建設物価調査会

建設物価・臨時情報 一般建築用木材が高騰!(先行き、なお強含み )

【月刊 建設物価8月号】



世界的なウッドショックを背景に、全国の木材価格は国産材、輸入材を問わず大幅上伸となった。

近年の市況動向をみると、2020 年夏頃まで安定していた木材価格は、新型コロナウイルス蔓延を背景とした住宅需要の減少から、2020 年8月号から10 月号にかけて国産材(杉(KD))、輸入材(ホワイトウッド(集成)、米松(KD))とも断続的に下落した。

一般建築用木材価格動向

国内需要の約6割を占めるとされる輸入材に目を移すと、2020 年春頃から活況な米国の住宅需要や欧州の建設活動、旺盛な中国の輸入量を背景に世界の木材需要が急拡大し、2020 年秋から2021 年1月頃まで日本国内への輸入量は大幅に減少した。このような状況下、昨今のコンテナ不足や海上輸送コスト増が引き金となり、輸入材の価格は2021 年4月号から高騰した。一方、輸入材の代替需要が期待された国産材は輸入材の不足分を埋めることが出来ず、結果的に輸入材、国産材とも需給がひっ迫し、国産材価格も2021 年6月号から高騰し、一般建築用木材は全面高の様相となった。

こうしたなか、管柱 杉(KD)3m×10.5×10.5 ㎝の8月号の東京価格は、m3 当たり90,000 円と前月比20,000 円の上伸。輸入材の代替需要として国産材の杉への引き合いが一層強まっているが、供給が追いつかず、市中在庫は激減。少ない出材を求めて高値でも製品確保を優先する動きが広がり、価格は前月から大幅に上伸した。

供給が正常化するまでには時間を要するとみられ、先行き、強含み推移の公算が大きい。現時点では輸入材、国産材ともにひっ迫した状況に劇的な変化が生じる可能性は低い。一方で、国内の住宅着工は活況とはいえず、需要なき価格上伸がどこまで続くのか、今後の動向が一層注目される。

一般建築用木材価格動向




お問合せ先:(一財)建設物価調査会 建築調査部 建築課  島田・稲村  電話 03-3663-3891

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