この価格調査は、「建設物価」等で掲載していない緑化樹木、グラウンドカバープランツ(GCP)のうち、需要者ニーズの高いものについて情報提供し、需給の円滑化に資することをねらいとしている。
実施主体は、緑化樹木調達難易度判定会議((一財)日本緑化センター・(一社)日本植木協会)で、全国の調査モニターによる市場価格調査結果をもとに、判定会議による確認にもとづき行うものである。
調査対象は、緑化樹木、GCPおよび庭園樹木とし、樹種の内訳は、表1に示すとおりである(調査結果の詳細は後掲「掲載価格の見方」を参照)。


高中木供給可能量の最近10年間の供給状況を概観するとともに、都市のまちなかに緑の空間を提供するユニークな試みを紹介する。
高中木供給可能量について形態別に最近10年間の推移をみると、針葉樹は年々減少傾向を示している。常緑広葉樹は2020年まで200万本台、2021年以降190万本から160万本台へ供給水準を減らしている。落葉広葉樹はこの10年間、おおむね100万本前後で比較的安定した水準を維持している(図1)。
次に、樹種別数量の変動を整理する(表3)。

針葉樹の樹種別本数の増減率(2025/2015年)をみると、調査対象44樹種のうち、増加しているのが10樹種(23%)、減少しているのは34樹種(77%)とほぼ8割の樹種が減少している。
常緑広葉樹では、55樹種のうち増えているのが15樹種(27%)、減っているのが40樹種(73%)と減少している樹種が7割を超える。
落葉広葉樹は96樹種を調査対象とし、2015年と比べ増加しているのは54樹種(56%)、減少は42樹種(44%)と、増減率にバラツキはあるものの、半数を超える樹種で供給可能量が増えている。
さらに、樹種別構成比をもとに階層に分けて本数と樹種数について検討する(表4)。

2025年の針葉樹総数に占める樹種毎の構成比をみると、5%以上と3%以上のものを合わせると9樹種、1%以上3%未満が14樹種、1%に満たないもの21樹種となる。構成比5%以上の4樹種で約27万本(47%)を占める。
常緑広葉樹は5%以上4樹種、本数約86万本(53%)となり、1~5%に17樹種、1%未満34樹種(62%)となる。
落葉広葉樹は5%以上3樹種、本数約23万本(23%)となり、1~5%が25樹種、7割を占める残り68樹種(71%)は1%未満となる。
図1で落葉広葉樹の本数が比較的安定して推移している理由は次のように考えることができる。針葉樹、常緑広葉樹では、減っている樹種数が増えている樹種数を上回っているのに対し、落葉広葉樹は増加樹種数が上回っていることが要因の1つである。さらに、調査樹種数は針葉樹44、常緑広葉樹55に対し、落葉広葉樹は96樹種とかなり多い。樹種数が増える要因は、花を観賞する樹種がサクラ類を含め多く供給されていることに加え、イロハモミジ、エゴノキ、ケヤキなど単幹の樹形だけでなく、株立ちも一般に供給されるなどの特性が考えられる。
緑化樹木の需要量が衰退傾向で推移する中で、需要者にとって樹種数の多さ、選択肢の広さが供給減のバッファーとして働いていることが想定できる。
参考として、形態別に本数構成比の上位10樹種の内訳を表5に示す。

