建設物価調査会

建設物価2022年4月号

新潟県生コンクリート工業組合の女性座談会をレポート!

 新潟県生コンクリート工業組合に加盟する企業で働く女性達(チームひまわりでは「レディミクストコンクリート
レディ(通称:生コンレディ)」と呼ばせていただきます!)にお集まりいただき、座談会を開催しました。
 皆さんから見た生コン業界について、赤裸々に語っていただきました。

※写真撮影時のみマスクを外しています。
藤関生コン株式会社
業務係 鎌田美保さん

入社8年目
担当業務:出荷業務(配車担当)
長栄工業株式会社
長岡工場
課長補佐 佐藤亜希子さん

入社13年目
担当業務:品質管理業務
株式会社木戸生コン
製造 ・出荷係 堤梢さん

入社20年目
担当業務:製造・出荷業務(配車担当)
株式会社キヨサト生コン
取締役工場長 日向こずえさん

入社24年目
担当業務:工場長としてプラント業務全般


この業界に入るきっかけは?

佐藤さん

元々パソコンのインストラクターをやっていたのですが、産休に入った事務員さんの替わりを探していると聞き、事務職として入社したのがきっかけです。
入社から2年ぐらい経った頃に、試験室の業務もやってみないかとお誘いをいただき、品質管理の仕事もやってみることにしたのですが、コンクリート技士の資格を取るために数学の勉強をやり直すのが大変でしたね。周りの皆さんに優しく教えていただき、支えていただいて、なんとか資格を取得することができました。

鎌田さん

最初は生コンが何なのかもよくわからず不安もあったのですが、知人から紹介されたのがきっかけで入社しました。

日向さん

私の前職はフラワーコーディネーターでした。花が好きだったはずなのに、それが仕事になってしまったことがいつしか苦痛になっていました。その頃にたまたま近所で事務員を募集していると知って応募したのがきっかけで入社しました。入社当初は試験室の伝票処理をしていましたが、伝票に書かれた数値の意味を知りたくなって、独学で勉強してコンクリート技士の資格を取りました。ただ、技士の資格だけではなかなか相手にしていただけないのが悔しくて、その後はコンクリート主任技士の資格も取得しました。

堤さん

高校生の頃からアルバイトとして働いていました。高校卒業の際に、会長からお声がけをいただき、そのまま入社したというのがきっかけです。

生コンレディのやり甲斐

日向さん

私はお菓子作りが好きで、試験練りで材料の分量を量る作業がお菓子作りに似ていると思っています。天然素材を使っている分、同じ分量で作ってもまったく同じモノができない生コンの方が難しいですね。でも、それを同じ品質に近づける作業がとても面白いと感じています。

堤さん

私は配車が上手くいくと達成感を感じますね。特に、大量に出荷がある日に自分が組んだ配車スケジュールの通りに出荷できた時は、本当に気持ちがいいです。あとは、スランプ試験で精度を褒められることも嬉しいですし、電話越しにお客様から御礼を言われたり、喜ばれたりすることも、とても嬉しいですね。

鎌田さん

私はモノづくりが好きなので、今の仕事はそのお手伝いをしていると思っています。自分が関わった現場のビルやトンネルに電気が灯っていて、誰かが使っているのを見ると、あぁ、無事に出来上がったんだなぁと思えて、それがとても嬉しいことだって最近気がつきましたね。

日向さん

練りあがった生コンって、アジテータ車で運んでる間に品質が変わってしまうんですよね。現場で試験をするまで中身が分からないでしょ。回転ドラムが透明だったらいいのにっていつも思います。掃除やメンテナンスが大変そうですけどね。

鎌田さん

生コンってお刺身と同じように生モノだと思っています。だから、打設時間に圧送ポンプ車が到着してないなんて聞くと心配になっちゃって、現場からの完了報告を聞くまではずっと気を揉んでいます。でも生コンの出荷って、その日で完結して、次の日まで引きずらない。それが私の性分にあっていて、毎日さっぱりした気持ちで仕事を終えられます。


生コンレディはキレイ好き!?

佐藤さん

早朝からの出勤も結構多いのですけど、女性の朝は大忙し。家族のご飯の準備をしつつ、現場に行ったり強度試験の立会いがあったりと、それなりの身支度も必要なのでなかなか大変です。朝はどんなに時間があっても足りないですよね。

日向さん

私は社内美化への思いは人一倍強いですね。特に自分の作業場である試験室は、他のどの工場よりもきれいだと思っていますし、張り紙やPOPもどこにも負けてないと自負しています。全社員で掃除当番を決めていて、掃除が終わらないと帰れないのがルールです。

佐藤さん

生コンプラントっていうと、どうしてもセメントの粉塵が舞っているような汚いイメージが根強く残っていると思います。昔に比べればキレイにはなっているとは思いますが、まだまだ改善の余地は残っていますね。

鎌田さん

入社して間もない頃、運転手さんが毎日毎日アジテータ車を丁寧に洗ってるのを見て、なんでなんだろうってすごく不思議に思っていましたね。今考えれば、もちろん分かりますが、どういう理由があって、そういう作業をしているのかを知ってるもらえるように、情報を発信していければいいかも知れませんね。

日向さん

うちのアジテータ車は色が白く汚れが目立ちやすいということもありますが、常にキレイにするように心掛けていますね。仕事がない日はひたすら掃除です。

生コンレディは大変!?

