建設物価調査会

主要資材動向(東京)

  • 【特集】資材価格動向を知る
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    東京地区の主要資材の最新の価格動向を掲載しています。その他の品目については、「月刊 建設物価」、「Web建設物価」をご確認ください。

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2025年5月10日現在 東京

主要資材価格動向

主要資材動向

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品名品名規格単位価格前月比気配掲載ページ
異形棒鋼異形棒鋼SD295 D16t106,000
下落
弱含み
16
H形鋼H形鋼SS400 200×100×5.5×8mmt113,000
変わらず
弱含み
26
中厚板中厚板無規格品 16~25×1,524×3,048mmt134,000
下落
弱含み
40
カラー亜鉛鉄板カラー亜鉛鉄板0.35×914×1,829mm1,548
変わらず
弱含み
54
セメントセメント普通ポルトランド バラt18,000
上伸
横ばい
79
レディーミクストコンクリートレディーミクストコンクリート18-18-25(20) 普通ポルトランド(17区)m323,800
上伸
横ばい
92
再生砕石再生砕石再生クラッシャラン 40~0mm(17区)m31,150
変わらず
横ばい
129
管柱 杉(KD)管柱 杉(KD)3.0m×10.5×10.5cmm375,000
変わらず
横ばい
160
コンクリート型枠用合板コンクリート型枠用合板12×900×1,800mm 輸入品1,720
変わらず
横ばい
175
再生アスファルト混合物再生アスファルト混合物密粒度13(14区)t10,000
変わらず
横ばい
211
ストレートアスファルトストレートアスファルト針入度60~80 ローリーt103,000
下落
弱含み
219
ダクタイル鋳鉄管ダクタイル鋳鉄管内面エポキシ粉体塗装 水道用 GX形1種 75mm×4m28,400
変わらず
横ばい
285
フロート板ガラスフロート板ガラスFL5 2.18m2以下(特寸)m22,380
変わらず
横ばい
496
600V ビニル 絶縁電線600V ビニル 絶縁電線Ⅳ 1.6mm 単線m39.7
下落
横ばい
539
配管用炭素鋼鋼管(ガス管)配管用炭素鋼鋼管(ガス管)白ねじ付き管 50A 4m7,340
変わらず
弱含み
654
硬質ポリ塩化ビニル管硬質ポリ塩化ビニル管VP100mm 4m4,950
変わらず
横ばい
688
軽油軽油ローリー124.0
下落
弱含み
788
鉄スクラップ鉄スクラップヘビーH2t32,500
下落
弱含み
794
矢印説明

<市況総括>

 国内の建設工事の統計資料によると、2025年4月の公共工事請負額は全国で前年同月比12.0%増加(建設業保証会社)、2025年3月の新設住宅着工戸数は、持家、貸家、分譲住宅が増加したため、前年同月比39.1%増加、民間非居住建築物着工床面積では事務所、及び工場が減少したが、店舗、倉庫は増加したため、10.4%増加(国土交通省)となっている。一方、主要資材の需要動向は、小形棒鋼が3月の国内出荷量で前年同月比7.1%減少、H形鋼が14.4%減少(日本鉄鋼連盟)、生コンが4月の東京17区出荷量で15.9%減少(東京地区生コンクリート協同組合)、アスファルト混合物が3月の東京地区出荷量で3.4%減少(日本アスファルト合材協会)となっている。

 東京地区の主要10資材の価格動向は、セメント、生コンが上伸、異形棒鋼、600Vビニル絶縁電線、軽油が下落、H形鋼、再生砕石、コンクリート型枠用合板、再生アスファルト混合物、配管用炭素鋼鋼管(ガス管)の5資材が横ばいとなった。

 【セメント】普通ポルトランド(バラ)でトン当たり2,000円の上伸。需要減少に歯止めがかからない危機感から、メーカーは強硬な姿勢で交渉を進め、値上が浸透。先行き横ばいの見通し。

 【生コン】 18-18-20でm3当たり23,800円と3,000円の上伸。出荷量は前年比大幅減と低調な状況が続く中、協組は2025年4月から3,000円の値上げを打ち出し、早期に浸透させるべく昨年10月から値上げ交渉を進めたことで値上げが浸透。先行き横ばいの見通し。

 【異形棒鋼】 SD295・D16でトン当たり106,000円と1,000円の下落。需要低迷下で主要メーカーは需給見合いの生産調整を継続しているが、数量を確保したい流通間の競争激化により、小幅下落となった。目先も弱含みの見通し。

 【電線】 IV1.6mm単線でm当たり39.7円と前月比2.1円の下落。中小規模物件の需要が振るわず、商況は低調。主原材料である銅の建値が大幅に下落したことで、需要家の値下げ要求が強まり価格が下落した。目先、横ばいの見通し。