埼玉県さいたま市で「ストリートプランツプロジェクト」1)が進行している。これは、植木をまちなかに設置することで、地域産業のPRに繋げながら、まちなかのパブリックスペースの居心地を良くする「生産者と都市をみどりで繋ぐ」という取り組み。2025年は8月から今年2月まで、大宮駅東口の大宮門街前などで夏季と冬季でコンテナ植栽を入れ替えながら6か月間開催。通りを行き交う人たちにくつろぎの空間を提供している。
プロジェクトのねらいは、
①歴史ある地域産業を盛り上げたい、
②歩道を居心地のよい空間にしたい、
③たくさんの人にまちに関わってほしい、
という3点を掲げ、コンテナ植栽に使用する樹木は地元の植木生産者が対応する。
維持管理費等を捻出する工夫として、企業によるストリートプランツへの協賛、個人によるコンテナ植栽の購入を募る枠組みを整えた。2020年3月~2021年9月の実績によると、65個のコンテナを設置、うち協賛・購入を得たのが22個。収入額を3等分し生産者・維持管理者・プロジェクト運営者へ還元している²)。
プロジェクトは2022年度から立ち上げ、資金調達にクラウドファンディング型ふるさと納税も加えるなど、工夫を凝らしている。今後歩道部に加え隣接するパーキングレーンでの実証、駅前と周辺エリアを結ぶ重点街路における取り組みに発展することが期待できる。
参考文献
1)GIAP ストリートプランツプロジェクトについて(大宮駅周辺グリーンインフラ公民連携プラットフォーム,
https://street-plants.studio.site/#about
2)国土交通省OMIYA STREET PLANTS PROJECT,
都市に広がる野草の空間
近年、英国では野草(wildflower)が草地(meadowやgrassland)から都市へ生育地を移す動きが顕著になっている¹)。その事情について紹介する。
野草の花が咲く草地の喪失
英国自然保護局によると、1930年代以降、野草の草地の97% 以上が失われ、花が豊富な草地は現在、英国の国土面積のわずか1% しか残っていない²)。
英国・アイルランド植物学会などが公表した「植物アトラス2020」³)によると、調査で確認された植物は3,445種にのぼり、そのうち英国固有(在来)の種が1,692種(49%)、そして特筆すべきことに、人間が意図的あるいは偶発的に野外へ持ち込んだいわゆる導入種が1,753種(51%)であった。これは、英国の野外では在来種より導入種のほうが多く生育していることを意味する。
これらの多くは庭から広がり、野外に自力で生育できる個体群として定着していった。1950年代以降における種の分布の変化を見ると、在来植物全体の53%と、古い時代に持ち込まれた導入種(古代帰化植物)の62%は、既知の分布域が縮小したと推定される一方、近代以降の導入種(新帰化植物)の58%は、既知の分布域が拡大したと推定される。1950年代以降に減少したと見なされる種にとって最大の要因は、土地利用の変化による半自然草地の消失・改変であった。
2020年に英国自然保護局2)は、国内でも希少な花が豊富な草地2カ所を、野生生物にとって国家的に重要であるとして、国の保護対象とすることを発表した。ロンドン北西部ベッドフォードシャー州に位置するルートン市の西郊外にある白亜質の草地、ダロウ・ダウンズ&ウィンズドン・ヒル(DD&WH)と、ルートンの北にある住宅地に位置する花々が咲き乱れる草地、カウスリップ・メドウが、国の学術研究上重要地域(SSSI)に指定された。この措置により、約48haの土地が、多様な野草の草地と希少植物、特に国内でも希少なセリ科の多年生草本Bunium bulbocastanumが生息する貴重な植物群落として、強力な法的保護を受けることになった。
都市に野草のスペースを確保する
コミュニティが生物多様性を高めるうえで、芝生の一部を草地へ切り替えることは、最も効果的で実績のある方法のひとつとなる。アイルランド野生生物トラスト(IWT)Laois/Offaly支部4)では、複数の地域団体と協力し、草地づくりとその管理に取り組んできた。この支部は地域団体や個人と共に「全アイルランドポリネーター計画:All-Ireland Pollinator Plan」(実施:国立生物多様性データセンター)を推進し、送粉者(pollinator)が元気に暮らせる場所として伝統的な在来の野草が育つ冬の飼料用牧草地(hay meadow)を造る。草地の広さは、管理できる範囲で大小さまざまである。生物多様性の保全に加え、医療施設のキャンパスでは健康・ウェルビーイングの場として、学校では屋外学習のスペースとして、ゴルフ場ではラフの管理方法として活用されるなど、用途は広い。この4年間で、地方自治体をはじめ、各地のTidy Townsグループ(環境ボランティア)、学校、スポーツクラブ、住宅地の団体など、さまざまなグループと協働して、各団体は大小さまざまな新しい草地を造った。
英国・ケンブリッジ大学キングス・カレッジ5)は2019年、象徴的なバック・ローンの一部に野草の草地を造成。1772年に初めて整備された芝生の一部(サッカー場の半分ほどの広さ)を置き換えた。3年間の調査により、芝生と比べ、面積は小さい(0.36ha)にもかかわらず、草地では植物種数が約3倍、クモとカメムシ類の種数および個体数も約3倍となり、コウモリは残存する芝生より草地上で3倍多く記録された。
調査結果をまとめたC.マーシャル博士は、「ケンブリッジは干ばつに見舞われやすくなっており、昨年の夏にはカレッジの美しい芝生のほとんどが枯れてしまった。野草は芝草よりも根が深い傾向があるので、長期間の干ばつでも枯れにくい」6)と説明した。

