建設物価調査会

建設物価2017年1月号

つくっている私が好き!「 おかずクラブ」建設業1日体験!

「建設業での女性活躍を支援するプロジェクト」

当調査会では、「建設業での女性活躍を支援するプロジェクト」として、女性職員を中心としたプロジェクトチーム(愛称“チームひまわり”)を立ち上げています。第16回目は、おかずクラブによる建設業1日体験の様子をお届けします。


国土交通省とよしもとクリエイティブ・エージェンシーがタッグを組み「おかずクラブ」をメインキャラクターに、建設業の魅力を発信する「おうちクラブ」を結成しました。その一環として、富士山の麓にある「富士教育訓練センター」でおかずクラブが建設業を1日体験! その様子を当調査会の女性を中心としたプロジェクトチーム「チームひまわり」が取材しました。

おうちクラブ

●富士教育訓練センター
静岡県富士宮市にある建設技術者や技能者のための教育訓練施設。富士山西麓の約5万㎡の広大な敷地の中に、建設機械運転実習場、鉄骨躯体教材、鉄骨建方実習場、人工地盤(物理探査研修場)機械実習場、内装実習場、技能実習場、体育館、宿泊施設などが完備。研修は1日研修から2カ月間の長期訓練コースまで多彩。女性専用コースもあり、女性の訓練生は年々増え続けている。

一日訓練生のおかずクラブ

おかずクラブ

ブルーの作業着がゆいP、ピンクの作業着がオカリナです。

2人
「私たちは一日訓練生として、富士山の麓にある富士教育訓練センターにやって きました。あいにく の雨ですが今日一日がんばります」そこで早速コントを披露!

ゆいP
「オカリナがあぶない! もしかして、建設現場で働かせることで、オカリナのその細い腕を折ろうとしているのでは!」

オカリナ
「いやだあ」

ゆいP
「それが建設業のやりかたかぁ!」

建設業と女性って?

建設業1日体験を前に、建設業の印象やイメージを聞きました。

建設業1日体験を前に、建設業の印象やイメージを聞きました。

ゆいP
「建設業って、あまり女性がやっているイメージがないですね。でも建設業の中で、女性の方が向いている仕事もあるはずです。それを活かす事ができれば女性が進出する意義もあるのかと思います」

オカリナ
「芸人の世界もそうですが、男性社会に女性が入るのはとても大変だと思います。でも、女性が増えることによって、女性が働きやすい環境に変わっていくはずです。重機に乗っている格好いい女性の姿に憧れる若い人が増えれば、建設業の世界に女性が増えると思います」

ゆいP
オカリナ

朝礼に参加しました

全国から集まっている研修生と一緒に朝礼に参加しました。

ゆいP
「一日体験研修の兵庫県伊丹市出身のゆいPです。自信もありません、力もありません(笑)。でも今日は一生懸命頑張ろうと思っています。よろしくお願いします」
オカリナ
「宮崎県出身のオカリナです。おとといは名古屋、昨日は熊本、今日は富士山の麓、静岡で頑張ります。よろしくお願いします」

朝礼


建設機械にはじめて挑戦

女性が建設機械を操作する現場も増えています。女性インストラクターの草分け的存在の空岡陽子先生の指導のもとに建設機械の運転に初挑戦しました。

建設機械の運転に初挑戦

ゆいP
「わぁ、女の先生♪ 近くで見ると重機って本当に大きいですね。いきなり運転させていただけるのですか」
オカリナ
「ほんとだ、大きい!! まるでトラックみたい。女性でも危なくないですか。私たちでもいけそうですか」
先生
「はじめてでも大丈夫です」
2人
「やってみたい!! お願いします」

先生のアドバイスで運転を開始。ぎこちないながらも、なんとか操縦をマスター。

ゆいP
「車の運転免許を持っていない私でも、楽に運転ができる! トイレのレバーを回すより、運転席のレバーの方が軽いです♪ 繊細な動きがいるので女性に向いていますね」

ゆいPの重機運転

オカリナの重機運転

オカリナ
「力をぜんぜん入れなくても、人差し指一本で建設機械を動かせて、思っていたより簡単。これなら女性でも大丈夫。男性と対等にできて、男性より女性に向いているかも」


鉄筋の結束の実習

コンクリートの強度を高める鉄筋の結束線を結ぶ作業を10年以上のキャリアがある町美差恵先生の指導で体験しました。

ゆいP
「現場に鉄筋を運ぶ作業ですが、これ一本で1キロもあるのですか? 重い!一回で30キロ運ぶのが普通のようですが、2キロでも厳しいのに、30キロは絶対無理!」
ハッカーという結束線を結ぶ道具を使って、鉄筋を針金で結び鉄筋を強くする作業を町先生から指導していただきました。
一通り手順を覚えたところでどちらが早くできるか競争。

ゆいP
「先生、大変! 軍手を編みこんでしまいました! 助けてください!」
オカリナ
「あ、ずれちゃった、くやしい!! 汗、かきますね」
ゆいP
「これだと、現場で怒られますか? この勝負どっちの勝ちですか」

ゆいPの鉄筋を運ぶ作業
オカリナの鉄筋を運ぶ作業

先生
「私が見る限り、この勝負は正確さと速さでオカリナさんの勝ちですね」
オカリナ
「やった!」


楽しみにしていたドローン

ドローンは、ヘリコプターに代わり工事現場の撮影をはじめ、災害現場の状況把握、橋の点検、法面点検などで活躍しています。人では難しい作業も行えるため、建設の現場への導入も進んでいます。二人は、ドローンを楽しみにしていました。当日は雨のため、体育館での体験となりました。

