず。6月の輸入合板入荷量は14万3千m3で前年同月比38.2%の大幅減少(財務省調べ)。低水準での入荷が続き、市中の在庫量は減少している。需給の引き締まりを背景として、流通筋は値下げによる売り上げ確保の方針から採算重視の姿勢に切り替えた。実需は精彩を欠くものの、市中に底値感が台頭したことで、需要家にも資材確保を早める動きが見られる。今後、需給はひっ迫感を増すとの見方が強い。先行き、強含みの公算大。

  • 再生アスファルト混合物

    筒井
    先行き気配

    価格交渉こう着、横ばい

     密粒度13でトン当たり9,900円と前月比変わらず。4~6月の都内出荷量は、37万6千トン(協会調べ)で前年同期比1.7%の減少。維持修繕など小規模工事中心で、需要は低調。メーカー各社は、主な原材料であるストアスが高値圏で推移しているため、未達分の値上げの浸透を目指して交渉を継続している。一方、需要家は工事量減少による採算悪化を回避すべく値下げ要求を続けており、交渉は平行線を辿っている。しばらくはこう着状態が続くと予想され、先行き、横ばい推移の公算が大きい。

  • 電線

    木村
    先行き気配

    銅建値上昇を受け、上伸

     IV1.6mm単線でm当たり33.3円と前月比0.7円の上伸。一部の物件で労働者不足による工事遅延が見られ、足元の荷動きは鈍い。主原料である銅の建値は8月初旬で127万円と前月平均から3万円上伸。銅の価格上昇を受けメーカー各社は、仕切価格を引き上げた。流通各社も採算確保に向けて売り腰を強め、値上げ額の一部が浸透した。需要家は値上げに理解を示しつつも、低調な荷動きを理由にさらなる値上げには抵抗する構え。両者の交渉は難航が予想され、目先、横ばいの公算大。

  • 配管用炭素鋼鋼管(ガス管)

    徳永
    先行き気配

    価格維持の姿勢強く、横ばい

     白ねじ付き管50A4mで本当たり6,670円と前月比変わらず。大型再開発案件に一服感があり、中小規模物件も盛り上がりに欠ける状況が続いており、需要は精彩を欠いている。需要家の購入姿勢が厳しさを増す一方、流通筋はメーカー値上げ未転嫁分を販売価格へ転嫁すべく交渉を続け、需要不振に伴う安値販売を避けている。メーカーは、カーボンニュートラルへの対応を見据えた設備投資の増大や、製造コストの増加を背景に強気な販売姿勢を崩していない。先行き、横ばいの公算大。

  • 燃料油

    原田
    先行き気配

    原油相場の上昇を受け、価格上伸

     軽油はローリー渡しでリットル当たり124円と前月比5円上伸、レギュラーガソリンはスタンド渡しで161円と7円上伸した。原油相場が上昇したことを受けて、元売り各社は仕切価格を引き上げた。補助の段階的縮減が続くなか、流通筋は採算重視の姿勢で価格転嫁を進め、全油種で値上げ額の一部が浸透した。世界的に経済回復の兆しが見られる一方、サウジアラビアとロシアは独自に実施している供給削減の延長を表明した。需給ひっ迫の見方が強まっており、目先、強基調の見通し。

  • 鉄スクラップ

    永島
    先行き気配

    1,500円上伸も、目先横ばい

     ヘビーH2でトン当たり42,000円と前月比1,500円の上伸。7月上旬に南アジア向けの輸出商談において高値成約がみられ、電炉筋が原料手配のため購入価格を引き上げたことで、市況は上伸した。しかし、足元では割高となった国内相場に対して、多くの海外需要家は様子見の姿勢を取り始め、輸出価格は軟調な相場展開となっている。今後電炉メーカーは夏季減産期に入り、国内需要は減少するとみられるが、市中発生量も低水準であり、需給は縮小均衡で推移する見通し。目先、横ばいの見込み。

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