英国・ニューカッスル大学の調査7)によれば、環境団体はブラウンフィールドと呼ばれる土地に注目し幅広い取り組みを行っているという。ここは、かつて人間が利用していたが現在は放棄された土地で、大部分は旧工業用地であるが、レンガ工場、採石場、鉄道線路、使われなくなった飛行場もブラウンフィールドに分類される。これらの土地は、溶剤、アスベスト、重金属などの有害化学物質が土壌に浸出するため危険な「見苦しい」土地と見なされることが多い。
しかし、生態学的研究により、ブラウンフィールドは生物多様性にとって非常に重要な地域であり、多くの希少種や絶滅危惧種の生息地を提供する複雑な生態系を擁していることが明らかになっている。ブラウンフィールドの湿地は、水鳥にとって重要であり、乾燥した土地は、栄養分が枯渇した土壌のため、サンザシ、ヒルガオ、イネ科植物などの成長の早い植物が繁茂するのを防ぎ、野草の生育を促す。そこには、かつて家庭の庭から植物が持ち込まれたため、開発されていない土地よりも動植物の生物多様性が高くなり、この豊富な花粉は、マルハナバチやチョウなどの多数の送粉昆虫や無脊椎動物を引き寄せる。英国のブラウンフィールドには、国内で希少な無脊椎動物の約12~15%が生息しているという。
ブラウンフィールドは自然の生息地に似た環境を提供するため、都市部では希少になりつつある種にとっての避難所となる可能性がある。
生物多様性の向上
英国・エクセター大学8)によれば、都市環境は、一部の送粉者にとって避難場所になり得る。公共の緑地は面積が大きく数も多い一方で、植物-送粉者の生物多様性が低い傾向にあるため、都市における植物-送粉者の保全策を実施する有望な場となる。
そこで、野草の草地と送粉者に配慮した園芸植物の植栽で改善した都市の公共緑地と、改善を行っていない対照の都市緑地について、植物群落・送粉者群落・植物-送粉者相互作用を比較した。その結果、改善区は対照区に比べて送粉者群落全体の多様性が高いだけでなく、一部の野生ハチ目の相互作用ネットワークの複雑さや、ハエ目の送粉者群の個体数も増加していた。都市化が特定の送粉者群に及ぼす負の影響は、対照区より改善区で小さかった。さらに、送粉者にやさしい園芸植物と野草を併せて植栽することで、野草の植栽のみの場合に比べ、ハエ目の訪花回数と植物-送粉者群落の多様性が有意に増加した。すなわち、公共空間を送粉者のために改善することは重要な役割を担うグループにプラスの効果をもたらし、都市化の影響緩和にも寄与し得る。
英国・ウエスト・オブ・イングランド大学上級講師のH.ランブル1)は、「地方自治体は、生物多様性の向上につながり、維持管理の手間も少ないため、野草を植えることを好む。しかし、人々は、特定の時期には見た目がみすぼらしくなると不満を漏らす。イギリス人が整然とした緑の芝生を好む傾向が一因となっており、整然としていない場所への疑念を生み出している」と言う。
このような景観に対する考え方に相違が見られるものの、都市部に生活する市民は地球温暖化への対応、生物多様性の保全に対して自分たちにできる具体的な行動を起こしつつある。
参考文献
1)Jessica Bradley(2026)Why wildflowers are moving from meadows to the city、https://www.bbc.com/future/article/20260413-why-wildflowers-are-moving-from-meadows-to-the-city
2)Natural England Nationally important wildflower grasslands get increased protection、https://www.gov.uk/government/news/nationally-important-wildflower-grasslands-get-increased-protection
3)Botanical Society of Britain & Ireland(2023)Britain’s Changing Flora A Summary of the Results of Plant Atlas 2020、https://plantatlas2020.org/sites/default/files/bsbi_data/home/BSBI%20Plant%20Atlas%202020%20summary%20report%20Britain%20in%20English%20WEB.pdf
4)National Biodiversity Data Centre(〇)Practical advice on managing wildflower meadows、https://biodiversityireland.ie/practical-advice-on-managing-wildflower-meadows/
5)Cicely A. M. Marshall et al. Urban wildflower meadow planting for biodiversity, climate and society: An evaluation at King’s College, Cambridge、https://besjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/2688-8319.12243
6)Jacqueline Garget(2023)A break from the lawn Can an iconic meadow seed wider change?、https://www.cam.ac.uk/stories/kings-wildflower-meadow-a-break-from-the-lawn
7)R. McCallum & A. M. Sardo, “Britain’s rainforests”: engaging the public with brownfield sites for conservation in the U.K.、https://jcom.sissa.it/article/pubid/JCOM_2004_2021_A07/
8)Oliver Poole et al.(2024)Pollinators respond positively to urban green space enhancements using wild and ornamental flowers、https://resjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1111/icad.12779
[緑化樹木調達難易度判定会議]
~自然樹形~


