建設物価調査会

主要資材動向(東京)

  • 建設物価

    東京地区の主要資材の最新の価格動向を掲載しています。その他の品目については、「月刊 建設物価」、「Web建設物価」をご確認ください。

    建設物価
    Web建設物価

2023年5月10日現在 東京

主要資材価格動向

主要資材動向

(クリックで拡大)

品名品名規格単位価格前月比気配掲載ページ
異形棒鋼異形棒鋼SD295 D16t117,000
変わらず
横ばい
16
H形鋼H形鋼SS400 200×100×5.5×8mmt123,000
変わらず
横ばい
26
中厚板中厚板無規格品 16~25×1,524×3,048mmt143,000
変わらず
横ばい
40
カラー亜鉛鉄板カラー亜鉛鉄板0.35×914×1,829mm1,548
変わらず
横ばい
54
セメントセメント普通ボルトランド バラt16,000
上伸
横ばい
79
レディーミクストコンクリートレディーミクストコンクリート18-18-25(20) 普通ボルトランド(17区)m317,800
変わらず
横ばい
92
再生砕石再生砕石再生クラッシャラン 40~0mm(17区)m31,200
変わらず
横ばい
129
管柱 杉(KD)管柱 杉(KD)3.0m×10.5×10.5cmm385,000
下落
弱含み
160
コンクリート型枠用合板コンクリート型枠用合板12×900×1,800mm 輸入品1,950
下落
弱含み
175
再生アスファルト混合物再生アスファルト混合物密粒度13(14区)t9,900
変わらず
横ばい
211
ストレートアスファルトストレートアスファルト針入度60~80 ローリーt101,000
変わらず
横ばい
219
600V ビニル 絶縁電線600V ビニル 絶縁電線Ⅳ 1.6mm 単線m33.3
変わらず
横ばい
539
配管用炭素鋼鋼管(ガス管)配管用炭素鋼鋼管(ガス管)白ねじ付き管 50A 4m6,670
変わらず
横ばい
654
硬質ポリ塩化ビニル管硬質ポリ塩化ビニル管VP100mm 4m4,190
変わらず
横ばい
688
軽油軽油ローリー115.0
下落
横ばい
788
鉄スクラップ鉄スクラップヘビーH2t41,000
下落
弱含み
794
矢印説明

<市況総括>

 国内の建設工事の統計資料をみると、2023年4月の公共工事請負額は全国で前年同月比1.9%増(建設業保証会社)、2023年3月の新設住宅着工戸数は、貸家は増加したが、持家及び分譲住宅が減少したため、全体で前年同月比3.2%の減少、民間非居住建築物着工床面積では事務所は増加したが、店舗、工場及び倉庫が減少したため23.2%減(国土交通省)となっている。一方、主要資材の需要動向は、小形棒鋼が3月の国内出荷量で前年同月比1.2%減、H形鋼が1.4%増(日本鉄鋼連盟)、生コンが4月の東京17区出荷量で22.7%減(東京地区生コンクリート協同組合)、アスファルト混合物が3月の東京地区出荷量で4.8%減(日本アスファルト合材協会)となっている。

 東京地区の主要10資材の価格動向はセメントが上伸、コンクリート型枠用合板、軽油の2資材が下落、異形棒鋼、H形鋼、生コン、再生砕石、再生アスファルト混合物、600Vビニル絶縁電線、配管用炭素鋼鋼管(ガス管)の7資材が横ばいとなった。

 【セメント】 普通ポルトランド(バラ)でトン当たり16,000円と前月比3,000円の上伸。主たる需要家である生コンメーカーの抵抗もあり時間を要したものの、メーカー各社が粘り強く交渉を続けたことで値上げが浸透した。先行き、横ばいの見通し。

 【コンクリート型枠用合板】足元の需要が低迷しているため、市中の荷余り感は解消されず。流通筋は在庫整理を目的として販売価格を引き下げ、続落した。需要家は模様眺めの当用買いに徹しており、目先も弱基調の見通し。

 【軽油】 ローリー渡しでリットル当たり115円と前月比1円下落。燃料油価格激変緩和対策により今後も大幅な価格変動は避けられるとの見方が多く、目先、横ばいの見通し。

 【異形棒鋼】 横ばい。電力料金の上昇を背景に、メーカー各社は採算改善に向けて値上げの姿勢を崩していない。一方、原料の鉄スクラップ価格が弱基調にあるため、需要家は当用買いに徹している。目先も横ばいの見通し。

 【H形鋼】 横ばい。流通筋は仕入れ価格の上昇分を販売価格に転嫁したい意向にあるが、需要の後押しがなく、需要家に対する価格転嫁は難航している。目先も横ばいの見通し。

