建設物価調査会

主要資材動向(東京)

  • 建設物価

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2024年7月10日現在 東京

主要資材価格動向

主要資材動向

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品名品名規格単位価格前月比気配掲載ページ
異形棒鋼異形棒鋼SD295 D16t114,000
変わらず
横ばい
16
H形鋼H形鋼SS400 200×100×5.5×8mmt122,000
上伸
強含み
26
中厚板中厚板無規格品 16~25×1,524×3,048mmt142,000
変わらず
横ばい
40
カラー亜鉛鉄板カラー亜鉛鉄板0.35×914×1,829mm1,548
変わらず
横ばい
54
セメントセメント普通ポルトランド バラt16,000
変わらず
横ばい
79
レディーミクストコンクリートレディーミクストコンクリート18-18-25(20) 普通ポルトランド(17区)m320,800
変わらず
横ばい
92
再生砕石再生砕石再生クラッシャラン 40~0mm(17区)m31,200
変わらず
横ばい
129
管柱 杉(KD)管柱 杉(KD)3.0m×10.5×10.5cmm377,000
変わらず
横ばい
160
コンクリート型枠用合板コンクリート型枠用合板12×900×1,800mm 輸入品1,770
変わらず
横ばい
175
再生アスファルト混合物再生アスファルト混合物密粒度13(14区)t10,000
変わらず
横ばい
211
ストレートアスファルトストレートアスファルト針入度60~80 ローリーt117,000
下落
強含み
219
600V ビニル 絶縁電線600V ビニル 絶縁電線Ⅳ 1.6mm 単線m42.0
変わらず
横ばい
539
配管用炭素鋼鋼管(ガス管)配管用炭素鋼鋼管(ガス管)白ねじ付き管 50A 4m7,340
上伸
横ばい
654
硬質ポリ塩化ビニル管硬質ポリ塩化ビニル管VP100mm 4m4,190
変わらず
横ばい
688
軽油軽油ローリー118.0
上伸
横ばい
788
鉄スクラップ鉄スクラップヘビーH2t44,500
上伸
横ばい
794
矢印説明

<市況総括>

 国内の建設工事の統計資料をみると、2024年6月の公共工事請負額は全国で前年同月比5.3%減(建設業保証会社)、2024年5月の新設住宅着工戸数は、持家、貸家、分譲住宅が減少したため、全体で前年同月比5.3%減少、民間非居住建築物着工床面積では事務所、店舗、工場は増加したが、倉庫が減少したため8.5%減(国土交通省)となっている。一方、主要資材の需要動向は、小形棒鋼が5月の国内出荷量で前年同月比0.2%増、H形鋼が15.9%減(日本鉄鋼連盟)、生コンが6月の東京17区出荷量で3.7%減(東京地区生コンクリート協同組合)、アスファルト混合物が5月の東京地区出荷量で5.8%増(日本アスファルト合材協会)となっている。

 東京地区の主要10資材の価格動向は、H形鋼、配管用炭素鋼鋼管(ガス管)、軽油の3資材が上伸、異形棒鋼、セメント、生コン、再生砕石、コンクリート型枠用合板、再生アスファルト混合物、600Vビニル絶縁電線の7資材が横ばい、下落した資材はなかった。

 【H形鋼】 流通各社は仕入れ価格の上昇と自社コスト増加分の早期浸透を目指して、値上げ交渉を継続。目標の値上げ額には届かないながらも小幅上伸した。流通は値上げ未達分の浸透に向けて販売価格を引き上げていく構え。目先も強基調の見通し。

 【配管用炭素鋼鋼管(ガス管)】 高炉メーカー各社は、エネルギーコストなどの高騰を理由に値上げを表明。流通筋は採算を確保すべく強い姿勢で交渉を進め、需要家も一定の理解を示し値上げが浸透した。先行き、横ばいの見通し。

 【軽油】 ローリー渡しでリットル当たり118円と前月比2円上伸。原油相場の上昇と円安進行から、元売り各社は仕切価格を引き上げ、流通筋も追従した。燃料油価格激変緩和対策事業が年内継続される見込みであり、今後も大幅な価格変動は避けられる見通し。目先、横ばいの見通し。

 【異形棒鋼】 横ばい。メーカー各社は製造コストの増加による採算悪化を避けるべく、市況の底上げに向けて強気の販売姿勢を継続。一方、需要家は様子見の当用買いに徹しており、目先も横ばいの見通し。

 【セメント】 横ばい。メーカー各社は、2025年4月から2,000円以上の値上げを表明。主たる需要家の生コンメーカーは、一昨年の大幅値上げから短期間での新たな値上げに対し、慎重な姿勢を崩していない。先行きも横ばいの見通し。

