建設物価調査会

前月号の主要資材動向(東京)

2025年3月10日現在 東京

主要資材価格動向

主要資材動向

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品名品名規格単位価格前月比気配掲載ページ
異形棒鋼異形棒鋼SD295 D16t107,000
変わらず
横ばい
16
H形鋼H形鋼SS400 200×100×5.5×8mmt114,000
下落
弱含み
26
中厚板中厚板無規格品 16~25×1,524×3,048mmt136,000
変わらず
弱含み
40
カラー亜鉛鉄板カラー亜鉛鉄板0.35×914×1,829mm1,548
変わらず
弱含み
54
セメントセメント普通ポルトランド バラt16,000
変わらず
強含み
79
レディーミクストコンクリートレディーミクストコンクリート18-18-25(20) 普通ポルトランド(17区)m320,800
変わらず
強含み
92
再生砕石再生砕石再生クラッシャラン 40~0mm(17区)m31,150
変わらず
横ばい
129
管柱 杉(KD)管柱 杉(KD)3.0m×10.5×10.5cmm375,000
変わらず
横ばい
160
コンクリート型枠用合板コンクリート型枠用合板12×900×1,800mm 輸入品1,720
変わらず
強含み
175
再生アスファルト混合物再生アスファルト混合物密粒度13(14区)t10,000
変わらず
横ばい
211
ストレートアスファルトストレートアスファルト針入度60~80 ローリーt112,000
変わらず
弱含み
219
ダクタイル鋳鉄管ダクタイル鋳鉄管内面エポキシ粉体塗装 水道用 GX形1種 75mm×4m28,400
変わらず
横ばい
285
フロート板ガラスフロート板ガラスFL5 2.18m2以下(特寸)m22,380
上伸
横ばい
496
600V ビニル 絶縁電線600V ビニル 絶縁電線Ⅳ 1.6mm 単線m41.8
変わらず
横ばい
539
配管用炭素鋼鋼管(ガス管)配管用炭素鋼鋼管(ガス管)白ねじ付き管 50A 4m7,340
変わらず
横ばい
654
硬質ポリ塩化ビニル管硬質ポリ塩化ビニル管VP100mm 4m4,950
変わらず
横ばい
688
軽油軽油ローリー125.0
上伸
横ばい
788
鉄スクラップ鉄スクラップヘビーH2t32,000
変わらず
横ばい
794
矢印説明

<市況総括>

 国内の建設工事の統計資料によると、2025年2月の公共工事請負額は全国で前年同月比22.5%減(建設業保証会社)、2025年1月の新設住宅着工戸数は、持家、貸家、分譲住宅が減少したため、前年同月比4.6%減少、民間非居住建築物着工床面積では店舗、倉庫は増加したが、事務所、工場が減少したため26.1%減(国土交通省)となっている。一方、主要資材の需要動向は、小形棒鋼が1月の国内出荷量で前年同月比2.3%減、H形鋼が15.7%減(日本鉄鋼連盟)、生コンが2月の東京17区出荷量で21.4%減(東京地区生コンクリート協同組合)、アスファルト混合物が1月の東京地区出荷量で1.0%増(日本アスファルト合材協会)となっている。

 東京地区の主要10資材の価格動向は、軽油が上伸、H形鋼が下落、異形棒鋼、セメント、生コン、再生砕石、コンクリート型枠用合板、再生アスファルト混合物、600Vビニル絶縁電線、配管用炭素鋼鋼管(ガス管)の8資材が横ばいとなった。

 【軽油】 ローリー渡しでリットル当たり125円と前月比1円上伸。補助金支給額が減少したため元売りの実質仕切価格は上伸。これを受けた流通筋は採算重視の姿勢で価格転嫁を図るが、販売数量確保を優先した安値も一部で見られ小幅な値動きに留まった。今後も補助金により大幅な変動は抑えられ、目先、横ばいの見通し。

 【H形鋼】 流通は決算期を迎え、目先の売り上げ確保を優先した安値での取引が増加したことで市中価格は続落。需要が復調する要因に乏しく、買い手側優位の状況が続くとの見方が大勢。目先も弱基調の見通し。

 【異形棒鋼】 横ばい。需給タイト感は見られず、材料調達を急がない需要家は、当用買いに徹している。目先も横ばいの見通し。

 【セメント】 横ばい。メーカー各社は4月から2,000円以上の値上げを表明し、強気で交渉する構え。メーカーの売り腰の強さに値上げの受け入れは避けられないとの見方が広がり、交渉は大詰めを迎えている。先行き、強含みの見通し。

 【生コン】 横ばい。協組は、原材料や輸送コストなどの増加を理由に4月出荷分から3,000円の値上げに加え、価格体系の変更を表明。4月以降の新規物件は、これから交渉が本格化するとみられ、先行き、強含みの見通し。

