建設物価調査会

建設物価2020年4月号

東京都女性活躍推進ワークショップに参加しました!

チームひまわりの活動レポート


東京都では「建設業における女性の活躍推進事業」として、女性をはじめとしてだれもが活躍できる環境の創出と、建設業の魅力を広く発信し将来の担い手を確保する取り組みが行われていますが、縁あって、その中の一つの取り組みである「女性活躍ワークショップ」にチームひまわりが参加することになりました。
 「女性活躍ワークショップ」は2019年11月と12月の2回開催され、メンバーは女性技術者・技能者に加え、その方々を雇用する建設会社、調査・設計会社の経営者・人事担当者、工事等を発注する立場である行政担当者、そして学識経験者で構成され様々な角度から議論が行われました。立場の異なる方々が感じる、さまざまな「課題」や「想い」を直接話合える、非常に貴重な機会でした。

第1回のテーマ「就業の継続について」

子供の育児・キャリア形成という視点から話し合うグループと、本人の病気・怪我・親の介護という視点から話し合うグループに分かれ、それぞれ与えられたモデルケースに沿って、課題と改善策を考えました。
 私は「子供の育児・キャリア形成」グループに入り、自分の経験も含めて皆さんと意見を交換しました。その中で「育児休業・時短勤務を取得する立場の人たちのサポートは充実してきていると思いますが、その一方でその人たちの代わりに仕事をフォローしてくれている立場の方へのサポートについては考えられていないのではないか」という意見にハッとさせられました。助けてもらうことばかり考えて、その分、助けてくれている人たちが犠牲になっているとしたら。またプラスアルファの仕事をしているのに評価されていないとしたら。フォローする側への正当な評価(お金であったり、待遇であったり)があれば、助けてもらう側も過剰に「申し訳ない」と思うことなく、「ありがとう」「お互い様よ」という風通しのよい職場環境が生まれるのではないかと感じました。

思いついたことをふせんに書き出し貼っていきます。
あっという間に紙いっぱいに。

第2回のテーマ「職場の環境について」

全グループが同じモデルケース(仕事、育児、部下の指導、働き方改革、膨大な書類の提出や手続きといった問題に挟まれ自分にとってベストな答えは何か模索する41歳の女性)について問題点の洗い出しを行い、それを解決するために、上司・同僚・部下、企業、行政、家族といった本人を取り巻く様々な立場の人が「できることは何か」について話し合いました。多くの人がかかわっているため、自分だけの力では変えられない部分も多いですが、まずは、自分のおかれている状況を家庭内や上司・同僚と共有することが解決の第一歩ではないかという意見がでました。女性に限らず、常に話をしてお互いの状況を知っておくこと、一人で抱え込まず自分から情報を発信すること(つまりは、良好なコミュニケーションがとれていること)が結果的に円滑な業務遂行また家庭円満につながると感じました。

各グループの代表者が成果を発表

このワークショップから生まれた提案「建設産業界で働く女性比率を2050年に50%にする−チャレンジ50」が、令和2年1月29日に東京都知事へ報告されました。この数字に対して都知事は「野心的な数字」と評価し、「目標を実現するためにともに連携し進めていきたい」と話しました。
 建設業における就業者は減少傾向で女性に限らず担い手の確保が課題であり、産業別の女性就業者数はワースト2、女性比率は最下位という現状。しかし、この現状をなげくのではなく、働きやすさの向上策を講じることにより「今後ののびしろが期待できる」産業であるとの説明から報告会はスタート。そのために行政(発注者)・企業(雇用者)が行うべき3つの取り組みとして、①就業継続の仕組みづくり、②新技術・ICTの活用、③教育・体験の提供が挙げられました。

①就業継続の仕組みづくり

◆課題

  • 制度や環境の整備が不十分である
  • 就業継続のためには、支え、フォローする仕組みづくりとそれを使いやすい環境の整備が必要(女性の意見を取り入れることが大切です!!)

◇解決策

  • 企業が就業者をフォローする環境づくり(メンター制度や相談窓口の創設、管理職研修の充実、経営者による環境改善宣言)
  • マニュアルや好事例集を作成し広く共有(現場環境整備マニュアル、働き方改革好事例集の作成)
  • キャリアアップを支える制度作り(キャリアアップのモデルケースを示し、要件を明確化。公正公平な評価・昇給・昇格制度の導入)

②新技術・ICTの活用

◆課題

  • マンパワー頼みで非効率的

◇解決策

  • 提出書類の電子化・簡素化(工事書類の削減・簡素化・電子化の推進。すべての書類をオンラインで作成し提出できる仕組みを整備)
  • ICT施工の活用(ICT施工を積極的に活用し、効率化により人手不足の解消を実現)
  • 5G通信網を使った高画質カメラの活用(高画質映像情報のリアルタイム分析でスマート生産システムの更なる進化に期待)
  • 建設機械の自動運転技術の活用(自動運転技術を活用し、無人化施工を実現)

③教育・体験の提供

◆課題

  • 建設産業界の魅力が一般の人たちに知られていない

◇解決策

  • 現場見学会の充実。進路選択期の中高生や就職期の大学生向け見学会、小学生向け親子見学ツアー等の充実。(若手技術者との交流、現場作業体験など)
  • イベントを通じた建設産業界の魅力PR(就職セミナーや各種イベントの出展を通じて広く魅力をPR)
  • 様々な媒体を活用した魅力発信(動画配信、マンガ・ドラマ・ゲーム化などを通じて建設産業界の魅力を発信)
宮川

現状の課題とそれを解決するための具体的なアイディアがイラストで紹介されました。30年後には取り組みの成果が出て「働きやすく」「働きたくなる」環境が整っているのではないでしょうか。
 建設産業界は、私たちの暮らしを「ひろげ、ささえ、まもる」ため大切な役割をしています。2050年には「女性活躍」という言葉が必要ないくらい、誰もが心豊かに働く社会が実現されていることがワークショップ参加者みんなの願いです、と報告会は締めくくられました。
 今後のチームひまわりの活動が、女性の活躍・未来の担い手のために少しでも力になることができればという思いを新たにする機会となりました。