建設物価調査会

主要資材動向(東京)

  • 建設物価

    東京地区の主要資材の最新の価格動向を掲載しています。その他の品目については、「月刊 建設物価」、「Web建設物価」をご確認ください。

    建設物価
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2023年11月10日現在 東京

主要資材価格動向

主要資材動向

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品名品名規格単位価格前月比気配掲載ページ
異形棒鋼異形棒鋼SD295 D16t114,000
変わらず
弱含み
16
H形鋼H形鋼SS400 200×100×5.5×8mmt120,000
変わらず
弱含み
26
中厚板中厚板無規格品 16~25×1,524×3,048mmt142,000
変わらず
弱含み
40
カラー亜鉛鉄板カラー亜鉛鉄板0.35×914×1,829mm1,548
変わらず
弱含み
54
セメントセメント普通ポルトランド バラt16,000
変わらず
横ばい
79
レディーミクストコンクリートレディーミクストコンクリート18-18-25(20) 普通ポルトランド(17区)m319,800
変わらず
横ばい
92
再生砕石再生砕石再生クラッシャラン 40~0mm(17区)m31,200
変わらず
横ばい
129
管柱 杉(KD)管柱 杉(KD)3.0m×10.5×10.5cmm380,000
変わらず
横ばい
160
コンクリート型枠用合板コンクリート型枠用合板12×900×1,800mm 輸入品1,800
変わらず
強含み
175
再生アスファルト混合物再生アスファルト混合物密粒度13(14区)t9,900
変わらず
横ばい
211
ストレートアスファルトストレートアスファルト針入度60~80 ローリーt121,000
上伸
横ばい
219
600V ビニル 絶縁電線600V ビニル 絶縁電線Ⅳ 1.6mm 単線m34.0
変わらず
横ばい
539
配管用炭素鋼鋼管(ガス管)配管用炭素鋼鋼管(ガス管)白ねじ付き管 50A 4m6,670
変わらず
横ばい
654
硬質ポリ塩化ビニル管硬質ポリ塩化ビニル管VP100mm 4m4,190
変わらず
横ばい
688
軽油軽油ローリー116.0
下落
横ばい
788
鉄スクラップ鉄スクラップヘビーH2t42,500
下落
横ばい
794
矢印説明

<市況総括>

 国内の建設工事の統計資料をみると、2023年10月の公共工事請負額は全国で前年同月比3.6%増(建設業保証会社)、2023年9月の新設住宅着工戸数は、持家、貸家及び分譲住宅が減少したため、全体で前年同月比6.8%減少、民間非居住建築物着工床面積では店舗及び工場は増加したが事務所及び倉庫が減少したため2.0%減(国土交通省)となっている。一方、主要資材の需要動向は、小形棒鋼が9月の国内出荷量で前年同月比2.6%減、H形鋼が3.2%減(日本鉄鋼連盟)、生コンが10月の東京17区出荷量で10.3%増(東京地区生コンクリート協同組合)、アスファルト混合物が9月の東京地区出荷量で1.4%増(日本アスファルト合材協会)となっている。

 東京地区の主要10資材の価格動向は、軽油が下落、異形棒鋼、H形鋼、セメント、生コン、再生砕石、コンクリート型枠用合板、再生アスファルト混合物、600Vビニル絶縁電線、配管用炭素鋼鋼管(ガス管)の9資材が横ばい、上伸した資材はなかった。

 【軽油】 ローリー渡しでリットル当たり116円と前月比6円下落。9月から補助金による実質仕切価格の引き下げが続いたため、流通筋は販売価格の見直しを進めたことから続落。目先、横ばいの見通し。

 【異形棒鋼】 横ばい。メーカー各社は販売価格の引き上げを表明後、採算確保のため強気の交渉を続けているものの、需要家による値下げ要求の姿勢は変わっていない。需要低迷は長期化しており、数量確保を優先する流通業者間の販売競争は広がるとの見方が強い。目先、弱含みの見通し。

 【H形鋼】 横ばい。需要の盛り上がりに欠ける状況下、流通筋は採算割れを回避するため現行価格の維持に努めているが、需要家の購入姿勢は慎重で当用買いに徹している。今後も買い手側優位の状況が続くとの見方が大勢で、目先、弱含みの見通し。

 【セメント】 横ばい。先の値上げ要因となった石炭相場にも目立った動きは見られず、メーカー各社は、カーボンニュートラルを見据えた設備投資の費用確保を唱えながら、現行価格の維持に注力している。先行きも横ばいの見通し。

 【生コン】 横ばい。協組は、骨材価格や輸送コストが今後増加することが確実視されていることを踏まえ、2024年4月出荷分から1,000円の値上げを表明。出荷ベースでの値上げというこれまでにない協組の表明に対し、需要家は様子見姿勢に徹している。先行きも横ばいの見通し。

