鋼材類は、2020年初頭に新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延により需要が低迷。 2020年半ば頃に、経済活動再開により世界の鋼材需要が急回復したことにともない鉄鉱石・原料炭や鉄スクラップの価格が上昇に転じ、原料高を受けたメーカーの値上げにより上昇基調へ転換した。2022年に入るとウクライナ情勢の悪化や円安進行から原料価格がさらに上昇し、鋼材急騰局面を迎えた。
鋼材は鉄鉱石、原料炭を主原料とする高炉製品と鉄スクラップを主原料とする電炉製品に大別される。
■鉄鉱石・原料炭
ウクライナ情勢及び天候不順による供給不安から、鉄鉱石・原料炭ともに上昇。足元では、中国の景気減退を中心とした、海外の鋼材需要減少に伴い、下落基調に転じている。
■鉄スクラップ(東京)
上昇基調が続いていた鉄スクラップは5月GW明けより下落に転じる。3か月で25,000円の急落後、直近10月号で7,500円の反発。
■鋼矢板(全国*沖縄除く)
高炉メーカー各社は原料高騰を受け4月以降トン当たり35,000円の値上げを実施。昨年度からの値上げも含め2021年12月号~2022年9月号で10カ月連続の市況上伸となり、過去最高値の200,000円となった。
メーカー値上げ分は、概ね市場に浸透し、先行き、横ばいの見通し。
■H形鋼(東京)
原料高を主要因とした高炉・電炉メーカーの値上げにより、2022年4月号から10月号まで7カ月連続で上伸。
原料価格は軟化傾向にあるが、メーカー各社は原料価格の先行きの不透明感から、販売価格を据え置き、価格維持の姿勢。気配は強含みから横ばいへと局面の変化がみられる。
■異形棒鋼(東京)
原料等の高騰を受けて、電炉メーカー各社は段階的に値上げを実施。2022年6月号は過去最高値のトン当たり121,000円に上昇。直近では鉄スクラップ急落を受け、116,000円に下落。
メーカー各社は、価格維持の姿勢を崩していないが、鉄スクラップの急落を受けて、需要家の値引き要求も強まっており、弱基調で推移している。
2022年上期に鋼材急騰要因となった原材料の鉄鉱石や原料炭の価格は、足元で下落に転じている。鉄スクラップ価格においても直近で反発しているものの、ロシアのウクライナ侵攻前の水準を下回っている。歴史的高値圏にある鋼材価格は、先行きの気配が「横ばい」の品種が大半となり、全般的に上昇基調が一服し天井感が台頭している。
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