 【再生砕石】 横ばい。メーカー各社は、輸送コスト増加分を製品価格に転嫁したい意向にあるが、需要家は値上げの受け入れには慎重な構えを崩していない。先行きも横ばいの見通し。

 【コンクリート型枠用合板】 横ばい。流通筋は仕入れコスト高を販売価格へ反映すべく売り腰を強めたい意向も、需要家は慎重な購入姿勢を崩していない。流通筋は産地で発生した洪水被害や雨季による原木不足を背景とした入荷量の減少により、さらに売り腰を強める姿勢。目先、強含みの見通し。

 【再生アスファルト混合物】 横ばい。メーカー各社は、製造コストや輸送コストの増加分を製品価格に転嫁すべく交渉を続けているが、需要家は値上げの受け入れには慎重な構えを崩していない。先行きも横ばいの見通し。

 【電線】 横ばい。流通各社はメーカー値上げ分の転嫁が不十分とし、売り腰を強めている。需要家はさえない荷動きを理由に当用買いに徹している。交渉材料を欠き、両者模様眺めの様相。目先も横ばいの見通し。

 【配管用炭素鋼鋼管(ガス管)】 横ばい。採算悪化を懸念する需要家の購入姿勢は厳しく、流通筋は現行価格の維持に精いっぱいの状況。メーカーは、脱炭素にむけた設備投資や製造コストの増加を背景に、強気な販売姿勢を崩していない。需給環境の改善には時間を要するとの見方が強く、しばらくこう着状態が続きそう。先行きも横ばいの見通し。

<市況(現況と見通し)>

  • 異形棒鋼

    圖師
    先行き気配

    メーカーが販価引き上げを表明も、横ばい

     SD295・D16でトン当たり107,000円と前月比変わらず。メーカー各社は製造コストの増加による採算悪化を避けるべく、市況底上げに向けて売り腰を強めている。一方、依然として需要は盛り上がりに欠ける展開が続き、価格が上昇するまでには至っていない。メーカーは減産して対応しているものの、需給タイト感は見られず、材料調達を急がない需要家は、当用買いに徹している。しばらくは供給側と需要家のこう着状態が続くものとみられ、目先、横ばいの公算が大きい。

  • H形鋼

    名嘉
    先行き気配

    荷動き低迷は深刻化、3カ月連続の下落

     200×100でトン当たり114,000円と前月比1,000円の下落。需要低迷が長期化しており、出荷量は減少している。流通各社は在庫調整を進めているが、出荷を上回る入荷が続いており、市中在庫は増加傾向にある。流通は決算期を迎え、目先の売り上げ確保を優先した安値での取引が増加したことで市中価格は続落した。需要家は様子見姿勢を強め、当用買いに徹している。需要が復調する要因に乏しく、買い手側優位の状況が続くとの見方が大勢。目先、弱基調の公算が大きい。

  • セメント

    佐藤
    先行き気配

    交渉は大詰め、先行き、強含み

     普通ポルトランド(バラ)でトン当たり16,000円と前月比変わらず。1月の国内販売量は、237万9千トン(協会調べ)で前年同月比0.4%の減少。2025年度の国内需要は、前年度見通しから9%減の3,200万トンを見込んでいる。メーカー各社は4月から2,000円以上の値上げを表明し、強気で交渉する構え。需要家は採算悪化を懸念しているものの、メーカーの売り腰の強さに値上げの受け入れは避けられないとの見方が広がり、交渉は大詰めを迎えている。先行き、強含みの公算が大きい。

  • レディーミクストコンクリート

    佐藤
    先行き気配

    値上げ交渉が本格化、先行き強含み

     18-18-20でm3当たり20,800円と前月比変わらず。2月の東京17区出荷量は、18万2千m3(協組調べ)で前年同月比21.4%減となり、年度出荷量は昨年同期比5%減の260万m3程度に留まる見通し。協組は、原材料や輸送コストなどの増加を理由に4月出荷分から3,000円の値上げに加え、価格体系の変更を表明。需要家は協組の動きに慎重な姿勢を崩していないが、値上げには一定の理解を示している。4月以降の新規物件は、これから交渉が本格化するとみられ、先行き、強含みの公算が大きい。

  • 再生砕石

    藤巻
    先行き気配

    在庫高止まりも、横ばい

     再生クラッシャラン40~0mmでm3当たり1,150円と前月比変わらず。都心部の再開発などの解体工事から発生する廃材により、メーカー各社の在庫量は依然高水準で推移している。メーカーは廃材受入料金の引き上げと受入制限を並行して行っているが、過剰在庫を解消するには至っていない。メーカー各社は、輸送コスト増加分を製品価格に転嫁したい意向にあるが、需要家は値上げの受け入れには慎重な構えを崩していない。需給改善にはなお時間を要する見通しで、先行き、横ばいの公算大。

