建設物価調査会

前月号の主要資材動向(東京)

2024年6月10日現在 東京

主要資材価格動向

主要資材動向

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品名品名規格単位価格前月比気配掲載ページ
異形棒鋼異形棒鋼SD295 D16t114,000
変わらず
強含み
16
H形鋼H形鋼SS400 200×100×5.5×8mmt121,000
変わらず
強含み
26
中厚板中厚板無規格品 16~25×1,524×3,048mmt142,000
変わらず
横ばい
40
カラー亜鉛鉄板カラー亜鉛鉄板0.35×914×1,829mm1,548
変わらず
横ばい
54
セメントセメント普通ポルトランド バラt16,000
変わらず
横ばい
79
レディーミクストコンクリートレディーミクストコンクリート18-18-25(20) 普通ポルトランド(17区)m320,800
変わらず
横ばい
92
再生砕石再生砕石再生クラッシャラン 40~0mm(17区)m31,200
変わらず
横ばい
129
管柱 杉(KD)管柱 杉(KD)3.0m×10.5×10.5cmm377,000
下落
横ばい
160
コンクリート型枠用合板コンクリート型枠用合板12×900×1,800mm 輸入品1,770
変わらず
横ばい
175
再生アスファルト混合物再生アスファルト混合物密粒度13(14区)t10,000
変わらず
横ばい
211
ストレートアスファルトストレートアスファルト針入度60~80 ローリーt119,000
上伸
横ばい
219
600V ビニル 絶縁電線600V ビニル 絶縁電線Ⅳ 1.6mm 単線m42.0
上伸
横ばい
539
配管用炭素鋼鋼管(ガス管)配管用炭素鋼鋼管(ガス管)白ねじ付き管 50A 4m6,670
変わらず
強含み
654
硬質ポリ塩化ビニル管硬質ポリ塩化ビニル管VP100mm 4m4,190
変わらず
横ばい
688
軽油軽油ローリー116.0
変わらず
横ばい
788
鉄スクラップ鉄スクラップヘビーH2t43,500
上伸
横ばい
794
矢印説明

<市況総括>

 国内の建設工事の統計資料をみると、2024年4月の公共工事請負額は全国で前年同月比18.8%増(建設業保証会社)、2024年3月の新設住宅着工戸数は、貸家、持家及び分譲住宅ともに減少したため、全体で前年同月比12.8%減少、民間非居住建築物着工床面積では店舗、工場及び倉庫が減少したが、事務所が増加したため13.5%増(国土交通省)となっている。一方、主要資材の需要動向は、小形棒鋼が3月の国内出荷量で前年同月比9.6%減、H形鋼が14.1%減(日本鉄鋼連盟)、生コンが4月の東京17区出荷量で16.7%増(東京地区生コンクリート協同組合)、アスファルト混合物が3月の東京地区出荷量で8.7%増(日本アスファルト合材協会)となっている。

 東京地区の主要10資材の価格動向は、H形鋼、生コン、再生アスファルト混合物、600Vビニル絶縁電線の4資材が上伸、異形棒鋼、セメント、再生砕石、コンクリート型枠用合板、配管用炭素鋼鋼管(ガス管)、軽油の6資材が横ばい、下落した資材はなかった。

 【H形鋼】 メーカー各社の値上げに加え、流通各社は自社の人件費や物流費などの流通コストの上昇分も含めた価格転嫁を進めたことで、小幅ながら1年8カ月ぶりに上伸。目先も強基調の見通し。

 【生コン】 4月に入り価格交渉が本格化する中で、輸送能力の低下を懸念する需要家は、製造・輸送コスト増加分の価格転嫁に一定の理解を示し、値上げが浸透。協組は現行価格を維持する構えであり、先行き、横ばいの見通し。

 【再生アスファルト混合物】 メーカー各社は、原材料のストアス価格の上昇による製造コスト増加を販売価格に転嫁すべく売り腰を強め交渉。需要家が一定の理解を示したことで、値上げ額の一部が浸透した。需要家は度重なる値上げに慎重な姿勢で、先行き、横ばいの見通し。

 【電線】 高圧ケーブルは依然として需給がひっ迫しており長納期化は変わらず。メーカー各社は主原料の高騰を受け、値上げを実施。流通各社も採算確保に向け交渉を継続し、値上げ額の一部が浸透した。目先、横ばいの見通し。

 【異形棒鋼】 横ばい。商いが盛り上がりを欠く状況下、需要家の購入姿勢は厳しく市況底上げには至っていない。鉄スクラップは依然として高値圏で推移しており、物流費や人件費の上昇による採算悪化を回避したいメーカーの売り腰はさらに強まるとみられ、目先、強含みの見通し。