 【生コン】 横ばい。協組は、6月に1,000円の値上げが浸透した販売価格を維持するとともに、次年度からの価格体系変更や完全週休2日制導入に向けて注力している。先行きも横ばいの見通し。

 【再生砕石】 横ばい。工事の利益を確保したい需要家の購入姿勢は依然として厳しいが、メーカーはダンプ不足による輸送コストの増加が経営を圧迫しているとして、値下げ要求には応じず、現行価格の維持に努めている。先行きも横ばいの見通し。

 【コンクリート型枠用合板】 横ばい。流通筋は、円安による仕入れコスト高や現地の原木価格高騰を理由に価格の底上げを進めたい意向。一方、手当てが一巡した需要家の購入姿勢は厳しく、本格的な交渉にはしばらく時間を要する見込み。先行きも横ばいの見通し。

 【再生アスファルト混合物】 横ばい。メーカー各社は、製造・輸送コストの増加を販売価格に転嫁するため、値上げ交渉を継続。しかし、一部メーカーが設計と異なるアスファルト混合物を使用していた問題に需要家が不信感を抱き、値上げ交渉にも影響が出ている。先行きも横ばいの見通し。

 【電線】 横ばい。メーカー各社は主原料の高騰に加え、輸送コストや人件費の上昇を背景とした値上げを7月より本格的に実施。需要家は高騰する銅価格を警戒し当用買いに徹している。目先も横ばいの見通し。

<市況(現況と見通し)>

  • 異形棒鋼

    圖師
    先行き気配

    値上げ交渉続くも、横ばい

     SD295・D16でトン当たり114,000円と前月比変わらず。労働者不足や工事費高騰による建設計画見直しなど工期遅れの影響を受け、足元の荷動きは依然として盛り上がりを欠いている。メーカー各社は製造コストの増加による採算悪化を避けるべく、市況の底上げに向けて強気の販売姿勢を継続。一方、需要が活発化する時期はまだ先になるものと予想され、需要家は様子見の当用買いに徹している。しばらくは供給側と需要家のこう着状態が続くものとみられる。目先、横ばいの公算が大きい。

  • H形鋼

    名嘉
    先行き気配

    値上げ交渉継続、小幅上伸

     200×100でトン当たり122,000円と前月比1,000円の上伸。市中の荷動きへの影響が大きい中小建築需要は依然として低調に推移しており、需給にタイト感は見られない。流通各社は仕入れ価格の上昇と自社コスト増加分の早期浸透を目指して、値上げ交渉を継続。需要家の抵抗も強く、目標の値上げ額には届かないながらも小幅上伸した。低調な需要環境下においても、流通は値上げ未達分の浸透に向けて販売価格を引き上げていく姿勢を崩していない。目先、強基調の見通し。

  • セメント

    佐藤
    先行き気配

    値上げ表明出揃う、価格交渉の行方に注目

     普通ポルトランド(バラ)でトン当たり16,000円と前月比変わらず。5月の国内販売量は、265万6千トン(協会調べ)で前年同月比2.4%の減少。2022年9月から前年同月を下回る状況が続いている。需要が低迷するなか、輸送コストや設備投資費用の上昇を背景に、メーカー各社は、2025年4月から2,000円以上の値上げを打ち出した。主たる需要家の生コンメーカーは、一昨年の大幅値上げから短期間での新たな値上げに対し、慎重な姿勢を崩していない。先行き、横ばいの公算大。

  • レディーミクストコンクリート

    佐藤
    先行き気配

    出荷量減少も、横ばい

     18-18-20でm3当たり20,800円と前月比変わらず。6月の東京17区出荷量は、22万1千m3(協組調べ)で前年同月比3.7%の減少。協組は、6月に1,000円の値上げが浸透した販売価格を維持するとともに、次年度からの価格体系変更や完全週休2日制導入に向けて注力している。一方、セメントメーカー各社が2025年4月から値上げを表明したことを受け、秋口に協組が公表予定としている次年度の生コン販売価格にも注目が集まっている。先行き、横ばいの公算が大きい。

  • 再生砕石

    藤巻
    先行き気配

    市中在庫は高止まりも、横ばい

     再生クラッシャラン40~0mmでm3当たり1,200円と前月比変わらず。工事量が低調に推移しており、荷動きは精彩を欠いている。都内メーカー各社は、廃材受け入れ料金の引き上げによる在庫調整を続けているものの、荷余り感解消のめどは立っていない。価格面では、工事の利益を確保したい需要家の購入姿勢は依然として厳しい。メーカーは、ダンプ不足による輸送コストの増加が経営を圧迫しているとして、値下げ要求には応じず、現行価格の維持に努めている。先行き、横ばいの公算大。

