建設物価調査会

前月号の主要資材動向(東京)

2023年2月10日現在 東京

主要資材価格動向

主要資材動向

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品名品名規格単位価格前月比気配掲載ページ
異形棒鋼異形棒鋼SD295 D16t115,000
変わらず
強含み
16
H形鋼H形鋼SS400 200×100×5.5×8mmt124,000
変わらず
弱含み
26
中厚板中厚板無規格品 16~25×1,524×3,048mmt143,000
変わらず
横ばい
40
カラー亜鉛鉄板カラー亜鉛鉄板0.35×914×1,829mm1,548
変わらず
横ばい
54
セメントセメント普通ボルトランド バラt13,000
変わらず
横ばい
79
レディーミクストコンクリートレディーミクストコンクリート18-18-25(20) 普通ボルトランド(17区)m317,800
変わらず
横ばい
92
再生砕石再生砕石再生クラッシャラン 40~0mm(17区)m31,200
変わらず
横ばい
129
管柱 杉(KD)管柱 杉(KD)3.0m×10.5×10.5cmm393,000
下落
弱含み
160
コンクリート型枠用合板コンクリート型枠用合板12×900×1,800mm 輸入品2,150
下落
弱含み
175
再生アスファルト混合物再生アスファルト混合物密粒度13(14区)t9,900
変わらず
横ばい
211
ストレートアスファルトストレートアスファルト針入度60~80 ローリーt100,000
下落
横ばい
219
600V ビニル 絶縁電線600V ビニル 絶縁電線Ⅳ 1.6mm 単線m33.3
上伸
横ばい
539
配管用炭素鋼鋼管(ガス管)配管用炭素鋼鋼管(ガス管)白ねじ付き管 50A 4m6,670
変わらず
横ばい
654
硬質ポリ塩化ビニル管硬質ポリ塩化ビニル管VP100mm 4m4,190
変わらず
横ばい
688
軽油軽油ローリー115.0
下落
横ばい
788
鉄スクラップ鉄スクラップヘビーH2t43,000
上伸
横ばい
794
矢印説明

<市況総括>

 国内の建設工事の統計資料をみると、2022年12月の公共工事請負額は全国で前年同月比8.4%減(建設業保証会社)、11月の新設住宅着工戸数は、持家及び分譲住宅が減少したため全体で1.4%減の減少、民間非居住建築物着工床面積は、工場及び倉庫が減少したため全体で7.3%減(国土交通省)となっている。一方、主要資材の需要動向では、小形棒鋼が11月の国内出荷量で前年同月比1.8%減、H形鋼が7.7%増(日本鉄鋼連盟)、生コンが12月の東京17区出荷量で1.3%増(東京地区生コンクリート協同組合)、アスファルト混合物が11月の東京地区出荷量で2.5%増(日本アスファルト合材協会)となっている。

 東京地区の主要10資材の価格動向は、軽油が下落。異形棒鋼、H形鋼、セメント、生コン、再生砕石、コンクリート型枠用合板、再生アスファルト混合物、600Vビニル絶縁電線、配管用炭素鋼鋼管(ガス管)の9資材が横ばい。上伸した資材はなかった。

 

 【軽油】 ローリー渡しでリットル当たり116円と前月比1円下落。原油相場は方向感を欠くなか、国内は燃料油価格激変緩和対策により元売りの実質仕切価格の変動は抑えられ、依然として小幅な値動きに留まっている。目先は横ばいの見通し。

 【異形棒鋼】 横ばい。メーカー各社は、原油やガスのエネルギー価格高騰による電力料金の上昇を背景に、値上げ交渉を継続。引き続き強い販売姿勢を維持する構えで、目先は強含みの見通し。

 【H形鋼】 横ばい。流通各社は値上げ未達分を早期に転嫁したい意向だが、需給のタイト感が乏しいなか高値浸透は困難な状況。需要回復にはまだ時間を要するとの見方が大勢で、目先も横ばいの見通し。

 【セメント】 横ばい。メーカー各社は販売価格の引き上げを急いでいるが、主たる需要家の生コンメーカーは製造コスト増に理解を示しつつも、大幅な値上げに慎重な姿勢を崩していない。先行きも横ばいの見通し。

 【生コン】 横ばい。協組は4月から2,000円値上げと出荷ベースへの契約方式の見直しなどを表明。販売店は現行価格を維持するとともに、価格改定の周知に努めている。先行きも横ばいの見通し。

 【再生砕石】 横ばい。メーカー各社は製造および輸送コストの増加を販売価格に転嫁したい意向だが、在庫調整を目的とした安値販売も散見され、現行価格の維持が精いっぱい。先行きも横ばいの見通し。

