恵まれた環境が女性技術者を輝かせ仕事への意欲を喚起させる「雨水貯留管等築造工事」を訪ねて
「建設業での女性活躍を支援するプロジェクト」
当調査会では、「建設業での女性活躍を支援するプロジェクト」として、女性職員を中心としたプロジェクトチーム(愛称“チームひまわり”)を立ち上げています。第6回目は、西松建設㈱が施工する「雨水貯留管等築造工事」を訪ねてと、三協フロンテア㈱の「建設現場のトイレ整備と環境改善~水洗式トイレユニットの紹介~」を紹介します。
この現場には、西松建設の女性技術者の佐々木栞さんが配属されています。また、取材の際には、佐々木さんの先輩、迫綾子さん(環2新大橋出張所)にも同席をいただきました。
都市を浸水被害から守るための工事
急激な都市化により、田んぼや畑があった場所に住宅や道路などが整備されると、降った雨は地面に浸透せずに河川などに流出してしまいます。その結果、流域の都市機能に大きな被害をもたらす都市型水害が発生します。「雨水貯留管等築造工事」は、一時的に雨水を貯めておく雨水貯留管を整備し、都市を浸水の被害から守るために「さいたま市島町西部土地区画整理組合」が発注した工事で平成29年7月31日完成予定です。
女性用トイレは2ケ所完備
当工事事務所には、事務所内に女性用トイレや更衣室、事務所と少し離れた場所にあるポンプ室にも女性用トイレが整備されています。現場で唯一の女性である佐々木さんは「現場ではトイレは男女共有が当たり前と思っていましたが、この現場では男女別にトイレが分かれていて良い意味でのカルチャーショックを受けました。女性トイレの清掃は女性が一人なので自分でやっています」
「雨水貯留管等築造工事」の男性社員は、3LDKの住まいを複数で使用していますが、佐々木さんは「会社が借り上げてくれたアパートに単独で住んでいます。現場から自転車で5分ほどの場所なので、汗をかいてもすぐにシャワーを浴びに戻れるので助かっています。トイレといい、住まいといい、男性に比べてすごく大事にされているのをヒシヒシと感じます。私だけがこんなに優遇されていいのかと、時には男性には申し分けない気持ちになったりしています」
作業服について
「弊社では、今年の夏に女性用の作業服を作成しました。作業服は夏用と冬用があり、1週間洗濯をしなくても良いくらいの量が支給されているので着替えに困ることもありません。また、作業服やヘルメットなど全般について言えることですが、あえて、“女性です!”という風に、華やかさ、かわいらしさを求めたいとは思いません」(迫さん)。
また、日焼け対策について佐々木さんは「日焼けについてはあまり気にしていませんが、ヘルメットの日焼跡防止の透明の顎紐は会社から支給されました」
職人さんたちと喜びを分かちあっている
最後にお二人に後輩の
女性技術者へのメッセージをお伺いしました。「現場に配属された時には、体力面での不安がありましたが、日々の業務に集中していると体力的なハンディはほとんど感じることはありません。また、職人さんとのコミュニケーションを上手くとって、一緒に仕事をやりとげた時には感動でいっぱいに。土木を目指している女性たちには弊社に入社して、感動をぜひわかちあってほしいと思っています」(迫さん)。「女性の後輩が増えるのはとても嬉しいことです。体力的なことや職人さんとのコミュニケーションなど不安なことが多いと思いますが、入社してみればそれも杞憂だったと感じるはず。後輩の女性には土木は『カッコイイ仕事』」と言いたいですね」(佐々木さん)
恵まれた環境の中で与えられた仕事を淡々とこなし、キャリアを重ねていく迫さんと佐々木さん。
お二人はこれからも、後輩のお手本となるようなカッコイイ女性技術者として輝き続けていくことでしょうね。
チームひまわり 現場レポート
謹んで新年のお慶びを申し上げます。女性職員一同で“チームひまわり”を結成してから約半年が経ち、これまで色々な現場を見学させて頂きました。どの現場の女性技術者も、一緒に働いている方々や今の環境への感謝を口にされていたのが印象的でした。ご自身のためではなく、これから技術者を目指す女性たちのために更に働きやすい環境になればと、インタビューに丁寧にお答え下さいました。多くの取材申し込みがあるなかで、本当にありがとうございました。
当会ホームページでは建設関連の女性向け製品を紹介しています。ぜひご覧下さい。
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