国内の建設工事の統計資料によると、2025年5月の全国の公共工事請負額は、前年同月比で4.0%増加(建設業保証会社)、2025年4月の新設住宅着工戸数は、持家、貸家、分譲住宅が減少したため、前年同月比26.6%減少、民間非居住建築物着工床面積では事務所、店舗、工場及び倉庫が減少したが、全体で増加となり、1.6%増加(国土交通省)となっている。一方、主要資材の需要動向は、小形棒鋼が4月の国内出荷量で前年同月比9.1%減少、H形鋼が16.7%減少(日本鉄鋼連盟)、生コンが5月の東京17区出荷量で12.8%減少(東京地区生コンクリート協同組合)、アスファルト混合物が4月の東京地区出荷量で6.4%増加(日本アスファルト合材協会)となっている。
東京地区の主要10資材の価格動向は、600Vビニル絶縁電線が上伸、異形棒鋼、H形鋼、軽油が下落、セメント、生コン、再生砕石、コンクリート型枠用合板、再生アスファルト混合物、配管用炭素鋼鋼管(ガス管)の6資材が横ばいとなった。
【電線】 IV1.6mm単線でm当たり41.8円と前月比2.1円の上伸。主原材料である銅相場が大幅に上伸したことで、メーカー各社は仕切価格を引き上げ、上伸に転じた。目先、横ばいの見通し。
【異形棒鋼】 SD295・D16でトン当たり105,000円と前月比1,000円の下落。需要低迷下で主要メーカーは適正利益の確保を掲げ、現行価格の維持に努めているが、流通間の競争激化により、小幅下落となった。目先も弱基調の見通し。
【H形鋼】 200×100でトン当たり110,000円と前月比3,000円の下落。影響の大きい中小建築需要は依然精彩を欠き、荷動きが停滞。流通各社による目先の数量確保を目的とした価格競争激化により、市況が下落した。目先、弱基調の見通し。
【軽油】軽油はローリー渡しでリットル当たり116円と前月比8円の下落。OPECプラスの一部加盟国による自主減産の縮小を受け、需給緩和の見方が強まり、原油相場は軟調に推移。これに加え、政府の燃料油価格定額引下げ措置による補助金支給により、大幅に下落した。補助金の段階的な見直しにより、目先、弱基調の見通し。
【セメント】横ばい。4月から打ち出した2,000円以上の値上げは、前年からの継続的な交渉により早期に打ち出し額は浸透した。メーカー各社は値上げで得た原資は、増大する設備投資費に充てるとしており、先行き横ばいの見通し。
【生コン】 横ばい。出荷量は前年比大幅減と低調な状況が続く中、協組は2025年4月から3,000円の値上げを打ち出し、早期に浸透した。協組は現行価格の維持に注力し、先行き横ばいの見通し。
【再生砕石】 横ばい。メーカー各社は廃材の受入価格の引き上げや受入の制限などによる在庫調整を続けているが、在庫量の減少には至らず。コスト増の価格転嫁を図るも、過剰在庫を抱える状況下で値上げの浸透には至っていない。先行き横ばいの見通し。
【コンクリート型枠用合板】 横ばい。流通筋は現地の原木価格高騰を理由に価格の底上げを進めたい意向。一方、需要家は当用買いに徹しており、買い急ぐ動きは見られず、模様眺めの状況。先行き横ばいの見通し。
【再生アスファルト混合物】 横ばい。需要は維持修繕など小規模工事向けが中心で商状は盛り上がりを欠いている。需要家はストアス価格の下落を理由に値下げを求めるが、メーカー各社は値上げ未達分があるとして、交渉は平行線。先行き横ばいの見通し。
【配管用炭素鋼鋼管(ガス管)】 横ばい。労働者不足や資材価格高騰を背景に、工事計画の見直しが相次ぎ、商状はさえない。流通は現行価格の維持を目指すが、数量確保を優先した安値販売も散見される。先行き弱含みの見通し。