 【生コン】 横ばい。協組は原材料の高騰や輸送コスト増から現行の価格水準では採算確保が困難であるとして、4月から2,000円の値上げを打ち出している。しかし、値上げ前の駆け込み注文の反動から本格的な交渉には至っていない。先行きも横ばいの見通し。

 【再生砕石】 横ばい。メーカー各社は電力料金などのエネルギーコストの値上がり分を販売価格に転嫁したい意向にあるが、在庫調整を目的とした安値も散見され、現行価格の維持が精いっぱいの状況。先行きも横ばいの見通し。

 【再生アスファルト混合物】 横ばい。メーカー各社はエネルギー価格上昇に伴う製造コストなどの増加分を販売価格に転嫁するため値上げ交渉を継続。需要家は手持ち工事の採算確保を重視しており、供給側と需要家の交渉は、こう着状態が続くとの見方が強い。目先も横ばいの見通し。

 【電線】横ばい。メーカー各社は副資材や電力料金、物流費などの高騰分を転嫁すべく、4月から値上げを表明。しかし、売り上げ確保を優先する流通筋の足並みは揃っていない。値上げの浸透には時間を要するとの見方が多く、目先も横ばいの見通し。

 【配管用炭素鋼鋼管(ガス管)】 横ばい。流通筋は採算を確保すべく値上げ未達分の浸透に向けて交渉を継続。一方、大口需要家である総合設備工事業者は、働き方改革への対応に伴う人件費増などを理由に材料の値上げ受け入れに難色を示し、こう着状態が続いている。目先も横ばい見通し。

<市況(現況と見通し)>

  • 異形棒鋼

    圖師
    先行き気配

    鉄スクラップ価格下落も、横ばい

     SD295・D16でトン当たり117,000円と前月比変わらず。原油やガスのエネルギー価格高騰による電力料金の上昇を背景に、メーカー各社は採算改善に向けて値上げの姿勢を崩していない。一方、原料の鉄スクラップ価格が弱基調にあるため、需要家は様子見の姿勢を強め当用買いに徹している。メーカーおよび流通筋は、値上げ未達分の早期浸透に向けて、引き続き強い販売姿勢で交渉を進める構え。価格交渉はこう着状態に入るとみられ、目先、横ばいで推移する公算が大きい。

  • H形鋼

    名嘉
    先行き気配

    需要の後押しなく、横ばい

     200×100でトン当たり123,000円と前月比変わらず。都心部の再開発事業など大型の建築需要は堅調に推移するも、市中の荷動きに直結する中小建築需要は依然として精彩を欠いている。流通筋は仕入れ価格の上昇分を販売価格に転嫁したい意向にあるが、需要の後押しがなく、需要家に対する価格転嫁は難航している。今後も流通筋は採算悪化の回避に向けて、値上げ交渉を継続する構え。しかし、需要家の値上げに対する抵抗は強く、目先、横ばいで推移する公算が大きい。

  • カラー亜鉛鉄板

    陶山
    先行き気配

    市中在庫増加も、横ばい

     0.35×914×1,829㎜で枚当たり1,548円と前月比変わらず。大型物流倉庫向けの出荷は堅調に推移しているが、住宅・事務所・店舗等、中小建築需要は精彩を欠いている。需給のタイト感が乏しく、販売数量確保のための安値も一部で見られるが、主力の流通各社はメーカーの販売姿勢を受け、需要家の値下げ要求には応じていない。市場規模の縮小は、この先も続く見通しであるが、メーカーおよび流通は価格維持の姿勢を崩していない。目先、横ばいの公算が大きい。

  • セメント

    佐藤
    先行き気配

    値上げが浸透、3,000円の上伸

     普通ポルトランド(バラ)でトン当たり16,000円と前月比3,000円の上伸。3月の国内販売量は323万3千トン(協会調べ)で前年同月比2.3%の減少、2022年度の同販売量も3,726万トンで前年度比1.6%の減少となった。メーカー各社が昨年打ち出した3,000円以上の値上げは、主たる需要家である生コンメーカーの抵抗もあり時間を要したものの、粘り強く交渉を続けたことで目標としてきた打ち出し額が浸透した。メーカーは、現行価格維持に努める意向で、先行き、横ばいの公算大。

  • レディーミクストコンクリート

    佐藤
    先行き気配

    交渉本格化には至らず、横ばい

     18-18-20でm3当たり17,800円と前月比変わらず。4月の東京17区出荷量は、20万5千m3(協組調べ)で前年同月比22.7%の大幅減。作業員不足による工事の遅れから1月以降の荷動きは精彩を欠いているが、都心部の堅調な需要に揺るぎはない。協組は原材料の高騰や輸送コスト増から現行の価格水準では採算確保が困難であるとして、4月から2,000円の値上げを打ち出している。しかし、値上げ前の駆け込み注文の反動から本格的な交渉には至っていない。先行き、横ばいの公算が大きい。