 【再生砕石】 横ばい。メーカー各社は廃材の受入制限を強化して需給の引き締めを図り、電力料金や輸送コスト増加分を価格転嫁したいとの意向だが、需要家の購入姿勢は厳しく、両者の交渉は平行線をたどっている。先行きも横ばいの見通し。

 【コンクリート型枠用合板】 横ばい。流通筋は現地価格の高止まりと円安による仕入れコスト高を販売価格へ反映すべく交渉に臨んでいるが、需要家の購入姿勢は厳しく両者の交渉は進展していない。流通筋は現地の雨季入りによる入荷量の減少を背景に、さらに売り腰を強める姿勢であり、先行き、強含みの見通し。

 【再生アスファルト混合物】 横ばい。メーカー各社は、主な原材料であるストアス価格の上昇を理由に、下半期からの値上げを表明。交渉進展のきっかけとなる需要回復には時間がかかる見込みで、先行きも横ばいの見通し。

 【電線】 横ばい。流通各社は原材料価格や輸送コスト増加分の転嫁が不十分として、売り腰を強めている。一方、需要家は度重なる値上げに難色を示しており、厳しい購入姿勢を崩していない。目先も横ばいの見通し。

 【配管用炭素鋼鋼管(ガス管)】 横ばい。流通筋はメーカー値上げ未達分を販売価格へ転嫁させたい意向だが、需要家の購入姿勢は厳しく価格交渉は難航している。需給環境の改善にはしばらく時間を要するとの見方が強く、先行きも横ばいの見通し。

<市況(現況と見通し)>

  • 異形棒鋼

    圖師
    先行き気配

    需要低調、目先弱含み

     SD295・D16でトン当たり114,000円と前月比変わらず。足元では依然として労働者不足や建設計画見直しによる工期の遅れなどにより需要が振るわず、市中はさえない商状が続いている。メーカー各社は販売価格の引き上げを表明後、採算確保のため強気の交渉を続けているものの、需要家による値下げ要求の姿勢は変わっていない。需要低迷は長期化しているため、先安観を一掃する材料が乏しく、数量確保を優先する流通業者間の販売競争が広がりそう。目先、弱含みの公算が大きい。

  • H形鋼

    名嘉
    先行き気配

    需給タイト感乏しく、弱含み

     200×100でトン当たり120,000円と前月比変わらず。市中の荷動きに直結する中小建築需要が低調に推移するなか、メーカーは需要見合いの生産体制を継続。流通各社も仕入れ量を抑制することで在庫増加を回避する動きを見せている。需要の盛り上がりに欠ける状況下、流通は採算割れを回避するため現行価格の維持に努めているが、需要家の購入姿勢は慎重で、当用買いに徹している。さえない商況に変化は見られず、買い手側優位の状況が続くとの見方が大勢。目先、弱含みの公算大。

  • 中厚板

    岩崎
    先行き気配

    需給環境厳しく、弱含み推移

     16~25×1,524×3,048mmでトン当たり142,000円と前月比変わらず。中国や欧州の景気減速により建機・産機向け需要が減少に転じ、中小建築向けの実需も依然として精彩を欠いており、全体の荷動きに勢いをつける力強さはない。流通各社が仕入れ量の抑制に努めたことで市中在庫量は減少傾向にあるが、需要家の値下げ要求が厳しさを増しており、安値で応じる場面が増えている。需要の回復にはまだ時間を要するとの見方が強く、目先、弱含みの公算が大きい。

  • セメント

    佐藤
    先行き気配

    出荷減少続くも、現行価格維持

     普通ポルトランド(バラ)でトン当たり16,000円と前月比変わらず。9月の国内販売量は、305万8千トン(協会調べ)で前年同月比6.9%の減少。上半期合計も前年同期比6.5%の減少となっており、低調な生コン出荷量の影響を受けているとみられる。価格面では、先の値上げ要因となった石炭相場にも目立った動きは見られず、メーカー各社は、カーボンニュートラルを見据えた設備投資の費用確保を唱えながら、現行価格の維持に注力している。先行き、横ばいの公算が大きい。

  • レディーミクストコンクリート

    佐藤
    先行き気配

    2024年4月出荷分より、1,000円の値上げを表明

     18-18-20でm3当たり19,800円と前月比変わらず。10月の東京17区出荷量は、25万6千m3(協組調べ)で前年同月比10.3%増と、10カ月ぶりに前年同月を上回った。協組は、骨材価格や輸送コストが今後増加することが確実視されていることを踏まえ、2024年4月出荷分から1,000円の値上げを表明。販売店は、現行価格の維持と価格改定の周知に努めているが、出荷ベースでの値上げというこれまでにない協組の表明に対し、需要家は様子見姿勢に徹している。先行き、横ばいの公算が大きい。