[緑化樹木調達難易度判定会議]
~ GCP ~




[緑化樹木調達難易度判定会議]
令和7年度認定「特別庭園樹木(名木)」
生産者:甚平植木 今里健吾
生産地:兵庫県宝塚市(①、②、③)
一般社団法人日本植木協会の特別庭園樹木(名木)認定制度は、最高の技術と長い年月によって育成され芸術的風格を備えた庭園樹木(仕立て物及び自然樹形を基本として育成したもの)を「名木」と認定し、その価値を称賛するとともに、生産技術の継承、生産意欲の振興を図り、ひいては需要の喚起により業界発展に寄与することを目的としています。

名木の対象樹種は、本会会員の所有する中・高木で、販売の意思があり、運搬可能であるものです。令和7年度は、3本が認定されました。

一般社団法人日本植木協会
1. 調査対象樹種・規格
※「建設物価」に未掲載の樹種、規格を調査対象とする。
①緑化樹木
『建設物価』掲載の樹種でその最大規格より大きく、かつ幹周=1.5mを超える超大径木より小さい範囲の樹木及び『建設物価』未掲載の樹種としている。
②グラウンドカバープランツ
『建設物価』未掲載の樹種・規格のもの。
③庭園樹木
2. 調査方法
※調査は、下記の「緑化樹木調達難易度判定会議」によって実施された。
(一財)日本緑化センター及び(一社)日本植木協会で組織する「緑化樹木調達難易度判定会議」により、(一社)日本植木協会会員の中から調査モニターを選定。緑化樹木モニター(対象樹種の主要産地32都道府県103社)、コンテナ栽培植物モニター(32都道府県103社)、庭園樹木モニター(32都道府県103社)へ調査を行った。
3. 調査期間
2026年4月6日~5月2日
4. 掲載価格(希望価格)
上記調査方法によって収集されたデータを、「緑化樹木調達難易度判定会議」において集計し、各対象樹種の最大値、最小値、平均値を算出し、これを掲載価格とした。
なお価格は、卸売業者が造園工事業者に販売するときの希望価格であり、本誌404ページ以降に掲載している(一財)建設物価調査会が調査した樹木価格(市中での実取り引き価格=実勢価格)とは、価格の性質が異なる。
5. 調査段階
▼印が調査段階である(下図参照)。

6. 荷渡し場所
緑化樹木・グラウンドカバープランツは植栽現場持ち込み、庭園樹木は卸売業者積み込み渡しとしている。
7. 価格の適用
●緑化樹木・グラウンドカバープランツ
掲載価格は植栽現場持ち込み価格で、生産地価格に積み込み費、積み降ろし費、運搬費、その他流通経費を加算した価格。ただし、現場で工事に当たる造園工事業者の植え付け費、養生費などの工事費、一般管理費、枯補償費は含まない。
●庭園樹木
掲載価格は卸売業者積み込み渡し価格である。よって、工事現場までの運賃は含まない。
8. 調達難易度
調達難易度の判定は、供給力の度合いに応じて5段階で評価している。生産地モニター、消費地モニターの判定結果である。

1. 掲載地区について
掲載地区は以下のとおりである。

2. 表示価格の特例
サンプル数が十分得られない地域については、「…」で表示をしている。
平均値は端数処理の関係から、最大値または最小値と同値の場合がある。
3. 更新情報等・問い合わせ先
価格の更新情報、調査方法等に関するお問い合わせは(一社)日本植木協会、緑化樹木調達難易度判定会議までお願いします。
URL:https://www.ueki.or.jp
TEL:(03)3586-7361(代)