  • 再生砕石

    岡本
    先行き気配

    需給緩和も、横ばい

     再生クラッシャラン40~0mmでm3当たり1,200円と前月比変わらず。新年度入り後も在庫の過剰感が続いている。メーカー各社は需給の引き締めを図るため、廃材の受入制限を強化。価格面では電力料金などのエネルギーコストの値上がり分を販売価格に転嫁したい意向にある。しかし、在庫調整を目的とした安値も散見され、現行価格の維持が精いっぱいの状況。需給改善が見通せない中で、メーカーは需要家に対し売り腰を強められないと予想される。先行き、横ばいの公算が大きい。

  • コンクリート型枠用合板

    飯島
    先行き気配

    荷余り感解消せず、なお弱基調

     12×900×1,800mm輸入品で枚当たり1,950円と前月比50円の下落。3月の輸入合板入荷量は15万7千m3と前年同月比28.5%の減少(財務省調べ)。入荷量は減少したが、足元の需要が低迷しているため、市中の荷余り感は解消せず。流通筋は在庫整理を目的として販売価格を引き下げ、続落した。現地メーカーが受注量減少を背景に価格を引下げたことで先安観が台頭してきており、需要家は模様眺めの当用買いに徹している。需要回復には時間を要する見込みであり、目先、弱基調の公算大。

  • 再生アスファルト混合物

    筒井
    先行き気配

    値上げ交渉続くも、横ばい

     密粒度13でトン当たり9,900円と前月比変わらず。3月の都内出荷量は、15万7千トン(協会調べ)で前年同月比4.8%の減少。舗装工事の発注が減少したため、出荷量が前年実績を下回った。4月以降も目立った物件は少なく、需要低迷が続いている。メーカー各社はエネルギー価格上昇に伴う製造コストなどの増加分を販売価格に転嫁するため値上げ交渉を継続。需要家は手持ち工事の採算確保を重視しており、供給側と需要家の交渉は、こう着状態が続くとの見方が強い。目先、横ばいの公算大。

  • 電線

    木村
    先行き気配

    値上げの足並み揃わず、横ばい

     IV1.6mm単線でm当たり33.3円と前月比変わらず。主原料である銅の建値は、4月平均で123万円台と同水準で推移。需要は都心部の再開発事業や太陽光発電設備工事を中心に一定量あるものの、中小物件が振るわず盛り上がりに欠ける。メーカー各社は副資材や電力料金、物流費などの高騰分を転嫁すべく、4月から値上げを表明。しかし、売り上げ確保を優先する流通筋の足並みは揃っていない。足元の需給が均衡するなか、値上げの浸透には時間を要する見通し。目先、横ばい推移の公算大。

  • 配管用炭素鋼鋼管(ガス管)

    伊藤
    先行き気配

    荷動きは低調、横ばい

     白ねじ付き管50A4mで本当たり6,670円と前月比変わらず。再開発事業向けの出荷は一定量あるが、施工性の良さから樹脂管を代替品に採用する現場も多く、荷動きは低調に推移。流通筋は採算を確保すべく値上げ未達分の浸透に向けて交渉を継続。一方、大口需要家である総合設備工事業者は、働き方改革への対応に伴う人件費増などを理由に材料の値上げ受け入れに難色を示し、こう着状態が続いている。需要が回復するには、しばらく時間を要するとの見方が強い。目先、横ばいの公算大。

  • 燃料油

    原田
    先行き気配

    原油相場の下落により、ローリー渡し下落

     軽油はローリー渡しでリットル当たり115円と前月比1円下落、レギュラーガソリンはスタンド渡しでリットル当たり150円と変わらず。原油相場は主要産油国による追加減産の発表を受け一時高値を付けるも、米国の景気悪化への不安や中国経済回復の遅れへの懸念から下落に転じた。原油相場は方向感を欠くなか、なおも不安定な状況が続くものとみられる。一方、国内市況は燃料油価格激変緩和対策により、今後も大幅な価格変動は避けられるとの見方が多く、目先、横ばいの公算大。

  • 鉄スクラップ

    永島
    先行き気配

    需給に緩み、3,000円の下落

     ヘビーH2でトン当たり41,000円と前月比3,000円の下落。輸出価格の下落を受けて、国内相場には割高感が台頭。問屋筋の多くは先安観を見越し、小幅な値下げに留まる国内需要家への迅速な出荷を進めている。このような状況下、一部の電炉メーカーが荷受け量を制限したことで需給に緩みが見られ、国内相場は下落した。アジア向けの新規商談で進展が見られず、国内需要家は原料購入に慎重な姿勢を取り始めている。今後、市況は緩やかに下落していくとの見方が強く、目先、弱基調の公算大。

問い合わせ先

一般財団法人 建設物価調査会
  調査統括部 調査統括課
TEL:03-3663-3892