東京2020 大会オリンピック・パラリンピックを見据えた女性活躍を!一般社団法人東京都警備業協会「すみれ会」を訪ねて
「建設業での女性活躍を支援するプロジェクト」
当調査会では、「建設業での女性活躍を支援するプロジェクト」として、女性職員を中心としたプロジェクトチーム(愛称“チームひまわり”)を立ち上げています。第26回目は、一般社団法人東京都警備業協会のすみれ会へのインタビューと取組を紹介します。
設立
『すみれ会』とは、一般社団法人東京都警備業協会(以下東警協)に所属する東京都の警備業社、約1000社のうち、女性が経営者の会社、15社が集結し設立した会です。
- 女性警備員の働きやすい職場整備
- 女性警備員のイメージアップを図るための広報活動
- 女性警備員のスキルアップを目指した研修会
この3つのスローガンを掲げ、女性警備員の増加を促進するため、平成26年から検討を始め、平成27年4月に発足しました。女性経営者15人がメンバーとして活動しており、総務、企画・研修、広報の3班を置き2カ月に一度委員会を開催しています。
活動内容紹介
東警協に所属する会社の女性警備員向けに、平成28年11月「警備業界で働く女性を輝かせるメイクアップ法」と題した研修会を開催しました。化粧品メーカーの元美容部員を招き、日焼けしにくい、長時間経っても脂浮きしないといった実用的なメイク方法に始まり、より美しく、誠実に見えるといったプラスアルファのメイク方法まで実践を交えて教えてもらいました。参加者からは「本当にメイクで変わるんだ!」と感動の声が多数挙がり、主催者としてもメイクって本当に大切なんだなと実感しました。
平成29年7月には、東京都、大阪府、福岡県の警備業協会の女性部会合同懇談会を大阪にて開催しました。「すみれ会」の他にも、大阪府警備業協会では「ひまわり会」、福岡県警備業協会は「あやめ会」という女性部会が活動を重ねております。女性警備員の愛称についてそれぞれアイディアを出し合い、全国警備業協会が各都道府県の警備業協会から意見を聞いた上で「警備なでしこ」に決定し、パンフレットを作成しました。
東京オリンピックでは重要な役目を担う
平成29年7月には、来たる東京オリンピックに向けて、2020大会オリンピック・パラリンピック組織委員会、制服会社との座談会を行いました。オリンピック開催時、会場への入場の際に女性観客には女性警備員が身体・荷物検査をします。女性の民間警備員を1日1000人配置する必要があるのではないかと言われているため、 1000人もの女性警備員をどうやって集めるかという課題について話し合いました。
各警備会社で働く警備員に加え、警備会社で働いている女性事務員の方にも警備業法に則った教育を受けてもらい、期間中だけ警備員として活躍してもらえればと思っています。それでも足りない場合は短期雇用の警備員を募集しなければなりません。「募集するためには、魅力的な制服が必要と考えています。女性警備員の制服は選択肢が少ない現状であるため、かわいい制服やかっこいい制服など、2種類のデザインを用意し、本人が選べるようにしてはどうかと検討しています。また、男性のデザインとの差別化を図るのもいいかと。例えば紺の制服でも、襟のところだけ赤やピンクの線が入るとかそれだけでも違います。『あの制服が着たいから警備員になりたい。』と、思ってもらえる工夫も必要ですね。」(㈱五十嵐商会 五十嵐和代代表取締役社長(すみれ会リーダー))
女性警備員のイメージ “チェンジ”に向けて
警備業界は女性の方でも昇進しやすく、そのため、女性警備員として成功されている方がたくさんいます。そういったロールモデルがあるということを広く知ってもらいたいです。また、子育てを終えて再就職を考えている方でも、年齢に関係なく採用している会社がたくさんあるので、そういった部分もアピールし、就労率アップにも貢献できればと思います。
こういったことを外に向けてどう発信していくかが重要です。警備業界の場合はイメージ“アップ”ではなく、イメージ“チェンジ”と考えています。
女性がまだ圧倒的に少ない業界なので、すみれ会としては今回の研修会のように集まったりして、自分と同じような境遇や職場の悩みを抱えている人と触れ合う機会が持てれば、それが女性警備員雇用の定着率を上げていく力になると思っています。
今後の展望
「すみれ会」は女性経営者限定の会で、なかなかメンバーが増えないのが悩みですが、活動の輪を広げるため、メンバーを増強したいと考えています。
メンバーの紹介
今回取材を受けて下さった4人の女性経営者
写真左から順に スカイコーポレーション㈱ 沼嵜 奈央子さん、㈱五十嵐商会 五十嵐 和代さん(すみれ会リーダー)、
㈱大栄警備 横山 幸江さん、
パシフィック警備㈱ 黒田 奈苗さん
チームひまわり 現場レポート
取材先である「すみれ会」は東警協に所属する15名の女性経営者のグループでした。
今回、すみれ会が主催した研修会にも参加させていただきましたが、日頃は交流の少ない総務系や経理系の方・私服警備員の方など様々な立場の女性達が集い、活発に意見交換がなされていました。
また、「すみれ会」のメンバーは、クールビューティという言葉がぴったりで、「女性でも活躍できる業界であることを広くアピールし、女性警備員の働く環境をより改善していき、女性警備員を増やしたい!」という熱い想いがひしひしと伝わってきました。
2020東京オリンピック・パラリンピックに向けて「一日女性警備員1000人」という大きな目標を達成されますことを願っております。次回も是非ご覧ください。
児島