  • コンクリート型枠用合板

    飯島
    先行き気配

    入荷量の減少により、先行き強含み

     12×900×1,800㎜輸入品で枚当たり1,720円と前月比変わらず。1月の輸入合板入荷量は、17万9千m3(財務省調べ)で前年同月比10.9%の減少。実需は依然として盛り上がりを欠いており、荷動きに勢いをつける力強さはない。流通筋は仕入れコスト高を販売価格へ反映すべく売り腰を強めたい意向も、需要家は慎重な購入姿勢を崩していない。流通筋は産地で発生した洪水被害や雨季による原木不足を背景とした入荷量の減少により、さらに売り腰を強める姿勢。目先、強含みの公算が大きい。

  • 再生アスファルト混合物

    筒井
    先行き気配

    交渉進展せず、横ばい

     密粒度13でトン当たり10,000円と前月比変わらず。4~1月の都内出荷量は、140万トン(協会調べ)で前年同期比2.0%の減少。舗装工事発注の減少が続き、商状は盛り上がりを欠いている。メーカー各社は、製造コストや輸送コストの高止まりによる採算悪化に危機感を強めており、製品価格に転嫁すべく交渉を続けている。一方、需要家は、メーカーの状況に理解を示しつつも、値上げの受け入れには慎重な構えを崩していない。交渉はこう着状態が続くと予想され、先行き、横ばいの公算大。

  • 電線

    木村
    先行き気配

    銅価格は同水準で推移し、横ばい

     IV1.6mm単線でm当たり41.8円と前月比変わらず。都心部再開発向けの需要は堅調だが、中小物件が振るわず。労働者不足を背景に工事の遅延が目立ち、荷動きに精彩がない。主原料である銅の建値は2月平均で145万円台と前月と同水準。流通各社はメーカー値上げ分の転嫁が不十分とし、売り腰を強めている。需要家はさえない荷動きを理由に当用買いに徹している。交渉材料を欠き、両者模様眺めの様相。流通では荷動きが活発化するには時間を要するとの見方が多く、目先、横ばいの公算大。

  • 配管用炭素鋼鋼管(ガス管)

    徳永
    先行き気配

    荷動きは精彩を欠くも、横ばい

     白ねじ付き管50A4mで本当たり7,340円と前月比変わらず。大型再開発物件が堅調に推移するも、中小物件の不振や労働者不足による工事進捗鈍化の影響を受け、荷動きは精彩を欠いている。採算悪化を懸念する需要家の購入姿勢は厳しく、流通筋は現行価格の維持に精いっぱいの状況。メーカーは、脱炭素にむけた設備投資や製造コストの増加を背景に、強気な販売姿勢を崩していない。需給環境の改善には時間を要するとの見方が強く、しばらくこう着状態が続きそう。先行き、横ばいの公算大。

  • 硬質ポリ塩化ビニル管

    赤坂
    先行き気配

    価格維持の姿勢、横ばい

     VP100A4mで本当たり4,950円と前月比変わらず。1月の出荷量は、1.5万トン(協会調べ)で前年同月比8.4%の減少。実需の低迷を背景に荷動きは低調に推移。年度末の需要期を迎え、流通筋は今後の荷動き回復に期待している。メーカーは、原材料である塩ビ樹脂の高騰や輸送コストの増加などを背景に、現行価格の維持に努めている。需要家の購入姿勢は依然として厳しいが、流通各社も売り上げ確保の価格競争を避け、採算重視の販売姿勢を強めたい意向。先行き、横ばいの公算が大きい。

  • 燃料油

    村平
    先行き気配

    原油相場下落も補助金減少により、小幅な上伸

     軽油はローリー渡しでリットル当たり125円と前月比1円上伸、レギュラーガソリンはスタンド渡しで167円と変わらず。原油相場は世界経済の減速懸念から需給緩和の見方が強まり下落した。円高進行も重なり原油調達コストは低下したが、補助金支給額が減少したため元売りの実質仕切価格は上伸。これを受けた流通筋は採算重視の姿勢で価格転嫁を図るが、販売数量確保を優先した安値も一部で見られ小幅な値動きに留まった。今後も補助金により大幅な変動は抑えられ、目先、横ばいの見通し。

  • 鉄スクラップ

    石井
    先行き気配

    需給均衡により、横ばい

     ヘビーH2でトン当たり32,000円と前月比変わらず。2月の関東共同輸出取引は前月から値を下げたものの、国内市場より高い価格で成約した。しかし、国内需要は軟調が続いており、電炉メーカー各社は輸出価格に反応を示さないまま様子見の姿勢を崩していない。一方、米国では追加関税が発動されるとの観測から、鉄スクラップの指標とされるコンポジット価格が2月中旬以降に30ドル程度上伸している。国内外に強弱材料が混在するが、需給は均衡した状態が続き、目先、横ばいの公算大。

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