  • コンクリート型枠用合板

    飯島
    先行き気配

    市中在庫量は低水準も需要奮わず、横ばい

     12×900×1,800㎜輸入品で枚当たり1,770円と前月比変わらず。5月の輸入合板入荷量は、15万4千m3で前年同月比2.5%の増加(財務省調べ)。需要は盛り上がりに欠けるものの、市中在庫は低水準で推移しており需給は均衡している。流通筋は、円安による仕入れコスト高や現地の原木価格高騰を理由に価格の底上げを進めたい意向。一方、手当てが一巡した需要家の購入姿勢は厳しく、本格的な交渉にはしばらく時間を要する見込み。先行き、横ばいの公算が大きい。

  • 再生アスファルト混合物

    筒井
    先行き気配

    価格交渉はこう着、横ばい

     密粒度13でトン当たり10,000円と前月比変わらず。4~5月の都内出荷量は、24万4千トン(協会調べ)で前年同期比4.1%の増加。国道や都道工事向け出荷が長期低迷しているものの、高速道路や空港工事向け出荷が下支えし、需要は堅調。メーカー各社は、製造・輸送コストの増加を販売価格に転嫁するため、値上げ交渉を継続。しかし、一部メーカーが設計と異なるアスファルト混合物を使用していた問題に需要家が不信感を抱き、値上げ交渉にも影響が出ている。先行き、横ばいの公算大。

  • ストレートアスファルト

    筒井
    先行き気配

    仕切価格引き下げが影響、2,000円下落

     針入度60~80でトン当たり117,000円と前月比2,000円の下落。原油相場が下落基調で推移したため、石油元売り各社は仕切価格を引き下げた。販売店各社は輸送や施設維持など物流費の増加を理由に価格維持に向けて交渉したが、需要家の反発は強く、仕切価格引き下げ分がそのまま下落した。足元の原油相場は反転して高値をつけており、円安傾向も拡大している。石油元売り各社が今後仕切価格を引き上げるとみる向きが多く、販売店は値上げ交渉を強める構え。目先、強含みの見通し。

  • 電線

    木村
    先行き気配

    値上げ実施も足並み揃わず、横ばい

     IV1.6mm単線でm当たり42.0円と前月比変わらず。主原料である銅の建値は7月上旬で162万円と前月平均と同水準で推移。メーカー各社は主原料の高騰に加え、輸送コストや人件費の上昇を背景とした値上げを7月より本格的に実施。需要家は高騰する銅価格を警戒し当用買いに徹している。依然として引き合い、荷動きともにさえず局地的な安値販売が散見されるも、おおむね現状価格を維持。流通各社は、販売価格に転嫁すべく売り腰を強めているが、足並みは揃わず。目先、横ばいの公算大。

  • 配管用炭素鋼鋼管(ガス管)

    徳永
    先行き気配

    エネルギーコスト増加分の値上げ浸透、670円上伸

     白ねじ付き管50A4mで本当たり7,340円と前月比670円の上伸。高炉メーカー各社は、エネルギーコストなどの高騰を理由に値上げ表明。これを受け、流通筋は採算を確保すべく強い姿勢で交渉を進め、需要家も一定の理解を示し値上げが浸透した。流通筋は輸送コスト増加を背景にさらなる値上げ交渉を段階的に進める構えだが、中小案件の低迷が続く状況下、需要家はこれ以上の値上げに難色を示している。値上げ交渉は難航するとの見方が強く、先行き、横ばいの公算が大きい。

  • 燃料油

    村平
    先行き気配

    原油相場の上昇を背景に、上伸

     軽油はローリー渡しでリットル当たり118円と前月比2円上伸、レギュラーガソリンはスタンド渡しで156円と1円上伸した。米国の需要増加期待と中東の地政学リスクの高まりから、需給引き締まり観測が強まった。原油相場の上昇と円安進行から、元売り各社は仕切価格を引き上げ、流通筋も追従した。原油相場は不透明な状況が続くとみられるが、燃料油価格激変緩和対策事業が年内継続される見込みであり、今後も大幅な価格変動は避けられる見通し。目先、横ばいの公算大。

  • 鉄スクラップ

    石井
    先行き気配

    輸出価格への対抗で、1,000円上伸

     ヘビーH2でトン当たり44,500円と前月比1,000円の上伸。6月の関東輸出取引は、東南アジアを中心とした向け先に、国内相場とほぼ同水準で取引が成立した。その後、市中スクラップの発生量は低水準で推移するなか、円安進行に伴う輸出価格上伸への対抗策で、国内大手電炉メーカー各社が購入価格を1,000円引き上げたことで、市況は上伸した。鋼材製品の国内需要が振るわず、市中スクラップの発生が薄い状況下でも、需給は低調なまま均衡している。目先、横ばいの公算が大きい。

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一般財団法人 建設物価調査会
  調査統括部 調査統括課
TEL:03-3663-3892