建設物価調査会

建設物価2022年3月号

女性のちからで社会を創る。
学生と建設業を繋ぎ、SNSを活用した新たな挑戦

長野県建設業協会 長野支部女性部会

長野支部・長野市建設業協会女性部会役員メンバー
左から 北野建設㈱ 石谷真耶さん、川中島建設㈱ 井浦麻美さん、㈱守谷商会 栗田佳之以さ
ん、飯島建設㈱ 栁町央紗さん、高木建設㈱ 髙木亜矢子さん、㈱鹿熊組 松本ゆりさん


発足

 2015年(平成27年)に、建設業への女性の入職者を増やすことなどを目標に「長野県建設業協会女性部会」が立ち上がりました。長野県下には15の協会支部があり、その中の長野市を中心とした長野支部では、本会発足から遅れること3年、2018年(平成30年)、長野支部・長野市建設業協会女性部会(以下、女性部会)を立ち上げました。

 建設業で働く女性を集い、情報交換や交流を深めて、この部会を通じて女性が生き生きと働ける職場環境を発信し、女性自身の活躍のみならず、各社の力に、建設業界の力に変えていきたいと考えております。


建設業で輝く女性のための基礎知識セミナー

記念すべき第1弾「 建設業女性活躍宣言! 得意な分野で会社に貢献する方法(ランチミーティング)」

 2018年11月27日、建設業で女性ができる仕事とはどんなことか、会社のために私たちができることとは何か、私たちの強みは何か、そんなことを考えるグループワーク形式のセミナーを開催し、女性部会員34名に参加していただきました。長野支部女性部会員が初めて集まる場なので緊張を和らげるために、会場は、市内のスクリーン完備の飲食店を貸し切りにして、セミナーの後はランチを楽しみながら交流を深めました。

 参加した方からは「社外の方との交流会は初めてでいい経験になった」「セミナーで皆さんの意見が聞けて明日からの活力になった」「気づきを与えてもらった」「女性の強みを活かしたい」「横のつながりができた」などの感想をいただき、記念すべき第1弾イベントは大成功となりました。

ミーティングの最初には宮脇恵理先生(㈱建設経営サービス所属)による全体講習を
ビュッフェスタイルのランチ交流会
参加してくれた皆さんと

建設業で輝く女性のための現場見学会

「長野市桐原道路改良工事(北野建設㈱施工)」

 2019年6月7日梅雨入りの頃、あいにくの雨の中でしたが、女性部会員23名が集い、現場見学会を行いました。市内で女性技術者が活躍している現場へ見学に行き、女性の目線で現場を見て、感じていただきました。「快適トイレや更衣室などの設備があり、女性が働きやすくなっていることを実感した」「他社の現場を見たり、重機に乗ったり、なかなかできない経験ができた」「女性同士様々な話ができて仕事に対してもっと頑張ろうと思えた」といった意見をいただきました。

また、参加者は事務職の方、自分の会社の現場を見たことがないという方がほとんどでした。「自社の社員が現場でどのように工事をしているのか見たいと思っていたので、いい機会になった」と話しています。

 ランチを挟み、午後は「乳がんセミナー」を行いました。こちらも、「女性特有の乳がんについて学べて有意義な時間を過ごせた」と好評でした。

雨の中の見学会は「逆に印象に残る」という参加者の声。
さすが女性はポジティブです
乳がんセミナーでは、実際にしこりを触って体験


女子学生との意見交換会

 2019年12月24日、長野工業高等学校の土木科・建築科の女子学生1~2年生13名と協会女性部会員10名で意見交換会を行いました。これから建設業界へ足を踏み入れようとしている女子高校生が、今不安に思っていることや聞きたいことを、実際に建設業界で働いている女性社員に聞くことで不安を取り除き、希望を持って建設業界へ飛び込んできてくれるように、また、就職してからこんなはずじゃなかったと離職することがないように、という思いで企画しました。 まずは緊張をほぐすため、ミニワークショップのアイシングクッキー作りを。

 そして、緊張がほぐれたところで、意見交換会を行いました。

 「力仕事が多く大変なイメージです。力仕事はありますか?」「体力的にきついですか? 女性でも体力はもちますか?」「勤務時間は? 早朝から夜遅くまでやる日はありますか?」「女性だからという理由で不自由な思いはしていませんか?」「休みは取りやすいですか?」

 これがリアルな建設業のイメージのようです。

 その一つ一つの質問、不安に女性部会員が丁寧に答えさせていただきました。

 その結果、意見交換会が終わってからのアンケートでは「女性部会員のどの方もいきいきしていて、女性だからという理由で苦しんでいる様子はなかったことが印象に残った」「会社が女性の結婚、出産することに賛成だと知ってびっくりした」「男性の中で頑張って働いていて素敵」「大変そうだけど楽しそう」という感想をいただきました。
 私たちの仲間が増えることを願っています。

クッキーには各々好きなデザインを
女性部会員と女子高生が交じって小グ
ループになり座談会


LINEスタンプとインスタグラム

 2020年から、新型コロナウィルスの世界的な流行のため、私たち女性部会でも人が集まってのイベントが開催できない状況が続いています。このような状況下でも女性部会の活動を止めるわけにはいかないと、コロナ禍でもできる活動を女性部会役員で模索してきました。

 そして、試行錯誤しながら、建設業界で働く女性「建設女子」や建設業を盛り上げようとLINEスタンプ「ながの建設女子AYUMIちゃん&らぶちょう」を作成しました(デザイン協力:㈱新建新聞社)。スタンプを通じて、建設業を身近に感じてもらい、若者の入職につなげることを目的としています。

 建設女子キャラクター「AYUMIちゃん」は、女性部会役員メンバーの名前を一文字ずつ使い、建設業界の女性活躍に向けて歩んでいこうという思いを込めて命名、鳥のキャラクター「らぶちょう」は、建設業を愛する気持ちの「LOVE建設」と長野県の鳥「ライチョウ」をかけて命名しました。

 売上金は、建設女子の活躍推進や入職者を増やすための活動、女性や子供たちのための募金に充てていく予定です。

 また女性部会の活動報告やイベントの案内などを発信する場として、インスタグラムも開設しました。インスタグラムを通じて、広報活動にも力を入れ、建設業界を盛り上げていきたいと思っています。


チームひまわり 現場レポート

 

 今回は長野県建設業協会長野支部女性部会さんに活動の様子をご紹介いただきました。「学生との意見交換会で、ひまわりの小冊子を配りたい!」というお問い合わせをいただいたのをきっかけに実現した今回の企画ですが、お問い合わせをいただいた時は、私たちのこれまでの活動が実を結んだようでとても嬉しかったことを覚えています。

 現場見学やセミナーなど、会員同士のコミュニケーションはもちろん、意見交換会などで未来を担う学生との交流も活発に行われています。
 活動の詳細はHPにも掲載されていますので、是非ご覧ください!

https://choken-woman.jp/

勝亦