 【軽油】ローリー渡しでリットル当たり124円と前月比3円の下落。アメリカの関税政策の影響で主要国の景気減速懸念に加え、OPECプラスの一部加盟国の増産発表により、原油相場は大幅に下落。これを受けた元売り各社の仕切り価格引き下げにより、価格が下落。政府による5月下旬からの補助金見直しの実施から、目先、弱含みの見通し。

 【H形鋼】 横ばい。建築着工の遅れにより実需が低迷し、商況に活気がない。流通各社は発注量を減らし在庫調整に努めているが、在庫過剰感の解消には至っていない。大手電炉メーカーが販売価格の引き下げを表明したことで、市中では先安観が台頭。目先、弱含みの見通し。

 【再生砕石】 横ばい。廃材受入制限で在庫調整を続けるも荷余り感解消には至らず。需要低迷が続くなか、メーカーはコスト増の価格転嫁を図るも、値上げは浸透していない。先行き横ばいの見通し。

 【コンクリート型枠用合板】 横ばい。建設費の高騰により建設計画の見直しが増加し、足元では需要が低迷。仕入れコスト高から流通は値上げを図るも、交渉は難航しており、先行き横ばいの見通し。

 【再生アスファルト混合物】 横ばい。官公庁による道路舗装工事発注の減少が顕著であり、需要は盛り上がりを欠いている。需要家は原材料安を理由に値下げを求めるが、メーカーは輸送費などコスト増を背景に値上げ姿勢を維持し、交渉は平行線。先行き横ばいの見通し。

 【配管用炭素鋼鋼管(ガス管)】 横ばい。中小規模物件の不振や労働者不足による工事進捗鈍化から、荷動きは低調。出荷数量を確保するため、一部では流通業者による安値販売も見られ、先行きは弱含みの見通し。

<市況(現況と見通し)>

  • 異形棒鋼

    圖師
    先行き気配

    需給環境厳しく、1,000円下落

     SD295・D16でトン当たり106,000円と前月比1,000円の下落。メーカー各社は需要に見合った生産体制で対応しながら、採算確保のため強気の交渉を続けている。一方、需要低迷が長引く状況下で数量を確保したい流通筋の激しい販売競争が散見され、小幅下落した。原料の鉄スクラップ価格の先行きが不透明であることや、急ぎの案件が少ないことなどから、需要家は様子見姿勢を強め、当用買いに徹している。需要回復の見通しは立っておらず、目先、弱基調の公算が大きい。

  • H形鋼

    森中
    先行き気配

    荷動きは依然鈍く、弱含み

     200×100でトン当たり113,000円と前月比変わらず。建築着工の遅れによって実需が低迷し、商況は精彩を欠いている。メーカーは需要見合いの生産体制を継続し、流通各社はメーカーへの発注量を減らして在庫調整に努めているが、現在の需要量では依然として過剰感があり、適正在庫には至っていない。大手電炉メーカーが販売価格の引き下げを表明したことで、市中では先安観が台頭。原料の鉄スクラップの下落も相まって買い手優位の商状が続き、目先、弱含みで推移する公算が大きい。

  • 中厚板

    伊藤
    先行き気配

    需要の低迷が続き、2,000円下落

     16~25×1,524×3,048mmでトン当たり134,000円と前月比2,000円の下落。建築向け中小物件の引合いは依然として振るわず、盛り上がりを欠く商況が続いている。流通各社は需要見合いの仕入れに徹して在庫調整に取り組んでいるものの、目先の売り上げ確保を優先した安値での取引に応じている。一部メーカーが販価を引き下げ、需要が回復する要因も見当たらないことから、買い手優位の状況が続くとの見方が大勢を占めている。目先、弱基調の公算が大きい。

  • セメント

    川崎
    先行き気配

    値上げが浸透、2,000円の上伸

     普通ポルトランド(バラ)でトン当たり18,000円と前月比2,000円の上伸。3月の国内販売量は、267万1千トン(協会調べ)で前年同月比3.7%減少、2024年度の同販売量も3,263万トンで前年度比5.6%の減少。メーカー各社は、需要減少に歯止めがかからない危機感から、4月からの2,000円以上の値上げ交渉を昨年上期から強固な姿勢で継続。主たる需要家である生コンメーカーは値上げに一定の理解を示し受け入れた。メーカーは現行価格維持に努める意向であり、先行き、横ばいの公算大。

  • レディーミクストコンクリート

    川崎
    先行き気配

    値上げ交渉が進展、3,000円の上伸

     18-18-20でm3当たり23,800円と前月比3,000円の上伸。4月の東京17区出荷量は、20万1千m3(協組調べ)で前年同月比15.9%の減少。協組は、原材料価格の上昇や輸送コストなどの増加を理由に4月出荷分から価格体系変更を含めた3,000円の値上げを打ち出した。早期に市中へ浸透させるべく、昨年10月から需要家と継続的な交渉を続け、4月に入り交渉が本格化するなか、値上げに理解を示した需要家が全額を受け入れた。協組は現行価格を維持する構えであり、先行き、横ばいの公算大。

