建設物価調査会

建設物価2017年12月号

花咲く淺沼組の”けんせつ小町”たちにインタビュー

「建設業での女性活躍を支援するプロジェクト」

当調査会では、「建設業での女性活躍を支援するプロジェクト」として、女性職員を中心としたプロジェクトチーム(愛称“チームひまわり”)を立ち上げています。第23回目は、株式会社淺沼組へのインタビューと静岡県交通基盤部の取組を紹介します。


今回取材に応じてくださったのは、㈱淺沼組 人事部の新倉梓さん、土木事業本部の玉井三友紀さん、小松歩実さん、設計部の永宗紗季さん、法務部の山口あやなさんです。

同社は明治25(1892)年、奈良県大和郡山市で創業しました。以来、125年にわたり歴史的建築物、超高層ビルなどの建築関係から、大規模土木事業まで、幅広い領域で関西の中堅ゼネコンとして展開しています。

創業理念である「和の精神」、「誠意・熱意・創意」のもと、「仕事が仕事を生む」の精神に則り、誠実なモノづくりに専心し、社会の安全・安心・快適の増進に寄与することを基本理念としています。

女性技術者の採用

淺沼組では、社員約1200名のうち、女性社員が現在139名、そのうち39名の女性技術者が在籍しています。同社は数年ほど前から総合職の女性社員採用に取り組み始め、現在も積極的に活動を行っています。今回は本社・大阪本店で勤務している5人の女性社員にお話を聞きました。

入社3年目の女性社員にインタビュー

建設業界を目指したきっかけ

玉井さん
大学では土木を専攻しており、それを活かせるスケールの大きいことがやってみたいと思ったのが始まりです。人々の生活にはなくてはならないものを作ることができるというのも魅力的だと思います。

小松さん
高校時代、家の近所のガタガタの道路が工事ですごくきれいになり、自転車通学が快適になったことがありました。そのときに、工事で街を作っていくのはすごいなぁと感じたことがきっかけでした。

玉井三友紀さん
●玉井三友紀さん
小松歩実さん
●小松歩実さん

山口さん
ですが、どの分野で働こうかと悩んでいるときに、建設業界で働いていた父が『この業界も面白いんじゃない?』と紹介してくれたのがきっかけです。インターンシップで建築の現場に行き、身近で建物が大きくなっていく様子に感動し、文系ながら建設業界に関われたらと思いこの業界を選びました。

※淺沼組では、技術系、事務系を問わず最低1年間は作業所に配属となります。さらに、事務系社員については2年目以降の6年間で営業、管理部門の中の3つの部署を2年ずつのジョブローテーションで経験し、その後、本人の希望や適性を考慮した上で、配属を決めています。

これまでの仕事、やりがいについて

玉井さん
1年目は、駅の新設工事と周辺の単線の線路を複線にする現場にいました。出来形写真の撮影、現場事務所内で計画書の作成などをしていました。私は異動してしまいましたが、現在も工事は行われており、完成した駅で電車に乗るのを楽しみにしています。

小松さん
1年目は、宅地造成の現場に配属になりました。主に出来形写真の撮影や測量をしていました。測量は大学時代に経験していましたが、実際の現場では1ミリでもずれてはいけないため、慎重に行いました。私たちが測量した宅地に建物が建っていくので、少しでもずれていたらと思うと、気の引き締まる思いでした。

山口あやなさん
●山口あやなさん
永宗紗季さん
●永宗紗季さん

永宗さん
1年目は、分譲マンションの建設現場にいました。写真を撮影したり、図面を見て材料の数量を計算して発注したりと、とにかく最初は何でも屋さんでした。マンションが完成した時には、すぐに、ほぼ全ての部屋が契約済みとなりました。ご契約いただいたお客様との内覧会があり、お客様と一対一で部屋の中を一緒に回りました。ミスがないかすごく気を使って見ていく方もいれば、完成したことが嬉しくて部屋の配置に夢を膨らませる方もいました。『完成したこの部屋に、この方が住まわれるのか』と思うと、とても嬉しくて感動しました。

山口さん

場に配属になりました。私は事務系なので、請求書の処理など、現場の技術系の仕事以外はほぼ全て行いました。
完成前に異動になったのですが、後日完成した合同庁舎を見に行きました。1階が図書館なのですが、自分が走り回っていた場所に本が入り、皆さんが利用している様子を見たときには感慨深いものがありました。

休みの日はなにをしているの?

小松さん
休みの日は外食することが多く、インターネットで検索して美味しいものを友達と食べに行きます。月に一回くらいは玉井さんと食事に出かけたり、大学の同期と集まったりします。

玉井さん
土日休みのときは出かけることが多いです。旅行が好きなので、まとまった休みがあると海外に行ったりもします。

永宗さん
歩くのが好きなので、長い休みの時は山登りをしたりします。

山口さん
最近ゴルフをはじめました。先日、上司に初めてラウンドに連れて行ってもらいました。打ちっぱなしで練習もしています。やってみたらとても楽しくてはまりそうです!

今後の夢、目標

玉井さん
今は使用する部材を計算する部署にいます。工事の内容を理解せず部材を計算して不備があると一大事になってしまいます。自信を持って仕事が出来るよう勉強していきたいです。

永宗さん
今は念願の設計の部署にいます。先輩のサブとして外観の提案資料や、簡単な設計図を作成することが多いです。いつかは私がメインで、大型物件の設計を行いたいと思っています。そのために今は、勉強をして一級建築士の資格をとりたいと思っています。

新倉梓さん
●新倉梓さん

現状と今後の課題

新倉さん
当社でも育児休暇制度を取り入れています。ただ、総合職の女性社員採用については数年前から取り組み始めたので、在籍している社員は若手が多く、育児休暇取得の対象となっている者はまだおりません。今後、育児休暇を取得できる社員が増えた場合でも、しっかりとサポートが出来る体制を作っていきたいと考えています。制度がただあるというだけでなく、育児休暇を必要としている社員にとって使いやすい、取得しやすい制度にしていくことが重要です。先日、男性社員で育児休暇を取得した者もおりました。女性社員だけでなく、男性社員も含めた社員全体の育児休暇に対する理解をもっと深めていくことが大切であるように思います。

淺沼組の皆様、インタビューにご協力いただきましてありがとうございました!


チームひまわり 現場レポート

今回のインタビューでは、『最初の頃は自転車で測量の道具を運ぶのが大変だった。』『冬場の水仕事がとてもつらかった。』『夏の地下の現場は蒸し暑くて地獄だった。』など、現場ならではの苦労話を聞くことができました。完成した建物を見た時の感動や、自分が携わったマンションにお住まいになるお客様と実際にお会いするときの嬉しさなど、現場の大変さとともにやりがいも伝わってきました。悪戦苦闘しながらも現場で生き生きと作業をする姿が想像でき、素敵に思いました。

村田さん

また人事部の新倉さんのお話では、活躍する女性社員がもっと働きやすい職場環境にするために、会社としてどのようにサポートしていけば良いのかを一所懸命に考え、奮闘しているように感じました。結婚や出産などのライフイベントを迎える若い社員のために、各企業がどのような取り組みをしているのかをどんどん発信していく『チームひまわり』であり続けたいと思いました。次回も是非ご覧ください。

村田

これまでのチームひまわりの活動はいかがでしたか?