 【セメント】 横ばい。メーカー各社は現行価格の維持に注力する構えだが、一部メーカーで需要減少による採算悪化の改善や設備投資費用の確保などを理由とした値上げを表明。他メーカーの動向が注目される。先行き、横ばいの見通し。

 【再生砕石】 横ばい。メーカー各社は、輸送コスト増加分を価格転嫁したい意向にあるが、工事の利益確保を優先する需要家の購入姿勢は厳しく、現行価格の維持が精いっぱいの状況。先行きも横ばいの見通し。

 【コンクリート型枠用合板】 横ばい。流通筋は、採算確保のために価格を底上げしたい意向だが、実需に乏しい状況下、売り腰を強められずにいる。目先も横ばいの見通し。

 【配管用炭素鋼鋼管(ガス管)】 横ばい。高炉メーカー各社は、エネルギーコストなどの高騰を理由に3月受付分から10%の値上げを実施。流通筋は、これまでの値上げ未転嫁分を含めた価格浸透を進めるべく交渉するも、採算悪化を懸念する需要家の購入姿勢は厳しい。目先も横ばいの見通し。

 【軽油】 横ばい。歴史的な円安進行により原油調達コストは増加したが、補助金により元売り各社の実質仕切価格は小幅な値動き。原油相場は不透明な状況が続くものとみられるが、5月以降も補助金が継続されるため、目先も横ばいの見通し。

<市況(現況と見通し)>

  • 異形棒鋼

    圖師
    先行き気配

    メーカー強気姿勢維持も上値重く、横ばい

     SD295・D16でトン当たり114,000円と前月比変わらず。新年度入り後も新規需要に乏しく、市中は閑散としている。メーカー各社は製造コスト増加に伴う値上げの浸透に向けて強気の販売姿勢を継続するも、商いが盛り上がりを欠く状況下、需要家の購入姿勢は厳しく市況底上げには至っていない。鉄スクラップは小幅下落したが依然として高値圏で推移しており、物流費や人件費の上昇による採算悪化を回避したいメーカーの売り腰はさらに強まる見通し。目先、強含みの公算が大きい。

  • H形鋼

    名嘉
    先行き気配

    1年8ヵ月ぶりの上伸

     200×100でトン当たり121,000円と前月比1,000円の上伸。新年度入り後も工期の遅延や計画の見直しが散見される。市中の荷動きへの影響が大きい中小建築需要は、依然として低調に推移しており、需給にタイト感は見られない。メーカー各社の値上げに加え、流通各社は自社の人件費や物流費などの流通コストの上昇分も含めた価格転嫁を進めたことで、小幅ながら1年8カ月ぶりの上伸となった。流通は値上げ未達分の浸透に向けて、販売価格を引き上げていく構え。目先、強基調の見通し。

  • カラー亜鉛鉄板

    石井
    先行き気配

    流通各社の売り腰が強まり、強含み

     0.35×914×1,829㎜で枚当たり1,548円と前月比変わらず。物流施設、データセンターなどの大型建築計画は底堅い。一方で、足元の需要を支える住宅・事務所・店舗などの中小建築需要は依然として低調に推移しており、需給のタイト感は乏しい。メーカー各社は製造コスト増加を受け値上げを進めており、流通各社の売り腰も引き締まりつつある。流通は仕入れ価格上昇分のほか、自社の人件費や物流費の転嫁に向けて売り腰をさらに強め、値上げ交渉に臨む構え。目先、強含みの公算が大きい。

  • セメント

    佐藤
    先行き気配

    出荷減少に歯止めかからず、価格は横ばい

     普通ポルトランド(バラ)でトン当たり16,000円と前月比変わらず。3月の国内販売量は、277万4千トン(協会調べ)で前年同月比14.2%の減少、2023年度の同販売量は3,456万トンと3,500万トンを割り込んだ。メーカー各社は現行価格の維持に注力する構えだが、一部メーカーで需要減少による採算悪化の改善や設備投資費用の確保などを理由とした値上げを表明。主な需要家の生コンメーカーへの影響が大きいため、他メーカーの動向が注目される。先行き、横ばいの公算大。

  • レディーミクストコンクリート

    佐藤
    先行き気配

    強腰の価格交渉により、1,000円上伸

     18-18-20でm3当たり20,800円と前月比1,000円の上伸。4月の東京17区出荷量は、24万m3(協組調べ)で前年同月比16.7%の増加。協組は、4月からの1,000円値上げを早期に浸透させるべく、昨年10月の打ち出しから強腰で交渉を続けてきた。4月に入り価格交渉が本格化する中で、輸送能力の低下を懸念する需要家は、製造・輸送コスト増加分の価格転嫁に一定の理解を示し、打ち出し額が浸透した。協組は現行価格を維持する構えであり、先行き、横ばいの公算が大きい。