  • 再生砕石

    藤巻
    先行き気配

    過剰在庫の解消進まず、横ばい

     再生クラッシャラン40~0mmでm3当たり1,150円と前月比変わらず。新規の路盤工事が乏しく荷動きは精彩を欠いた状態が続いている。一方、メーカーは廃材の受入価格の引き上げや受入量の制限などによる在庫調整を続けているが、荷余り感を解消するには至っていない。メーカーは運転手不足や燃料高を背景とする輸送コスト増加分を製品価格に転嫁したい意向にあるが、需要家は採算確保を重視し値上げの受け入れには慎重な姿勢を崩していない。先行き、横ばいの公算が大きい。

  • コンクリート型枠用合板

    飯島
    先行き気配

    荷動きは精彩を欠くも、横ばい

     12×900×1,800㎜輸入品で枚当たり1,720円と前月比変わらず。3月の輸入合板入荷量は、16万6千m3(財務省調べ)で前年同月比0.7%の増加。建設費高騰により、建設計画の見直しが増加している。足元では需要が振るわず、荷動きは精彩を欠いている。需要家は当用買いに徹しており、市中に買い急ぐ動きは見られない。一方、流通筋は仕入れコスト高の製品を抱えているため、現行価格の維持で精いっぱいの様子。需要の早期回復は期待薄との見方が強く、先行き、横ばい推移の公算大。

  • 再生アスファルト混合物

    筒井
    先行き気配

    ストアス価格続落も、横ばい

     密粒度13でトン当たり10,000円と前月比変わらず。2024年度の都内出荷量は、170万4千トン(協会調べ)で前年度比3.4%の減少。官公庁による道路舗装工事発注の減少が顕著であり、需要は盛り上がりを欠いている。主原材料のストアス価格が続落したことを理由に、需要家は値下げ要求を強めている。一方、メーカー各社は、未達分の値上げの浸透を目指して交渉を継続しており、価格交渉は平行線をたどっている。交渉はこう着状態が続くと予想され、先行き、横ばいの公算が大きい。

  • 電線

    飯塚
    先行き気配

    需要家の値下げ要求強まり、下落

     IV1.6mm単線でm当たり39.7円と前月比2.1円の下落。需要は中小物件が振るわず、さえない商状が続いている。主原料である銅の建値は4月平均で137万円台と前月比12万円の下落。銅価格の下落を背景に需要家の値下げ要求が強まり、銅建値に一部連動する形で下落した。メーカー各社は製造・輸送コストの増加を理由に、6月以降の値上げを打ち出しており、売り腰を強める意向。しかし、需要家に買い急ぐ動きは見られず、慎重な購入姿勢を崩していない。目先、横ばいの公算大。

  • 配管用炭素鋼鋼管(ガス管)

    徳永
    先行き気配

    荷動き鈍く、弱含み推移

     白ねじ付き管50A4mで本当たり7,340円と前月比変わらず。大型再開発物件は堅調に推移するも、中小規模物件の不振や労働者不足による工事進捗鈍化から、荷動きは低調に推移している。一方、高炉メーカーは脱炭素に向けた設備投資を念頭に、強気な販売姿勢を崩していない。需要家が小口当用買いに徹するなか、過剰在庫の処分および出荷数量を確保するため、流通筋の安値販売が一部で散見される。需要の回復には時間を要するとの見方が強く、先行き、弱含みの公算大。

  • 燃料油

    髙木
    先行き気配

    原油相場の下落により、ローリー渡し価格下落

     軽油はローリー渡しでリットル当たり124円と前月比3円の下落、レギュラーガソリンはスタンド渡しで167円と変わらず。米国の相互関税政策の発表による景気悪化の懸念に加え、OPECプラスの一部加盟国が増産へ政策転換したため原油価格は大幅下落した。円高進行もあり原油調達コストが低下し、元売り各社は仕切価格を引き下げ、これを受けた流通筋も追従し、一部油種で下落した。政府は5月下旬から補助の見直しを実施することから、目先、弱基調の公算が大きい。

  • 鉄スクラップ

    伊藤
    先行き気配

    国際市況の変動によって、500円下落

     ヘビーH2でトン当たり32,500円と前月比500円の下落。米国の関税政策によって同国内でのスクラップ需要が一時的に高まったが、実態経済へ及ぼす悪影響に関心が移ったことで需要は減少に転じた。国際相場に不透明感が漂うなか、国内大手電炉メーカーは調達価格を引き下げ、周辺メーカーにも波及したことで市況は下落した。中国の不動産不況による鋼材需要の低迷から、各国のスクラップ需給に引き締まりが見られず、底値感が出るにはまだ時間を要しそう。目先、弱基調の公算が大きい。

問い合わせ先

一般財団法人 建設物価調査会
  調査統括部 調査統括課
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