建設物価調査会

建設物価2019年7月号

輝いて九州をはぐくむ女性技術者 

国土交通省 九州地方整備局「九WE会」

「建設業での女性活躍を支援するプロジェクト」

当調査会では、「建設業での女性活躍を支援するプロジェクト」として、女性職員を中心としたプロジェクトチーム(愛称“チームひまわり”)を立ち上げています。第41回目は、国土交通省九州地方整備局「九WE 会」をご紹介します。


九WE会の活動紹介

九州地方整備局では、女性技術職員で構成する九州女性技術者の会「九WE会」を以下の5つを活動目標として、2007年度に設立し、活動を続けています。

● いきいきと働くことができる職場づくり
● 九州地方整備局の魅力、技術の向上
● 情報交換によるモチベーション向上
● 技術者同士の知識の向上
● 技術者を目指す女性へのアドバイス

リクルート活動に参加して、九州地方整備局や地域社会を支える基幹産業「建設業」の魅力を伝えたり、女性技術職員による仕事内容、やりがい等をSNSによる発信も行っています。実際に働く女性技術職員の声を聞くことができて、就職後の働く姿をイメージしやすくなったとの好評価をいただいています。

“ 九WE会”その名には2つの思いをこめています。
「九州 WOMAN ENGINEER」と「WE、Enjoy With」(私たちみんなで協力して乗り越えよう)

九WE会集合写真
九WE会集合写真
小学生の防災学習
小学生の防災学習
官庁合同説明会
官庁合同説明会
職場訪問会
職場訪問会

建設業界における女性技術者はまだまだ少数ということもあり、他機関・企業等との連携交流を進め、「働きやすい職場づくり〜理想の職場とは」、「女性技術者志望者増加のための魅力発見とは」、「建設女子の世代ごとのライフサイクル」など、課題解決に向けて意見交換を行っているところです。

男性職員との意見交換
男性職員との意見交換
官民女性技術者による意見交換会

九WE会メンバーにインタビュー

企画部技術管理課主任 平野 礼 さん

●仕事と家庭を両立されてる中での思いは?

学生の頃は「仕事と家庭の両立 は難しいかなぁ」と漠然と思っていました。 入省後、多くの女性職員が出産後も働いている姿を見て、「私にも両立できるかも」と思うようになりました。 二人を出産し、育児休業を4年間取得しました。ママ友から「戻れる職場があっていいよね」と言われました。子どもを保育園に預けて仕事をするには、どうしても勤務時間が限られます。このため、職場復帰にあたり様々な支援制度の活用を上司に相談したところ、快く承諾していただきました。子どもの病気などで急にお休みすることもありますが、職場の皆さんの協力のおかげで仕事に取り組むことができており、皆さんには日々感謝しています。

災害現場では、ドローンによる被災調査を行います
災害現場では、ドローンによる被災調査を行います

両立支援制度の利用例
両立支援制度の利用例

九州地方整備局における女性技術者は年々増加しています。また、技術系職員の育児休暇後の復帰割合が93.2%と高い状況なのも特筆すべきことですが、今後も継続していくためには、男女ともに働きやすい職場づくりに向けての取り組みが重要です。

九州地方整備局の女性技術者数の推移
九州地方整備局の女性技術者数の推移
技術系女性職員の育児休暇後の復帰割合

川内川河川事務所川内出張所係長 安武 環 さん

●どんな仕事をしていますか?

入省してこれまでに5つの職場を経験し、「河川」 関連の管理、計画、調整 業務に携わりました。 現在は、熊本県最南 部、宮崎県南西部及び鹿児島県北西部を流れ 東シナ海に注ぐ川内川下流部の管理や工事を担当しています。 子どものころからモノづくりが好きで、地図に残る仕事への憧れからこの仕事に就きました。地域の皆さんに愛されるような川づくりを進めるために、地域の方と協力しながら日々楽しく仕事に取り組んでいます。

●これからやってみたいことは?

現在は工事監督が中心ですが、事業の企画設計等、地元の方と協働で何かを成し遂げるような事業に携わりたいです。資格取得にもチャレンジし、自分自身も力をつけていきたいし、土木の世界の良さを大学生など若い人たちにも伝えたいと思っています。ずっと笑顔で働き続けたいですね。

 川内川河川事務所川内出張所係長 安武 環 さん
安武さんの1日の流れ

河川部河川計画課計画第一係 手島 優希 さん

●どんな仕事をしていますか?

国が管理する河川の治水事業の計画や予算準備の仕事を担当しています。九州は災害が多いので、街の安全を守ることができる河川の治水事業・計画すべてに携わることができることに、やりがいを感じています。

●「九WE会」について

多くの職種の方がいらっしゃることに驚きました。会合を重ねるごとに顔見知りの方が増え、お互いに相談もできるようになり、ずいぶんと垣根が低くなりました。これまでさまざまなテーマでディスカッションして得られた成果を、全九州に向けて、発信していかなければいけないのではないかと思います。

●これからやってみたいことは?

今携わっている「暮らしを守る治水事業」はやりがいがあり、働き方という点でいうと、子どもがいる人も男性と協力できる環境になってほしいと思いますし、その働きかけをしたいと思います。

河川部河川計画課計画第一係  手島 優希 さん

熊本河川国道事務所交通対策課係長 神薗 宏美 さん

●どんな仕事をしていますか?

入省してこれまで九州内7つの職場で、河川調査や道路の工事発注、工事監督、砂防ダムの計画などを経験。今は道路の交通対策、交差点改良、歩道整備などの担当として、1件でも事故が減るように、調査、分析、計画、施工、検証の一連の務に取り組んでいます。

●「九WE会」について

この会が始まる前は、男性ばかりの職場だからなかなか自分の意見を発言することができませんでしたが、会に参加して一番感じたのは、「安心感」でした。全国対象の研修会等に参加した際、他地整ではこのような取り組みがないのでうらやましがられます。これからは女性だけでなく、男性を含めて組織全体が元気になっていくことを希望しています。

●これからやってみたいことは?

土木に入ったきっかけは「橋」。100年先も残っていく仕事に携わりたいと思って入省しましたが、多種多様の業務に携わり、さらに、子育て、学校のPTAなども経験したことで視野が広がりました。これからはもっと、一つの課題に対して、色々な方向で考えられる技術者になりたい、楽しみながらやっていきたいと思います。

熊本河川国道事務所交通対策課係長 神薗 宏美 さん

最後に

九州女性技術者の会(九WE会)会長 遠賀川河川事務所技術副所長 原田 佐良子 さん

「場」により人は育つ!そこに「九WE会」あり

建設技術を持つ女性技術者にも達成感や驚き、心に刻まれるような体験をして欲しい、そんな「場」を作ってあげたい。女性技術者として生活者視点を仕事に生かすことでキメ細かな行政サービスができると同時に、「九WE会」のメンバーが官民交流の「場」やネットワークを通して、個の技術力を上げて、九州全体が安心安全で元気になるということに役立てられたらと思います。

 九州女性技術者の会(九WE会)会長 遠賀川河川事務所技術副所長 原田 佐良子 さん
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