  • 再生砕石

    藤巻
    先行き気配

    需要の低迷続くも、横ばい

     再生クラッシャラン40~0mmでm3当たり1,200円と前月比変わらず。主な用途である路盤工事向けの需要は、新設工事案件に乏しく盛り上がりを欠いた状態が続いている。メーカー各社は、輸送コスト増加分を価格転嫁したい意向にあるが、工事の利益確保を優先する需要家の購入姿勢は厳しく、現行価格の維持が精いっぱいの状況。廃材在庫量が依然高水準で推移するなか、需給がタイト化するまでは需要家に対し売り腰を強められないと予測される。先行き、横ばいの公算が大きい。

  • コンクリート型枠用合板

    飯島
    先行き気配

    模様眺めの様相、横ばい

     12×900×1,800㎜輸入品で枚当たり1,770円と前月比変わらず。3月の輸入合板入荷量は、16万4千m3で前年同月比4.9%の増加(財務省調べ)。入荷量は低水準だが、荷動きも精彩を欠き、市中にひっ迫感はない。流通筋は、採算確保のために価格を底上げしたい意向だが、実需に乏しい状況下、売り腰を強められずにいる。商社が需給見通しを踏まえて注文を減らし、供給量はさらに減少すると予想されるが、材料手当てが一巡した需要家に買い急ぐ様子は見られない。目先、横ばいの見通し。

  • 再生アスファルト混合物

    筒井
    先行き気配

    メーカー売り腰強め、300円上伸

     密粒度13でトン当たり10,000円と前月比300円の上伸。2023年度の都内出荷量は、176万4千トン(協会調べ)で前年度比1.7%の減少。需要が低調に推移するなか、メーカー各社は、原材料のストアス価格の上昇による製造コスト増加を販売価格に転嫁すべく売り腰を強め交渉。需要家が一定の理解を示したことで、値上げ額の一部が浸透した。メーカーは輸送コストの増加分も含めた値上げ交渉を継続する意向だが、需要家は度重なる値上げに慎重な姿勢。先行き、横ばいの公算が大きい。

  • 電線

    木村
    先行き気配

    銅建値の高騰続き、4.6円の上伸

     IV1.6mm単線でm当たり40.6円と前月比4.6円の上伸。主原料である銅の建値は4月平均で148万円台と前月平均から14万円上伸し、5月上旬には156万円と最高値更新が続いている。メーカー各社は主原料の高騰を受け、値上げを実施。流通各社も採算確保に向け交渉を継続し、需要家が一定の理解を示したことで、値上げ額の一部が浸透した。依然、需給がひっ迫する高圧ケーブルの長納期化は変わらず。国際情勢の影響が大きい銅価格を注視する必要があるものの、目先、横ばいの公算大。

  • 配管用炭素鋼鋼管(ガス管)

    徳永
    先行き気配

    さえない商状続くも、横ばい

     白ねじ付き管50A4mで本当たり6,670円と前月比変わらず。都心部では多くの大型再開発物件が進行し、明るい兆しが見られるものの、中小規模物件の不振などの影響で依然荷動きは低調。高炉メーカー各社は、エネルギーコストなどの高騰を理由に3月受付分から10%の値上げを実施。流通筋は、これまでの値上げ未転嫁分を含めた価格浸透を進めるべく交渉するも、採算悪化を懸念する需要家の購入姿勢は厳しく、両者の価格交渉は難航するとの見方が強い。目先、横ばいの公算大。

  • 燃料油

    村平
    先行き気配

    原油相場は不安定も、激変緩和対策により横ばい

     軽油はローリー渡しでリットル当たり116円、レギュラーガソリンはスタンド渡しで155円とともに前月比変わらず。イスラエルによるイランへの報復攻撃など中東の地政学的リスクの高まりにより原油価格は一時急騰したものの、被害が限定的であり反落。国内は歴史的な円安進行により原油調達コストは増加したが、補助金により元売り各社の実質仕切価格は小幅な値動き。原油相場は不透明な状況が続くものとみられるが、国内市況は5月以降も補助金が継続されるため、目先、横ばいの見通し。

  • 鉄スクラップ

    石井
    先行き気配

    大手電炉の製鋼トラブルの影響を受け、下落

     ヘビーH2でトン当たり42,500円と前月比1,000円の下落。4月上旬の南アジア向け輸出市場においては、国内電炉メーカー購入価格を下回る価格で取引が成立。中国経済の低迷など海外需要は振るわないものの、円安が輸出価格を下支えしている。その後、関東の大手電炉メーカーが製鋼トラブルの影響で購入価格を1,000円の値下げしたことで、市況は下落した。国内のスクラップ発生量は旺盛とは言えないが、需要は依然として低調に推移している。目先、横ばいの公算が大きい。

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