おかずクラブのドローン挑戦

ゆいP
「やったドローンができる!! 緊張するなぁ、楽しみだ」
オカリナ
「壊れたらどうしよう!」
ゆいP
「あ、スゴイ私たちが映っている!」
オカリナ
「先生、ドローンの操作には免許がいりますか」

先生
「免許はいりませんが、飛ばしてはいけないエリアがあります。また、基本動作は簡単ですが、仕事で飛ばすとなると危険回避などの操作を覚えていくことが必要です」

おかずクラブのドローン挑戦2

オカリナ
「私たちの目線で代わりに飛んでくれるから、見えないところが見えていいですね」
ゆいP
「先生どちらがうまかったですか」
先生
「ゆいPさんは大胆、オカリナさんは繊細ですね」
ゆいP
「先生、うまくかわしましたね!」

おかずクラブのドローン挑戦3

左官って簡単そうに見えたけど

壁を塗るための左官の実習に挑戦しました。最初はこて返しから。さてうまくできたのでしょうか。

おかずクラブの左官挑戦

2人
「先生、よろしくお願いします」
先生
「壁を塗るためには、こて返しが大事です。それではまず、オカリナさん、材料をこてに乗せてみてください」
ゆいP
「簡単にできそうじゃないですか」
オカリナ
「でも乗らない。難しい!」

おかずクラブの左官挑戦2

おかずクラブの左官挑戦3

ゆいP
「私もやってみたい! あー、いやだ、落としたぁ! 粘土みたいに固まってないから、ぜんぜんすくえない! もっと簡単にできると思ったけど、難しすぎる!」
ゆいP
「あ、塗れた」
オカリナ
「そこは誰でも塗れそう。なめらかにすればいいんですよね」

ゆいP
「いかがでしょうか先生、私たちの腕前は?」
先生
「大変よくできました」
ゆいP
「左官は女性の進出の多い分野だそうですね」
オカリナ
「カフェの壁塗りなども、女性のセンスが活かされる仕事ですよね」
ゆいP
「確かに、女性の色彩感覚が活かされそう」


型枠組み立ての実習

現場監督を目指して全国から集まってきたゼネコンの研修生と一緒に、型枠の中に入っている鉄筋の結束作業を体験しました。

おかずクラブの型枠組み立ての実習1
おかずクラブの型枠組み立ての実習2

ゆいP
「高いから、かよわい私たちには怖い!」
オカリナ
「型枠の中はなにがどうなっ
ているの?」
ゆいP
「まるで、ジャングルジムみたい」
ゆいP
「こういう繊細な作業はオカリナ向きかな」
オカリナ
「そんなこと言わずにゆいPもやってみれば」
ゆいP
「身体が重くって、かがめない!!」
オカリナ
「私たちより数倍、早い、きれい、繊細!」
ゆいP
「印をつけてから、結んでいくんだね」
オカリナ
「くるくる結んで、まるで知恵の輪みたい」
ゆいP
「すごく慣れているね。建設現場の仕事ってやっぱり女性にも向いているね」

おかずクラブの型枠組み立ての実習3

女性トイレがきれいで感動!

富士教育訓練センターの実習現場には、女性専用のトイレが設置されています。

オカリナ
「女性芸人の楽屋のトイレって、きたないんです」
ゆいP
「建設業の現場の女性トイレはきれいで、びっくり」
オカリナ
「これなら快適に利用できますね」
ゆいP
「楽屋にもひとつください、こんなトイレ!」

女性トイレ

一日訓練生、どうでしたか。

さまざまな実習を一日体験したおかずクラブのお二人に感想を伺いました。

ゆいP
「ひとつの建築物でこんないろいろな分野の作業があり、たくさんの人が携わっていることにびっくりしました。建設業は51職種あると聞きましたが、私たちが今日体験したのはほんの一部。体験してみてこれから女性が進出できる仕事だと思いました」
オカリナ
「全てが初めての体験だったのでとても新鮮で、バックホウの運転やドローンの操縦が特に楽しかったです。でもおなかが出っ張っているので、作業は苦しかった!! もっと軽く体を動かせるように、ダイエットに精を出します!!」

おかずクラブのお二人に感想

チームひまわり 現場レポート

「女性が輝ける社会」へ向け、現在さまざまな女性活躍推進事業が進められています。輝き方はひとそれぞれあって良くて、日々必死に業務に取り組む人、家庭に入り主婦として生きる人、働きながら子育てにも奮闘する人、皆が今輝いていないということはないと私は思います。ただ、「女性だから」という理由で、選択の幅が狭まり、挑戦ができないというのは本当にもったいないと感じています。

小野寺さん

今まで、女性が就く職種として挙げられることが少なかった建設業界。今回は、おかずクラブさんの建設業体験でしたが、エネルギーあふれる女性講師とおかずクラブさんの建設業についての話を聞いて、この業界のこれからの可能性を強く感じました。数多くの選択肢の中から、女性が覚悟をもって1つを選択できた時、性別や年齢を問わず、すべての人にとって働きやすい環境の創出が実現すると信じています。

小野寺