佐藤さん

私が入社した頃は、スランプ試験に使う道具一式がすべて鉄製で、それが重くて大変でしたけど、最近ではアルミ製の軽いモノが出来て、持つのがとても楽になりましたね。

日向さん

単位水量測定器も、昔は男性二人でも持てないくらい重かったのが、今ではコンパクトになって、女性一人でも持てますしね。測定時間も短くなって、作業時間も大幅に短縮されましたね。

佐藤さん

どうしても現場の職人さん達は年配の男性が多く、電話越しのやりとりだけではなかなか打ち解けられなかったんですが、言葉遣いにも気を遣って接しているうちに、だんだんと態度が柔らかくなってきてくれたっていうのはありますよね。電話しやすいって言われることも増えました。

日向さん

私も電話対応には気を付けています。誰が聞いても気持ちがいい言葉や、相手の安全や健康を気遣う言葉を掛けられるように心掛けています。その一言で印象が違ってくると思います。

堤さん

顔が見えないからこそ、電話対応はやっぱり大切だと感じますね!言葉の力って重要だと思います。最近は電話でお話しするゼネコンのお客様でも女性の方が結構いらっしゃるように感じます。

生コンアピール大作戦!?

日向さん

ウチのアジテータ車のドラムには竜のキャラクターが描いてあるんです。近所の小さいお子さんがそれを目当てにプラントに見に来てくれることも結構あるんです。そういうところから、小さいお子さんが生コンに興味を持ってくれるといいなって思いますね。

佐藤さん

ドロドロの生コンは固まるとこんなに硬くなる、ということを体験できるワークショップでもあれば、興味を持ってもらえるかもしれませんね。

鎌田さん

アジテータ車や圧送ポンプ車って普段から町中を走っていますけど、興味がなければ目にも留まりませんよね。どういう作業をする車なのか、どういう仕組みなのか、まずは興味を持ってもらうきっかけを作りたいですよね。

日向さん

ウチのプラントでは、近所の中学校を対象とした職場体験に協力していて、中学生を受け入れているんですが、結構興味を持ってきてくれていますね。

鎌田さん

とある映画のクライマックスで、何台もの圧送ポンプ車が大活躍するシーンがあるんです。普段仕事で使っている車が映画で大々的に活躍しているシーンを見て胸が熱くなりました! 建設産業に携わっている方はぜひ見て欲しいと思いましたし、こういう映画がきっかけで生コンに興味がある人が増えればいいなと思います。

10年後の夢は!?

日向さん

個人的な夢としては、ハードルは高いですが、コンクリート診断士の資格を取りたいと思っています。プラントのある上越市では女性のコンクリート診断士はいませんので、私がパイオニアとなって業界をリードしていきたいですね。また、工場長としては、立場もありますから、離職する人が出ないように、社員一人一人の気持ちを汲みながら、風通しのいい職場づくりを心掛けていきたいですね。

堤さん

私も資格の勉強をしていきたいと思います。まずはコンクリート技士を目指して頑張りたいと思います。

佐藤さん

私は、もっと知識を増やして実際の現場で活用できるように、コンクリート主任技士の取得を目指して頑張りたいと思います。

鎌田さん

今回、他のプラントで働く女性の方々と知り合えたのは財産だと思います。10年後、というか直近の目標ですが、今の仕事では外出するということがなかったので、今まで自己流でやってきた方法よりももっと効率のいい方法があるのではと気になっていたのですが、確認する術がなかったので、これを機にみなさんのプラントにお邪魔して、見学をさせていだいて、自分の業務に取り入れたいと思いました。

今後の展望は!?

皆さん

今後、生コン業界で働く女性の会を発足したいですね。同じ業界内で横の繋がりができれば、何かと心強いと思います。また、生コン会社だけでなく、ゼネコンさんなど同じ建設業界で働く女性の声も聞きたいですね。気兼ねなく意見交換ができる場があれば、この業界はもっと盛り上がっていくと思います!


チームひまわり 現場レポート

 みなさん、いつもはプラントの中でお仕事をされているので、それぞれが初対面ということもあり、最初はぎこちない会話のやりとりでしたが、同じ業界で働く女性同士ということもあってか、時間が経つにつれて和気藹々とした雰囲気になり、最後には「生コン業界で働く女性の会」の発足で意気投合して座談会は終了しました。 

資格取得に意欲を燃やす姿を拝見して、私も刺激を受けました!

伊沢