建設物価調査会

新たな年齢層への挑戦!専任の担当がマンツーマンで育てています

堀田組株式会社(型枠工事業)
兵庫県西宮市

2015年から始まった国土交通省の「外国人建設就労者受入事業」や2017年11月1日に施行された「技能実習法」により、建設分野における外国人が増加している。言葉や文化、習慣の違いを超えて外国人材が活躍できるようにするためには、受け入れ企業はどのような準備や対応が必要だろうか。ベトナム人技能実習生5人を受け入れている西宮市の堀田組株式会社にお話をうかがった。

堀田組株式会社 代表取締役
堀田 元成さん(右側)

同社 部長
堀田 一博さん(左側)

受け入れは2年前から

 建設工事で型枠工事を専門としている堀田組に勤めている外国人技能実習生(以下、実習生という)は今年の12月新しく入社する3期生の3人を加えて8 人( 1期生3人、2期生2人)、協力会社も合わせると20~30人に上り、日々、多くの実習生たちが業務を行っています。実習生の受け入れは2年前から。ゼネコン主催で組合と協力会社が集う説明会があり、一度採用してみようと思ったのがきっかけです。「それまでいろいろなルートからお誘いもありました。同業者の方からも話を聞いてみたりしましたが、正直迷いが大きかったです。居住環境などのさまざまな準備が必要となりますが、そのコストに見合っているのかなと。いいとは聞いていましたが、外国の方ですし、なかなか踏み切れなかった。」と元成さん。年々、現場労働者の社会保険等の加入指示が厳しくなり、それならば実習生を迎え入れ、きちんと社会保険に加入してもらい働いてもらうおうと考えたのが2年前。今まで実習生ではゼネコンから現場に入る許可がなかなか下りませんでしたが、現在は緩和され入りやすい状況になってきています。これからの労働者不足も考え、実習生の受け入れを決意したそうです。

< 2 期生 現地面接の様子>

担当制でマンツーマンの指導を

 やはり最初にぶつかるのが「言葉」の壁です。特に型枠工はコミュニケーションの塊。2人が現場にいるときは気を付けてゆっくり日本語で説明することが出来ますが、現場では言葉が飛び交い、「どけ」「邪魔だ」など同じ意味でも表現は多様です。そのため実習生1人に対して1人ずつ熟練の職人が付き、あえてローテーションは組まず、同じ人がマンツーマンで言葉や技術の指導をしています。「同業者の方から指導員を何回か変えて指導した実習生の代は伸びが悪かったと聞いて担当制にしました。同じ人がずっと教えていますので、実習生も早く現場のほうにも慣れたのではないかなと思います。」と一博さん。早く日本語を覚えてほしいため休憩中も現場ではなるべく日本語を話すように伝えています。また実習生は全員ベトナム出身。言葉や技術など覚えたことはその都度共有しあえるようにと、実習生への心遣いです。「今では1期生の中でしっかりした子も出てきて、教えている姿も見られる。良い環境になってきた」と元成さん。

新たな年齢層への挑戦

 1~2 期生は10代から20代前半が中心ですが、12月から来る3 期生は30代で中には結婚している方もいます。「3人が知り合いで、年齢も同世代だったので選考させて頂きました。年齢的に5年は難しいかもしれませんが仮に3年間在籍していたとしても帰国時には35 歳になります。 1~2期生が仲良く協力しあってくれているからこそ、一度、年齢層を上げていい人材を探ってみてもいいのではないかと新たな年齢層にチャレンジすることが出来ました。3 期生は私たちとしても実習生たちとしても大きな経験になると考えています。」と一博さん。採用後は1~ 2 期生との関係も含め、しっかりとケアしながら見守っていくそうです。

