建設物価調査会

建設物価2022年2月号

地元新潟の発展とともに  株式会社加賀田組を訪ねて

 今回は、新潟県新潟市に創業して127年、新潟の発展とともに歴史を歩んできた株式会社加賀田組(代表取締役社長:市村稿)を取材させていただきました。これまで地域の発展のために、たくさんの技術者が活躍してきた同社では、女性技術者も現場の最前線で活躍されています。今回は3名の女性技術者の皆さんに建設業界で働くことを決めた理由や、将来の目標などのお話を伺ってきました。


働きやすい職場環境を目指して~㈱加賀田組の取り組み

管理本部人事部 主査 採用教育担当 野島 憲子さん

 

 加賀田組では、次世代育成支援対策推進法及び女性活躍推進法に基づき、社員がより働きやすい職場環境への向上と人材の高付加価値化による企業価値の持続的な向上を目指しています。

 ダイバーシティ推進への取り組みとして、採用に占める女性の割合を20%以上とすることとし、女性の職域拡大と意欲ある女性社員の採用を推進し、一般職から総合職への職掌転換及び登用、職務変更など働き方への改善を行い、女性の活躍の場を提供しています。

 より働きやすい職場環境づくりとして、育児・介護休業、休暇の推進や社則等、各種制度の整備を継続的に行っています。近年は女性が多く入社していることもあり、女性が働きやすい職場環境、設備、待遇改善を行った結果、男性にも働きやすい職場環境へと繋がっています。

 当社では仕事の教育指導だけではなく、主に不安や悩み事を何でも相談できる相談役として、入社から3年間は先輩社員が公私ともにサポートする「教育指導員制度」を導入しています。新入社員研修では、双方のコミュニケーション構築の為、指導員が配属している現場での研修を取り入れ、別現場になっても相談がしやすい環境づくりを行っています。入社時に必ず自分を見てくれる人がいるということは新入社員の安心に繋がっており、元々社員を大事にする当社ですが、この制度の導入で、より一層、会社全体で若手社員を育成し、サポートしていこうという社風が生まれています。


 工業高校時代、測量の授業が好きで、大学でも測量の知識を増やしたいと思い、防災マップの作成といったデータ解析を行う環境システム工学を学びました。その時は将来どのような道に進むかを明確には考えていなかったのですが、測量と同じように現場に出て作業を行う仕事に魅力を感じ、ゼネコンへの就職を決めました。
 今までに携わった現場で一番印象深かったのは、橋梁下部工を担当した現場です。仕事もひと通り覚えたばかりの入社2年目、初めての大型構造物の現場で、完成まで自分がその現場でやり遂げたという達成感を感じたと同時に、初めて「この仕事って楽しい!」と土木の仕事の面白さを感じました。

新潟支店 土木部
野﨑 由紀子さん

 この仕事をするなかで、一緒に働く作業員さんたちはほとんど男性で、年配の方も多く、コミュニケーションを取ることの難しさを感じることもありました。どうすれば皆が気持ち良く円滑に作業が進められるような指示ができるかを悩んだ時もありました。しかし、相手にあわせて自分が臨機応変に対応すればいいんだ、と気づいてからはその悩みも吹っ切れました。今は女性だから困るというようなことも思い浮かびません。

 現在は新潟市内で下水道工事の現場代理人を務めていますが、現場代理人となって2年目で、まだまだ学ぶことがたくさんあると思っています。いずれは自分が工事現場の所長となり、先頭に立って引っ張っていく立場になるので、今以上に技術を身につけなければなりません。そのためにはいろいろな現場を経験することが重要と思っています。

 私は結婚をしているのですが、将来、出産しても現場に出ていたいと思います。中には出産により、仕事と家庭の両立が困難で会社を辞めてしまったり、内勤に移ったりされる方もいますが、私は現場主義を貫きたいと思います。




 土木の分野に足を踏み入れたのは、高校時代の恩師からの「ドボク」が向いているのではないかというアドバイスがきっかけです。学生時代は他県の大学に通い、土木工学科で河川工学を専攻しました。就職を機に地元である新潟県に戻り、加賀田組に就職しました。

 入社して間もなく、私の教育指導員である野﨑さんの現場で仕事の内容はもちろん、書類の書き方、作業員さんとの接し方などを教えてもらいました。女性の先輩が教えてくれたので、相談もしやすく、とても心強かったです。現場が分かれてしまった今でも、困り事があれば野﨑さんに相談しています。

新潟支店 土木部
高地 咲さん

 その後に配属になった現場では年配の方ばかりでとても緊張したのですが、データ整理など、自分が得意な仕事を任せてもらえたので、不安がある中でもやりがいを得ることができました。竣工までその現場に携わったことで、達成感を感じることができ、この仕事の面白さの一端を垣間見ることができました。

 現在携わっているのは、大河津分水路の低水護岸工事です。大学時代に学んだことが活かせることも多く、河川の現場に携われることに喜びも感じています。新潟県は信濃川などの大きな河川があり、河川を身近に感じる環境で育ったこともあるかもしれません。河川工事に愛着はありますが、それ以外にも色々な工事に積極的に携わることで経験を積んで、地元である新潟に貢献できればと考えています。

 今、ICTがどんどん現場に導入されていますが、まだ不慣れな人が多く、ICTを取り入れることで逆に効率が下がる人や、新しい技術を取り入れるのは抵抗がある人が多いと思います。誰か一人が覚えれば、周りに教えることができるので、自分が先頭に立ってICTを勉強し、技術を広めていきたいと考えています。


 もともと建築に興味があったのですが、高専では環境都市工学科を専攻しました。測量、水理、構造、都市計画など、ひと通り勉強していくうちに土木の面白さに気づき、土木に携わりたいと加賀田組に入社しました。現場1年生です。
 想像していたよりも屋外での作業が多いことには驚きましたが、どんどん外に出て、早く仕事を覚えたいです。まだ自分で作業をするというよりは、先輩方の作業を見て学んでいる段階です。数年後に自分がこの作業を主体的にしている姿を想像するとワクワクしてきます。

新潟支店 土木部
木歩士 碧海さん

 現在は土地区画整理事業の現場で工事写真を撮ったり、書類整理をしたりと、現場の全体的な流れを学んでいます。工事の種類や機械の種類がたくさんあって、日々学ぶことばかりですが、知識を吸収することが楽しくて、やはり土木の道を選んでよかったと思っています。
 今後は実務経験を積みながら資格を取りたいと思います。まずは2級土木施工管理技士を取って、次は1級というようにステップアップしていきたいです。



野﨑さん、高地さん、木歩士さん、ありがとうございました。
若い力で新潟県の建設業を支えていってください。今後の3人の活躍をお祈りしています!
※写真撮影時のみマスクを外しています。

チームひまわり 現場レポート

  今回お邪魔した加賀田組の本社は、新潟市のランドマークである萬代橋の近くにあります。取材当日は新潟らしい、どんよりと肌寒い空模様でしたが、インタビューでお話を伺うと、皆さんの仕事に対する前向きな姿勢にとても温かい気持ちになりました。

 「土木を通じて地元新潟の発展に貢献したい、恩返しがしたい」と話される皆さんからは、地元愛に溢れた強い熱意を感じ、その笑顔はとてもキラキラとして素敵でした。

 新潟県の建設産業の次世代を担う技術者として、これからも頑張ってください。応援しています!

伊沢