 【コンクリート型枠用合板】 横ばい。需要好転の兆しが見えない状況下、在庫調整を目的とした安値販売が散見され、加えて為替が円高に進むなど、市中には先安観が台頭している。目先は弱含みの見通し。

 【再生アスファルト混合物】 横ばい。ストアス価格の下落を受けて、需要家は値下げ要求を強めているが、メーカーは加熱、保温に使用する燃料代の高騰が著しく採算を圧迫しているとして、値上げの姿勢を崩していない。目先も横ばいの見通し。

 【電線】 横ばい。需要家の値下げ要求は依然として厳しいものの、流通各社は現行価格維持に注力し、値下げ要求に応じない姿勢。目先も横ばいの見通し。

 【配管用炭素鋼鋼管(ガス管)】 横ばい。流通筋は高炉メーカーによる値上げ未達分を販売価格に転嫁すべく交渉を続けているが、原料価格が下落傾向にある状況下、需要家との交渉は進展していない。先行きも横ばいの見通し。

<市況(現況と見通し)>

  • 異形棒鋼

    名嘉
    先行き気配

    メーカー強気姿勢維持も上値重く、横ばい

     SD295・D16でトン当たり115,000円と前月比変わらず。都心部の再開発物件向けの出荷は堅調だが、中小物件向け需要は低迷し、依然として商況は盛り上がりを欠いている。メーカー各社は、原油やガスのエネルギー価格高騰による電力料金の上昇を背景に、値上げ交渉を継続。一方、需要家はさらなる製品価格の上昇には難色を示しており、現行価格水準で推移している。メーカーおよび流通筋は、値上げ未達分の早期浸透に向けて、引き続き強い販売姿勢を維持する構え。目先、強含みの公算大。

  • H形鋼

    小黒
    先行き気配

    荷動き低迷、横ばい

     200×100でトン当たり124,000円と前月比変わらず。流通各社は採算確保に向け、値上げ未達分を早期に転嫁したい意向。しかし、荷動きは低迷し、需給のタイト感が乏しいなか、数量確保を目的とした安値販売も散見されるなど、高値浸透は困難な状況。主力メーカーは電力料金の上昇など製造コストの増加を背景に、価格優先の販売姿勢を崩していない。流通各社も、値上げ交渉を継続する構えだが、需要回復にはまだ時間を要するとの見方が大勢で、目先、横ばいの公算大。

  • セメント

    佐藤
    先行き気配

    値上げ交渉に進展見られず、横ばい

     普通ポルトランド(バラ)でトン当たり13,000円と前月比変わらず。昨年11月の国内販売量は339万9千トン(協会調べ)で前年同月比1.4%の減少。メーカー各社は石炭価格高騰などで厳しくなった事業環境を改善すべく、販売価格の引き上げを急いでいる。主な需要家の生コンメーカーは製造コスト増に理解を示しつつも、3,000円以上の大幅な値上げに慎重な姿勢を崩していない。メーカーは売り腰を強め交渉を続ける意向だが、浸透には時間を要しそう。先行き、横ばいの公算大。

  • レディーミクストコンクリート

    佐藤
    先行き気配

    販売店は現行価格を維持、横ばい

     18-18-20でm3当たり17,800円と前月比変わらず。昨年12月の東京17区出荷量は23万1千m3(協組調べ)で前年同月比1.3%の増加。都心部の再開発事業を中心に好調な出荷が続いており、今後も需要は堅調に推移する見込み。協組はセメントの再値上げに加え、骨材価格の先高観、輸送コストの増加などを理由に、4月から2,000円値上げと出荷ベースへの契約方式の見直しなどを表明。販売店は現行価格を維持するとともに、価格改定の周知に努めている。先行き、横ばいの公算が大きい。

  • 再生砕石

    道城
    先行き気配

    需要低迷で安値散見も、横ばい

     再生クラッシャラン40~0mmでm3当たり1,200円と前月比変わらず。湾岸エリアの需要低迷に加え、主力である路盤工事向けの出荷も振るわないことから、需要は盛り上がりを欠いている。メーカー各社は製造および輸送コストの増加を販売価格に転嫁したい意向にあるが、在庫調整を目的とした安値販売も散見され、現行価格維持が精いっぱいの状況。需給に引き締まりが見られるまでは、需要家に対し売り腰を強めにくいと予測される。先行き、横ばいで推移する公算が大きい。