  • 再生砕石

    岡本
    先行き気配

    需要の低迷続くも、横ばい

     再生クラッシャラン40~0mmでm3当たり1,200円と前月比変わらず。廃材在庫量は、再開発事業などからの発生材により高水準で推移。メーカー各社は廃材の受入制限を強化して需給の引き締めを図り、電力料金や輸送コスト増加分を価格転嫁したいとの意向。一方、採算を重視する需要家の購入姿勢は厳しく、両者の交渉は平行線をたどっている。この先も需要回復は見通せず、余剰在庫の解消にはしばらく時間を要するとの見方が強い。先行き、横ばいの公算大。

  • コンクリート型枠用合板

    飯島
    先行き気配

    横ばいも先行き強含み

     12×900×1,800㎜輸入品で枚当たり1,800円と前月比変わらず。9月の輸入合板入荷量は18.6万m3で前年同月比7.6%の減少(財務省調べ)。荷動きは精彩を欠き、市中にひっ迫感はない。流通筋は現地価格の高止まりと円安による仕入れコスト高を販売価格へ反映すべく交渉に臨んでいる。一方、手当てが一段落した需要家の購入姿勢は厳しく、両者の交渉は進展せず。流通筋は現地の雨季入りによる入荷量の減少を背景に、さらに売り腰を強める姿勢である。先行き、強含みの公算が大きい。

  • 再生アスファルト混合物

    筒井
    先行き気配

    メーカー売り腰強まるも、横ばい

     密粒度13でトン当たり9,900円と前月比変わらず。4~9月の都内出荷量は、79万トン(協会調べ)で前年同期比2.7%の減少。需要は盛り上がりを欠く展開が続いている。メーカー各社は、主な原材料であるストアス価格の上昇を理由に、下半期からの値上げを表明。需要家は製造コストが増加している状況に理解を示しつつも、工事量減少によって採算が低下していることを理由に抵抗を続けている。交渉進展のきっかけとなる需要回復には時間がかかる見込みで、先行き、横ばいの公算大。

  • 電線

    木村
    先行き気配

    交渉進展せず、横ばい

     IV1.6mm単線でm当たり34.0円と前月比変わらず。需要は都心部の再開発事業や太陽光発電設備工事を中心に一定量あるものの、中小物件向けの荷動きは鈍く盛り上がりに欠ける。主原料である銅の建値は11月上旬で128万円と前月と同水準で推移。流通各社は原材料価格や輸送コスト増加分の転嫁が不十分として、売り腰を強めている。一方、需要家は度重なる値上げに難色を示しており、厳しい購入姿勢を崩していない。双方の綱引きはしばらく続くとの見方が強く、目先、横ばいの公算が大きい。

  • 配管用炭素鋼鋼管(ガス管)

    徳永
    先行き気配

    価格交渉は難航、横ばい

     白ねじ付き管50A4mで本当たり6,670円と前月比変わらず。大型再開発物件の一部では、設計変更や作業員不足から工事の遅れが発生。また、中小規模物件が振るわず、荷動きは低迷している。流通筋はメーカー値上げ未達分を販売価格へ転嫁させたい意向だが、需要家の購入姿勢は厳しく、価格交渉は難航している。メーカーは脱炭素に向けた設備に投資するため強気な販売姿勢を崩していない。しかし、需給環境の改善にはしばらく時間を要するとの見方が強く、先行き、横ばいの公算大。

  • 燃料油

    原田
    先行き気配

    実質仕切価格の値下がりにより、下落

     軽油はローリー渡しでリットル当たり116円、レギュラーガソリンはスタンド渡しで154円とともに前月比6円下落。イスラエル・パレスチナ情勢により、中東の地政学的リスクは高まっているが、欧米経済の鈍化懸念、OPECと米国の原油生産量増加を受け、需給ひっ迫感が弱まり、原油相場は下落。円安進行により原油調達コストは小幅な動きに留まったが、9月から補助金による実質仕切価格の引き下げが続いたため、流通筋は販売価格の見直しを進め全油種で下落した。目先、横ばいの見込み。

  • 鉄スクラップ

    永島
    先行き気配

    輸出相場の軟化を背景に、下落

     ヘビーH2でトン当たり42,500円と前月比500円の下落。アジア各国の景気減速を受けて、輸出相場は下落基調であり、足元の新規成約は難航している。一方で、国内市中スクラップの発生量は依然として低調で、問屋筋の入荷量も低い水準で推移。国内需要家は必要量確保のために慎重な価格対応を求められ、小幅引き下げにとどまった。輸出相場の先安観は今後も継続するとの見方が強いものの、需給はタイトなまま国内相場は様子見の展開となる見通し。目先、横ばいの公算大。

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  調査統括部 調査統括課
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