<現場で働いている様子 1 期生 チョンさん>

採用のカギは面接時の姿勢

 ベトナムへ向かう前に現地の技能学校から履歴書を送ってもらいます。履歴書では職歴・家族構成・収入状況までも確認することができ、採用予定者を決めてから現地に赴きますが、中には履歴書の記載内容が想像と異なる方もいます。型枠を持ったことがあるだけで履歴書に「大工」と記入されているなど、仕事を遊びの延長と思うこともありベトナムと日本の「職人」に対する考え方の違いがあります。3期生の採用時は他社と合同でベトナムへ向かった。選考時間は1~2 時間。実習生たちも緊張しながら面接や実技を行いますが、採用側も選考しなければいけないため、細心の注意を払いながら採点をしています。その中でも一番重視しているのは「姿勢」。「目とか、雰囲気とか、一生懸命に話しているその姿を見て選ばせてもらっています。1期生からやっていますので大体、“ああ、こういう人たちを選べばいいのかな”と少し雰囲気をつかめました。1期生も2期生も頑張ってくれていますし、次の12月に入ってくる人たちはどうかなと」と穏やかに語る一博さん。不安はあるが3期生への期待も大きい。

<現地面接終了 新たに迎える3 期生>
<現場で働いている様子 1 期生 シンさん>

自分の子供のように受け入れの準備を

 受け入れ時に準備したのは寮、生活用品、家財一式、そして一番重要なのはやはりwi-fi。ベトナム国内はどこでもwi-fi が使用できるように設備が整っているため、会社と寮にwi-fi を整備し、期ごとに1 台ずつスマートフォンも支給しました。「本当にそこまでしているのですか?というぐらい、生活環境は整えてあげていると思います。私は子どもがいるのですけれども、社長から「自分の息子だと思って用意してあげないと」と言われ、社長と一緒に相談しながら手探りで準備しました。」と一博さん。しかし便利だと思って準備しても実習生にとっては必要ない場合もある。掃除をするはずの掃除機がほこりをかぶっていたり、逆に冷蔵庫はパンパンになるまで詰め込まれていたり、実習生たちにとって本当に必要なものは何か日々勉強です。実習生たちに他にほしいものがないか確認し、その都度買い足して渡しています。2 人の「働く意欲がわいてくるように、環境は良くしてあげたい。」という実習生を思う気持ちが伝わってきます。また、現場での指導員とは別に生活検査指導員を設け、ゴミ出し掃除など、きちんと日本での生活が出来ているか月に1度確認しています。

 「片付けや掃除の意識が違うのです。気を付けないとぐちゃぐちゃになっていますから。本当に地方から来ている子もいて歩いている猫を見て“あれは食べていいのか”と聞いてきたこともありました。文化の違いを感じますね。外国の方に物件も貸すことに抵抗がある大家さんもいるので住居探しも一苦労でした。」と元成さん。

< 1 期生と尼崎寮>
< 2 期生>

まずは安全な作業を指導

 実習生たちに対してゆっくりと分かりやすい日本語で話すことを心掛けていますが、資材の単語や略語が飛び交っている現場ではなかなか難しいのが現状です。そのため最初はベトナム建設人材育成推進協議会が発行している「建設作業員の安全」や、自社でまとめた基本作業用語集を基に「どうやって安全な作業をするか」を教えています。「けがをせず1日終わるというのが第一ですから。」と元成さん。受け入れ当初は指示や注意をされていても全く分からない様子でしたが、2年間で1 期生たちは自分が何をすべきか、日本語を全て理解するのは難しくても指導員の顔色などを見たら、自分が何をして怒られているのか分かってきたそうです。

<基本作業用語集>

堀田組のこれから

 最初は外国出身の方にさまざまな不安があったと語る2 人。技術的な面はもちろんですが母国を離れ、長期間暮らす実習生がきちんと生活していけるか不安だったのです。ですが実際に受け入れを行ったことでその不安は徐々に解消されてきたそうです。「生活している上では、私たちが心配することはもう全くないですね。きちんとプライベートも遊んで、充実しているようです。ホームシックにかかる子はいないとは言い切れませんが、仲間同士で遊びにいき、1期生は協力会社の実習生と一緒に住んでいますが、その人たちともうまくやっているようです。結構気楽にやっていますよ。」と語る2 人。これからも大切な従業員として実習生を迎えていきたいと教えてくださいました。

<研修にて日本の代表的建造物を実習生と見学>


<受け入れ側のポイント>

  1. 技術だけではなく生活面も指導する
  2. 文化の違いに気づき、受け入れる
  3. 採用時に実習生の出身や年齢を考慮する
  4. 寮には無線wi-fi 設置する