  • コンクリート型枠用合板

    神崎
    先行き気配

    先安観が台頭、目先弱含み

     12×900×1,800mm輸入品で枚当たり2,200円と前月比変わらず。現地が雨季のため、入荷量は低水準で推移。一方、荷動きは精彩を欠き、市中にひっ迫感はない。流通筋は仕入れコスト高の未転嫁分を販売価格に反映すべく交渉を継続するも、材料手当が一巡した需要家は小口当用買いに徹し、値上げは浸透せず。需要好転の兆しが見えない状況下、在庫調整を目的とした安値販売が散見され、加えて為替が円高に進むなど、市中には先安観が台頭している。目先、弱含みの公算が大きい。

  • 再生アスファルト混合物

    岡本
    先行き気配

    価格交渉こう着、横ばい

     密粒度13でトン当たり9,900円と前月比変わらず。昨年11月の出荷量は16万7千トン(協会調べ)で前年同月比2.5%の増加。維持修繕向けが堅調で、7カ月連続で前年出荷実績を上回った。ストアス価格の下落を受けて、需要家は値下げ要求を強めている。一方、メーカーは加熱、保温に使用する燃料代の高騰が著しく採算を圧迫しているとして、値上げの姿勢を崩していない。両者の隔たりは大きく交渉には時間を要する見込み。目先、横ばいで推移する公算が大きい。

  • ストレートアスファルト

    岡本
    先行き気配

    原油相場の影響を受け、大幅下落

     針入度60~80でトン当たり103,000円と前月比17,000円の下落。原油相場の急落に加え、円高が進んだことで、石油元売り各社は仕切価格を大幅に引き下げた。販売店各社は輸送や施設維持など物流費の増加を販売価格に転嫁したい意向にあるが、これまで値上げを受け入れてきた需要家の反発は強く、値下げ要求が強まり、下落した。年度末の需要期を控え、製造コスト高に危機感を抱く需要家は、今後も値下げ要求を続けると見られる。先行き、弱基調の公算が大きい。

  • 電線

    木村
    先行き気配

    銅価格が同値水準で推移し、横ばい

     IV1.6mm単線でm当たり32.6円と前月比変わらず。主原料である銅の建値は、昨年12月平均で118万円台と同値水準で推移し、メーカーおよび流通各社は仕切価格を据え置いた。都心部の大型再開発事業向けの出荷は堅調であるが、一部の物件で工事遅延による出荷の遅れも見られ、さえない商状が続いている。需要家の値下げ要求は依然として厳しいものの、流通各社は現行価格維持に注力し、値下げ要求に応じない姿勢。双方の綱引きはしばらく続くとの見方が強く、目先、横ばいの見通し。

  • 配管用炭素鋼鋼管(ガス管)

    伊藤
    先行き気配

    需給環境に改善見られず,横ばい

     白ねじ付き管50A4mで本当たり6,670円と前月比変わらず。再開発物件のビル設備工事などは盛況だが、一部の物件で出荷が3月期にずれ込みが生じるなど、荷動きは盛り上がりを欠いている。流通筋は高炉メーカーによる値上げの未達分を販売価格に転嫁すべく交渉を続けているが、原料価格が下落傾向にある状況下、需要家との交渉は進展していない。価格は底値と見る向きが多いが、値上げ浸透を後押しする需給環境の改善には時間を要する見込み。先行き、横ばい推移の公算が大きい。

  • 燃料油

    片山
    先行き気配

    原油相場の下落により、ローリー渡し価格下落

     軽油はローリー渡しでリットル当たり116円と前月比1円下落、レギュラーガソリンはスタンド渡しでリットル当たり151円と変わらず。原油相場は方向感を欠くなか、小幅な上下変動が続いている。一方、国内は燃料油価格激変緩和対策により元売りの実質仕切価格の変動は抑えられ、依然として小幅な値動きに留まっている。1月からは補助金の上限額が毎月2円ずつ引き下げられ、5月には25円となる。緩和措置は9月まで継続されるため、国内市況は安定する見通し。目先、横ばいの見込み。

  • 鉄スクラップ

    永島
    先行き気配

    3ヵ月ぶりに反発も、目先、弱含み

     ヘビーH2でトン当たり41,000円と前月比3,000円の上伸。海外相場の上伸を受け、低迷が続いていた輸出市場は東アジア向けを中心に活性化。輸出業者が先行して値上げを実施したことで、多くの電炉メーカーが数量確保のために購入価格を引き上げ、国内相場は3カ月ぶりに反発した。足元では、海外相場の反落を受け、輸出価格も下落に転じている。一部の国内電炉メーカーは、一転して荷受け量を制限するなど、購入に対して慎重な姿勢を取り始めている。目先、弱含みの公算大。

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